第三話 「王都への道のり」

青々しい木々が並び立つ一本道をリアムは王都に向かって歩を進めていた。


「そういえば、爺さんが王都は遠くから景色がとても良いと言ってたけど抽象的すぎんだよな…剣は上手いくせに説明は下手なのかよ、ハハハッ!」


自分の師を満面の笑みで小馬鹿しながらリアムは王都への期待を膨らませていた。


するとおにぎりを食べている男が木に腰掛けて休むのが見えた。


ー若そうに見えるな…でも俺よりは年上かな。馬車がある!



「お休みのところすみません、この後どこかに向かわれる予定ですか?」



突然声をかけられた男は少し驚いた顔をしたが、優しく返事をした。


「ああ、この道を行った先にあるバスティアン王国に。珍しいな、こんな道を1人で歩く方がいるなんて」


「歩きながら旅を少し…ところで私もバスティアン王国に行く予定なのですがのお邪魔でなければ馬車の方に乗せてはいただけませんか?」



「いいぜ、乗りなよ」



その人は快く馬車に乗せてくれた。後ろにたくさんの荷物があるのが見えるあたり商人と推測できる。

気さくな人で良かったと一息つくリアムは続けて自己紹介を始める。


「申し遅れました、私リアムといいます。」


「俺はリック・リノベイド!商人をやってるんだが知らなそうだな。リアム君、苗字は?」


「あ、孤児院育ちですので名前はないんです」


実際苗字はあるがあんな家系の人間だと名乗りたくない。ゆえに隠す。


「そうか、それは失礼。ところでリアム君はいくつ?」


「今日で16に」


「そうかそうか!おめでとう!若いな、しっかりしているから大人かと思ったよ!

ところでなんの目的で王都に行くの?」


「実は仕事を探してまして、剣を扱えるので剣の仕事にと。それと…」


続けて、爺さんからもらった深く、美しい紫色に輝く石を出し、



「これを使って剣を作ってくださる鍛冶師を探していて…」



するとリックは驚いた顔をして、



「それ、ヘルストーンじゃないか!この世界で最も硬い原石だよ!魔竜の巣窟でしか手に入れることができないレアモノだよ!これ君が採ったの!?」


「いや、私の師匠から譲り受けました」


子供の時に見た以来だと言って感動に浸っているリック。

未だどれくらい凄い物か分からないリアムはちょっぴり嬉しさを感じながら原石について質問をする。



「これどれくらい凄いのですか?」


「俺も硬いというくらいしか…そうだ、この原石は一級鍛冶師にしか加工出来ないと聞いたよ。良かったら知り合いに一級の鍛冶師いるから紹介しようか?」


「是非、お願いします」


ー先に原石についての説明してくれよ爺さん!


心の中で爺さんに嘆くリアム。心做しか爺さんの笑い声が聞こえた気がして、剣を抜くとリックがめちゃくちゃ驚いてた。





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太陽の温かみが弱まり、少し涼しくなってきた頃何かを思いついたのか、リックが話をし始めた。


「仕事を探してるって言ってたけど王国騎士とかになるの?」


「まだ決まってませんがそういったものの仕事に就きたいですね。王国騎士はすぐになれるでしょうか?」


「うーん、確か王国の騎士団のトップの人達に勝つ実力もっている、騎士学園を卒業しているみたいな感じだった気がするけど、まず騎士団長に勝つのは不可能だと思うな。あの人世界の剣使いのトップにいる人だからね」


ーそんなに強い方なのか…一度手合わせしたいな。


「では騎士学園には入ることは出来るんですか?」


「確か、バスティアン王国の生まれ育ちなら16歳なってからで他の国だと騎士団の強い人の推薦か…騎士団と戦うかだな」


ーなるほど、騎士団に入るのは容易じゃないってことか。


「そうなんですね、ではまず色んな仕事を探すところですね」


「そうだな…あっ!見えてきたぞ、あれがバスティアン王国だぜ」



そこには人々の商売が盛んに行われ活気に溢れる美しい王都が広がり、中央にある屋敷のような城が荘厳さとともにそびえ立っている。


ー確かに綺麗だ。やるな爺さん。


心の中で爺さんを褒めていると王都が近づいてくる。

門番の人にリアムの事を言及されたがリックが上手く事情を説明すると笑顔で中に入れてくれた。


「リックさん、ありがとう。、ここからは歩くよ」


「大丈夫か?もし分からない事があったら俺の家を訪ねな!あ、そこら辺のお店の人に聞いたらすぐ教えてくれるから!それと鍛冶師の地図だよ、リックに紹介されたと伝えな!」


そう言って別の道へ行くリックにお辞儀するとリアムも宿と仕事を探し歩き始めた。



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アンダーフィールド 栞菜蝶 @kannachou

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