第3話 遠藤修平1

「修平さん、今日もあの子を探すんですか?」


「そうだな、引き続き頼む。お前たちには手

間取らせるが。埋め合わせは必ずするから、

よろしくな。」


「そりゃ修平さんの頼みなら断れませんが、

あの子を捕まえてどうするんです?まさか手

籠めにしようとか。」


「馬鹿なことを言うな。でも手籠めなんて言

葉が亮太の口から出るとは驚きだな。」


「BSでやってた時代劇で見たんですよ、お

代官様ぁ、あれぇ~ってね。」


「まあ、そんなとこだと思った。」


 結城高弥は修平と亮太の会話には入ってこ

ない。西口信一も広瀬渉や五代祐作も同様に

いつも二人の会話を見守っている。年齢が一

つとはいえ違うこともあって修平と高弥の二

人と一年生の三人とは少し距離があるのだっ

た。一番社交的で、悪く言えばやんちゃな桜

井亮太が話の中心になるのはいつものことだ

った。


 亮太たちを見張りに行かせると、修平は高

弥を伴って彼らが単に「ベース」と呼んでい

る拠点に戻った。戻ってしばらくは高弥が修

平の資産の運用の確認をしていた。修平は自

らの資産運用を全面的に高弥に任せており、

また高弥はその信頼に十二分に応えていた。


 高弥は高弥で自らの理論を修平の資産を使

って実践させてもらっていて十分満足してい

たのだった。


「今日の利益は約500万ってところですか

ね。」


「円でか?」


「いえ、米ドルで、です。」


「さすがだな。」


 修平にはよく判らなかったが、為替や外国

株などを複合的に売り買いして利益を出して

いるらしい。元々修平も国内の優良株を効率

的に売り買いして十分利益を上げていたのだ

が高弥に任せ始めてから、その資産は軽く百

倍を超えている。


「さて、ひと段落しました。続きをお聞きし

ましょうか。」


「続きと言ってもなぁ。まあ、最初から整理

して話すことにするよ。」


 こうして修平は今回の少女捜索の原因とな

ったある男との出会いを話始めるのだった。









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