私はシリアだ

名前はまだない

私はシリアだ

私はシリアだ

戦争をしている

自分の中で

ずっと終わらない戦いをしている

誰かに利用されては捨てられて、の繰り返しで

山のほかには友はいない。

どこの国とも平和条約を締結していない

その仕方もわからない

内戦で国土が荒れている

どこで間違ったのだろう

それすらももうわからない

でも独りはもうさみしいんだ

NPO、海外青年協力隊が助けてくれるけどそれは一時的で

任務が終わればいなくなってしまう

一抹の付き合い

刹那の安堵

いつかはいなくなる存在

日本になりたくてもなれない

頑張って埋め立てて日本の形をマネしてもすぐにガタが来る

シリアは日本にはなれない

中国だってアメリカにはなれない

その人それぞれの歴史があって国がある

当たり前だけれども

日本にあこがれてしまうんだ

無理だと分かっている

高望みだと分かっている

だけれどもこの気持ちは抑えられないんだ

信頼された人よりも「もういらない」と捨てられた回数のほうが多いから

他の国を信じられない

どうせまた私を捨てるんでしょう、と。

恐怖が私を埋め尽くし、過去が私を戦場にする

自分の国の形さえもわからない

歴史はすべて黒で塗りつぶされていて

色なんてなかった

だから色が入ってくるとあの時の二の舞になるんじゃないか、

怖い、けれど信じたい、これが本物の色だと思いたいという二つの派閥がこのくにには存在する

それが戦争だ。

過去の経験から刷り込まれた兵士がその過去の箱のマニュアルをもちいて

現在と戦っている

絶えることのない内戦

これを断ち切るにはどうすればいい?

だれもおしえてはくれない

だって、他国の事なんてだれも興味ないから

自国がかわいい

自国が正しい

自国が一番

結局自分が一番大事なんだ。

私も君も。


私を必要としてくれた人がいた

でもそれはどこの国かも知らない

数回しか話したことのない人

それでも頼られたことはうれしかった

これ食べられる? 

ときにかけてくれた人もいた

その人の国は知っている

でも、もしも近づきすぎてまた

「アナタハ、イラナイ」

と言われたら?

毎日この戦争が頭の中で起こっている

途絶えることのない負の感情

負の感情を上回るほどの感情を持ち合わせていない

そういう感情はきっと

小さくて

見つけにくくて

積み上げていくもの

なんだろう

負の感情は一気に飲み込まれるけど

感動は時間がかかるのだろう

わかってはいるけれど

もう

つらいんだ

10数年も一人で戦争して

また捨てられた自分がいる

理不尽に傷つけられて

積み上げていたレンガが瓦解していく

感情は

割れて

落ちて

消えて

やっぱりこれも偽物だったのかな?

戦争の始まりだ


感情という国境はもろくてすぐに壊れてしまうもの

小さい年なら回復早いけれど

もうこの年になると人間不信をこじらせる

だから城砦を築いて

自国を守るんだ

たとえ相手が友達だと認識してくれていても

こっちは認識できない

これがさみしいんだ

つらいんだ

苦しいんだ

涙が出るんだ

だれか私に

「友達」

という憲法を教えておくれ


いまだに私はシリアの内紛のなかにいる

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私はシリアだ 名前はまだない @sasurainotabibito

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