第3話)姉弟の秘密
今日の再会をまだ心の中でのみ喜んでいた奈美と優矢が、今もまだ奈美が一人で住んでいる実家へと到着したのは、空に浮かぶ星のアレコレがチラホラと輝き始めた頃。本当の意味で二人きりとなれた二人は、穏やかな時間と激しい時間の両方を共に分かちあった後、予め奈美が用意しておいた部屋着に着替え、リビングでゆったりとくつろいでいた。
「………」
つい先程、この日この家では二度目となるシャワーで汗などを洗い落したばかりの優矢は、一度目のそれの後とは違う白色の長袖シャツと紺色のジーンズパンツという格好で、暖房を効かせたリビングにあるソファーにドッカリと座り、時折チラリと時計の針を気にしつつ、奈美を眺めていた。
「えへへー」
その一方で、この日この家で三度目となるシャワーで心地良い汗やその他を洗い流したばかりの奈美は、白色の下着の上は優矢が着ていたチェック柄の厚手のシャツを着るのみという装いで優矢のすぐ横にチョコンと腰かけ、この日の為に用意しておいた衣類ではなく着てきた衣類に戻っている優矢の真意を心の底から気にしつつ、けれど決してそんな素振りは見せないよう気にかけつつ、小さな両手で持っている通帳に書き込まれている数字を、少し鼻にかかった柔らかな声で右から左へと数えていた。
「いーち、じゅーう、ひゃーく、せぇーん、まぁーん」
そこまでを努めて可愛く声に出して数えると、
「…、…、…」
その先は声を出さずに身体を揺らすのみで数え、残り一桁の所で顔を上げる。
「…、っ、おくっ!」
そしてそのまま優矢を見つめながら、これが最後の決めゼリフですとでも言わんばかりに声を弾ませてそう言い、言い終えると満足そうに微笑む。
「お、おく」
戸惑う優矢を横に、まるでこれを笑顔になる為の唯一のルーティンであるかのように、奈美は何度も何度も繰り返しては優矢に微笑みを向けていた。
「えへへ」
この春には三十路を迎える奈美のその笑顔や仕草は、例えると公園の砂場でお城を作ってはそれを無邪気に壊すという繰り返しを楽しそうに遊んでいる子供のようであった。
「いーち」
が、しかし。その裏ではこれから実行に移すべき事を冷静に煮詰めようとしていた。
「じゅーう」まずは、どう切り出そうか。
「ひゃーく」これは、神様に与えていただいた最後にチャンスなんだ。
「せぇーん」だから、失敗は許されない。
「まぁーん」絶対に、ね。
「………」
そんな奈美の思惑なんて知る由もない優矢は、この分だとまだ暫くは続くんだろうなと思いながら、チラリと時計に目を向けようとした。
「…、っ、おくっ!」
が、しかし。奈美が何度目かの微笑みを向けてきたので、
「お、おく」
優矢も何度目かの微笑みで返した。
「えへへー」
「………」
………。
奈美と優矢は五歳離れた姉弟で、二人の両親が揃って他界したのはもう何年も前になる。生前その両親は、二人が幼い頃から共に仕事で忙しい人だった為に家に居るという事が少なく、詰まるところ共に家を空ける事が頗る多かった為に二人は、二人きりで居るのが当たり前だった。そんな毎日は、自然と二人の絆を深く強く固く結ばせる事に繋がっていったのだが、二人の場合それはいつしかお互い離れがたい存在だと感じてしまう関係性へと進んでいった。
「ねぇ、ユウヤ」
そろそろ求めている答えを探る事にした奈美は、砂場で遊ぶのを止めて優矢に話しかけた。
「ん?」
呼びかけられた優矢は、何気なく奈美を見つめた。
「「………」」
当然の事と言えば当然の事、至近距離で見つめ合う形になる。
「あう、あうう、あ、あのね」
それなのに、優矢に見つめられて僅か数秒で奈美は、呆気ないまでにテンパってしまった。つい先程、少なからず自由を得る事に成功して再び、一旦はという形ではあったが檻の中へと閉じ込めた心が、先程自由を得たが故にどうしようもないくらいに暴れだしたからである。
「………?」
「今夜はこのまま泊ま、あっ」
なので、熟考に熟考を重ねて弾き出した最初のセリフを言う筈が、単刀直入に想いを声に出そうとしてしまい、慌てて口を噤んだ。
「えっと、今のナシ! 忘れて!」
「えっ、と。アネキ?」
不自然過ぎるほど不自然に話しを止めた奈美を、優矢は不思議に思いながら見つめ直した。奈美の思惑など知る由もないので、戸惑いすら感じていた。
「えと、えっと、あのね、その」
優矢に気取られてはイケナイと焦りに焦りつつも、もう二度と与えてはいただけないであろうこのチャンスを棒に振るワケにはいかないと、奈美は自らの脳を激しく働かせ続けた。
「あっ、そうだ! こ、このお金さ、何に使うとか決めた?」
そして、そう軌道修正し、祈りながら見つめ続ける。
「ん? あ、えっとね」
そんな奈美の挙動をほんの少しだけ訝しげに感じつつも、やはり奈美の思惑など知る由もない優矢は、奈美の問いかけへの答えを探そうとした。
「あっ」
すると、不意にではあったが、部屋の電話機をコードレスにしたいと強く思った事があったような気がするという記憶を、その脳内で著しく感じた。
「部屋の」
が、しかし。何故そう思ったのかが一向に思い出せない。
「じゃなく、て」
なので、その辺りの記憶を探るのは止めて、他を考えてみる事にした。
「えっと、ね」
すると、すぐに三つ浮かんできた。
①奈美と折半する。
②祖父母に何か買う。
③パソコンを買い換える。
この、三つだ。
「まずは」
宝クジ当選よりも奈美に会える事の方が遥かで確かな大きすぎる幸せであった優矢は、奈美に会えるというその現実だけで充分に存分に心が満たされていた。なので、当選が判ってから動いた事と言えば勤め先を辞めたという事くらいだったし、今でもまだ非現実的過ぎて、重く受け止めて深く考えるなんて事は出来ていなかった。
「あっ」
しかしながら、辞めたとはいえ遊んで暮らすという毎日に憧れは全くなかったので、以前から興味を持っていた事についてその勉強をしたいと、まだ漠然とではあったが考えている。
「あの、さ」
その事を不意に思い出した優矢は、それが奈美からの質問への回答になるのではと思った。
「あの」
が、しかし。で、ある。今度はそれをどのように説明すべきかという問題に道を塞がれた。何故それに興味を持ったのかとか、それをどのように勉強するつもりなのかとか、いつから始めるつもりなのか等々、順序立てて奈美に話したいのだが、現実として考えてこなかっただけに、整理整頓が出来なかった。
「んと、なんだか説明しづらそうだね。あっ、じゃあ、じゃあ、今度また訊いてもイイ?」
優矢の様子から何か考えはあるみたいだ汲み取った奈美は、
「例えば、明日の朝とか、さ」
と、話の流れを利用して暗に泊まっていってほしいと告げて見た。
「………イイでしょ?」
優矢が着てきた服を一枚、自身が着ているのも、その意思表示の表れだった。
「イイよね?」
予想よりも数段早く自然な形でこの流れに持ち込めたと思った奈美は、本編クリアに向かう緊張が大きく強くなる。
「明日かぁー。うん、頑張るよ」
しかし対する優矢は、奈美の含みに気づいてはいない。なので、明日までには上手く説明出来るように頑張らないといけない………と、額面どおり受け取ってそう返した。
「「………」」
女性は頭の中にある幾つもを同時進行させる事が出来るが、男は往々にして目の前の一つにしか集中しない。
「えっ、と」
しかし含ませて探っている奈美には、優矢がOKでそう言ったのか、気づかないフリをしているだけなのか、それともただ単に気づいていないのか、その真意が判らなかった。
「ん?」
「さ………」
なので、つい先程二人に間にあった事もこの場面では自信には繋がらず、みるみる内に不安になって瞬く間に表情が曇り、俯いてそのまま固まってしまった。
「アネキ?」
「………っ」
精神が壊れていくスピードがどうしようもない程に加速していく。
「えっ、と。アネキ?」
思い詰めた表情で俯いてしまったままの奈美に気づいた優矢は、気づいた途端に心配になっていった。
「………っ」
「もしかし」
優矢は奈美との長年の関係性から、身体が丈夫ではないのに無理をしてしまう性格だという事を知っているので、今日の疲れで体調を崩したのかなと考えた。なので、奈美の額や頬に手を当てて体調を確かめようとした。
「………うっ?!」
「て、体調悪い?」
「えっ、あ、あああの」
優矢のそれによって、自身が不安を表情に出しているという事に気づいた奈美は、そこで漸く我に返った。
「やっぱりそう?」
「なんでもないの」
そして、慌てて訂正して更には笑顔まで作って見せた。
「ゴメン、なさい」
「少し横になる?」
しかし、奈美のその動揺にも気づかなかった優矢は、心配で心配で何度も体調を窺おうと試み続ける。
「あうう、ユウヤぁ………」
そんな優矢の優しさに幸せを感じた奈美は、それを全身で実感した途端、表情がスーッと変わった。
「頭痛はする?」
「少しするかも」そうだった。この方法があったんだ。
「苦しいとか?」
「ちょっとだけ」ユウヤは優しいから、このまま看病しようと思ってくれるに違いない。
「眩暈とかは?」
「するかもかな」これで、泊まらせられる。
「さっきのせい?」
「えっと、それは」たしかにそうなったりするけど、それはいつだって苦痛なんかじゃないよ。だって、ユウヤが、その、シテくれるんだもん………。
「そうなの?」
「う、ううん」ユウヤ、アタシの事こんなに心配してくれるんだぁ………。
「ホントに?」
「うん。平気」ユウヤはやっぱり、誰よりも優しいね。
「アネキ、横になった方がイイよ」
「うん。じゃあ、そうしようかな」ユウヤぁー。
「ユウ、ヤぁ………あっ」
突然、奈美の表情がいつもの穏和なそれに戻った。
「ん? アネキ? どうしたの? 大丈夫?」
内情までは判らないものの、奈美の表情の僅かな変化には気づいた優矢は、奈美は体調が悪いようだと心配する気持ちのまま、そのライン上にある心配事を考えたまま、奈美を気遣った。
「違うの。ゴメンね、ユウヤ。アタシ、その、大丈夫だから」
優矢の優しさを全身に浴びた幸福感によって一度は自身の思惑を全開にしようとしたが、同じくその優しさによって罪の意識を感じるに至り、それによって良心が勢いよく作動し始めた奈美は、その思惑を実行しようとした事を、深く、強く、そして大きく反省しながら優矢に詫びた。
「ホントに? ホントに平気?」
「うん。ホントにゴメンなさい」
しかし奈美は、優矢の優しさに包まれた事によって優矢から目が離せなくなってもいた。
「………アネキ?」
「ユウヤぁ………」
なので、心が更なる温もりを渇望し、身体が疼き、瞳が潤む。
「無理しちゃダメだよ?」
「うん。しない………っ」
それは、優矢だけにしか求める事のない欲情。
「どうする? 横になる?」
「………よこ、あ、えっと」
そして、優矢だけにしか望む事はない激情。
「アネキ、横になる?」
「ユウ、ヤ、と………」
だから先程も求めたし、今もこうして望んでいる。
「えっ、と、オレ?」
「ユウヤと横になる」
諦められるワケが………いいや、諦めるつもりなんてなかったのだから。
「え?」
「もう何処にも行っちゃヤダ!」
情念の膨らみが最大へと到達した奈美は、その想いのままに優矢にしがみついた。
「ちょ、あの、アネキ、えっ、と、アネキ?」
それが優矢にとっては突然だったので激しく驚いたが、優しく受け止めて支えるという事にはなんとか成功した。
「ねぇ、ユウヤぁー」
拒否されるのが怖くて隠そうとしてきただけだった想いを、奈美は優矢に向けて再び解放させていく。
「お願い、泊まってって」
つい先程受け入れてもらえたという事実が、ここでは強く後押しをする。
「アネキ………」
奈美は体調が悪いワケではなかったんだと安堵した優矢は、ここまで来て漸くとでも言うべきか、奈美の気持ちを把握する事ができた。勿論、その奥底に蠢いているモノまでは理解してはいなかったが。
「ユウヤお願い。泊まって?」
ウルウルした瞳を上目使いで優矢に晒しながら、奈美は懇願に満ちた表情で見つめ続ける。
「えっと、その」
今はなんとか幽閉していた想いが、ここから出せと再び暴れ始めたのを、優矢はその身に強く感じた。つい先程の時と同じように、昔あった記憶の幾つもが、脳内で映像化されていく。
「………アネキは桃色な事が大好きなんだね」
まるでその昔に戻ったかのように、そう冗談で返した優矢は、奈美を微笑みで見つめ直した。
「え、あ、あうっ! ち、ちちち、ちちち違うもん! ユ、ユ、ユウヤが、そ、その、優しくするから、だもん」
優矢の予想外の返答に著しく動揺してしまった奈美は、途端に恥ずかしくなってなんとか言い訳しようとした。決して桃色な行為自体が好きなワケではなく、優矢だから望み、優矢だから求める行為なのだから。少なくとも、奈美にとっては。
「そっか」
「だから、その、ユウヤのせい、なんだもん」
幸せだった日々が脳裏に並ぶ。
「オレのせい、か」
「そそそそうだもん。全部、全部、ユウヤのせいだよ。だって、だってこんな女にしたの、ユウヤだもん!」
優矢に愛されていると思えていた頃の想い出の数々。
「ゴメンね、アネキ」
「え、あ、謝らなくっても、その、イイよ」
しかし思い浮かべる程に、もしかしたらこの言い訳は自爆なのではと感じ、それによって更に恥ずかしさが上乗せされたので、俯いて視線を逸らした。
「アネキ」
そんな奈美が可愛くて心を完全に解放させてしまった優矢は、奈美をギュッと抱きしめ直した。
「あ、う、ユウヤぁ………」
そうされた奈美は、顔を上げて視線を優矢に戻した。
「責任、とらなきゃだね」
「えっ? あ、じゃあ、じゃあ、泊まってってくれるの?」
甘えるというよりも、
「………」
「ねぇ、そうなの?」
懇願するように、
「アネキ」
「独りになんてしないよね?」
渇望するままに、
「オレさ」
「お願い、ユウヤぁー」
優矢に向けて想いを晒した。
「………うん。そうする」
優矢は一つ頷き、そして微笑みを返した。
「じゃあ、じゃあ、沢山、愛してくれる?」
ここまで来て漸く安心する事が出来た奈美だったが、それでもまだその安心感は確信には繋がらず、声は未だ不安そうだった。
「うん。ヤダって言われたら、無理やりしちゃうかも」
抑える事を放棄した優矢は、そう言って再び微笑んだ。
「あうう、ケダモノさんだぁー。じゃあ、じゃあ、もっともっと責任とってもらうよ?」
奈美がそう言って甘える。
「うん。イイよ、どんな責任でも」
優矢が優しい声で返す。
「えっ、ホント? じゃあ、じゃあ、例えばユウヤはアタシを、その、朝まで弄んだりとか、さ………しちゃうの?」
奈美が期待を込めて訊く。
「う~ん、そこまではないかな」
「えっ、あ、あああー、また酷い事言ったぁー。泣いちゃうぞぉー!」
「だってアネキ、途中で気を失っちゃうでしょ?」
「あうっ! こ、こ、今度はイジワルさんだぁー。そんなのアタシ、なんないもん!」
「ホントに?」
「え、あ、そ、そ、それは、その、えっと………」
「なんなかったっけ?」
「あう、う………なっちゃう、かも」
「でしょ?」
「でも、でも、それはさ、アタシがそうなっちゃう所を、そうなっちゃうまでユウヤが沢山」
「そうなっちゃう所って?」
「それは、あう、あうう!」
まだ二人で暮らしていた頃のような、その頃から今日のこの時までずっと二人で暮らしているままのような、まるでそうであるかのような仲の睦まじい会話が暫く続いたが、その頃と同じように、今回も奈美に分が悪い結果で終わった。
「アネキ? どうしたの?」
「………ユウヤの、バカ!」
しかし、それは決してどちらかにとって都合の悪い終わり方などではなく、心が更に高揚して身体を刺激するに至る、悦びと表現しても何ら差し支えないプロセスであった。特に、奈美にとっては。
「ゴメンね、怒った?」
「ううん。怒ってない」
二人が離れて暮らすという事を決断したのは、もう二度と、決してこうはならないようにする為であった。
「ユウヤ、あのね」
その筈だったのに、それを過ちだと切り捨てる事が出来ないまま、二人は今もまだこうして想いを伝えたいと思っている。
「ヒトツだけ、ヒトツだけお願いしてもイイ、かな」
「うん。何をすればイイ?」
今までも、会いたいという気持ちを辛うじて抑えているだけだったのだ。
「じゃあ、じゃあ」
「うん」
しかし、例えそんな二人であっても、こうなってしまえる機会がこれまでにも何度かあったからこそ、これまでは精神の安定をなんとか維持する事が出来ていたのかもしれないし、悲劇的な結末を回避するに至っていたのかもしれない。
「ユウヤの事を、ね」
「うん」
諦められないままなのに離れているという矛盾に二人が陥ってしまったのは、想いを抑えようとせず、離れたままで暮らす事もせず、想いそのままに生きていく為には乗り越えなくてはならない壁があったから。
「昔みたいに、さ」
「うん」
その壁とは、実は世間体やモラルなどといった他人の眼なんかではなく、二人それぞれの心持ちが違っていた事から起きたすれ違いであったのだが、少なくとも優矢はそれに気づく事なく、時間をただただ流れているだけだった。
「アナタ、って」
「うっ」
そこへ、突然と言えば突然に、三億円という来訪者が現れ、奈美の精神を激しく刺激してしまい、恋恋だけだったその心に独占という欲望を新たに芽生えさせてしまった。
「………呼びたい」
矛盾によって壊れていった奈美は、それは悲劇的な結末を迎えてしまう事にしかならないとは思えなかった。気づけなかった。判らなかった。そればかりか、悲劇的な毎日からこれで抜け出せるとさえ思っていた。
「えっ、と………」
一方、まだなんとか精神のバランスが保てているようにも見える優矢はというと、奈美が思っているそれに気づく事のないままに、奈美への想いを幽閉しきれないままに、矛盾を抱えたまま少しずつ少しずつ疲弊していくのだろう。
「ユウヤ、イイよね?」
「………うん、判った」
「やった………はうう、アナタぁー」
奈美がこれ以上は動かなければ、であるが。
「い、やそ、の、アネキ………」
奈美が少しだけ顔を上げて更なる事を求めてきたので、優矢はそれに応える為に顔を寄せていった。
「んんっ………っ」
そして二人は、
「んぐ」
「んっ、はうう」
もうこれで何度目になるのか判らない程に何度も重ね合わせてきた口づけを交わすと、
「アナタぁー」
もうこれで何度目になるのか判らない程に重ね合わせてきた身体で、
「アネキ………」
想いを重ね合わせるのだった。
「愛してるよぉー」
何度も、
「オレも………」
何度も。
………。
………。
第3話 姉弟の秘密 完
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