第8話 何かされたのはこっちだよ

○夜の秋葉原の公園・午前0時

  公園に設置された時計の時報が鳴る。

  水のみ場で顔を洗う安藤。そこに杉山が近づいてくる。

杉山「安藤! おまえ、二ノ宮さんにナニしようとした!」

   杉山、安藤の胸倉を掴む。

安藤「何かされたのはこっちだよ。仲間にならないかと誘われたけど、断った。それでゲロをかけられて捨てられたんだ。髪にもまだついてる」

杉山「うわっ! くせえ!」

  杉山、安藤を離す。安藤、再び水のみ場で髪を洗う。

安藤「杉山さん。何度も言うが、足を洗ったほうがいい。ボクまで誘ったくらいだ。彼女は宝石強盗よりも、もっと悪いことを企んでいるんじゃないか?」

杉山「くどい! 俺は二ノ宮さんと添い遂げ……」

  パトカーのサイレンの音、近くなる。

杉山「まさか……」

  杉山と安藤、走り出す。


○夜の秋葉原の国道・午前0時十分

  野次馬たちをかき分けて前に出る杉山と安藤。弘美が警官に逮捕されパトカーに乗せられる。レッカー車が弘美のクルマを牽引しようとしている。

安藤「杉山さん。二ノ宮さんは逮捕されたし、これで足を洗って……」

杉山「いいや、まだだ……まだ終わってない」

  杉山と弘美、目が合う。弘美の目で指示を受け取った杉山、きびすを返す。

安藤「杉山さん?」

杉山「安藤、この借りはいずれ返す。じゃあな」

杉山、野次馬たちをかきわけて出て行く。

安藤「杉山さん」

  安藤、杉山を探すがいない。

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