第51話 帰郷と婚約者

説教を終え移動を再開して半日二人の住んでいた村へと到着する頃には日が暮れてきていた。

村は家が5件ほど木でできた塀というか柵のような物に囲われ門らしき場所には二人人が立っている。



「やっと着いた…」


「…説教さえ無ければ…」


「…無ければ?何?」


「いえ、何でもありません。」



村の入口に付くと門の前にいた二人の男が声をかけてきた。

「お!クレアとセレスじゃねいか!」


「もう帰ってきたのか!」


「ゼル!ギース!ただいま!」


「…ただいま」


「…?こいつは誰だ?」

ゼル?(ギースか?)と呼ばれた男達の片割れが私の方に担いでいた槍を向けてきた。



「この子はリリス今私たちとパーティーを組んでるの」


「リリスですよろしく♪」

…なんかやたら胸の方を見られてる気がする。

よく考えたらリリスの姿で男の人とまともにしゃべった事あんまり無かったな…


「「…お前らどこ見てんのよ!」」

気がついたら二人はセレスとクレアに殴り飛ばされていた。




「この村に宿とかあるの?」

滞在中どこに泊まるか決めてなかった。


「…」

…目を逸らされた。


「仕方ないマイルームに泊まるか…二人は実家に帰るんでしょ?」


「ええ…面倒だけどね…」

「うん…それが目的だからね…」


「じゃあまた明日ね、私は一旦外に出るから」


門の前でわかれ外でマイルームに入ることにした。



「私たちの家に泊まるっていう手もあったけど…あの屋敷と比べられるのは恥ずかしいしな…」


「うん」

クレアの意見にセレスがうなずいている。







「クレアが帰ってきた!?」

村で一番大きな家の一室で若い男が報告を聞き返す。

「はい…先ほど門兵が確認しました」


「ふふふ…ハンターなんて辞めてを選んだか…ハハハ!!」







次の日マイルームから出ると村の方が騒がしかった。


「…なんだ?魔物でも出たか?」

助人ユウトの姿からリリスに変更すると村へと向かった。


「だから!結婚しないって言ってるでしょ!!」


「そ、そんな約束が違うじゃないか!!」


「何が違うのよ!!約束通り一年以内に銅級になったじゃない!!」


「そんな事あり得る訳がない!!僕より弱い癖にまだ3ヶ月とちょっとしかたってないのに銅級になれる訳がない!!何かイカサマしてるに決まってる!!」


村に着くと広場の真ん中でクレアと知らない男が口論していた。

辺りを見回すとセレスがいたので声をかける。


「おはようセレス…これは何の騒ぎ?」


「おはよう…クレアが元許嫁とケンカしてるだけ」

…許嫁?そういえば銅級になれなかったら村で結婚とか言ってたな。


「銅級になったから婚約解消になったのに男がいちゃもんつけていると」

セレスがうなずく。


「クレアがあんだけ嫌がってるのに結婚して幸せだとでも思うのかね~」


「…クロードは村長の息子だから村の中では裕福な方だから…」


「…金はあるぞって言ってるのか、でも今のクレアなら多分この村の村長より稼ぐぞ?」


「そこうるさいぞ!さ…き…から…」

クロードがこちらに怒鳴るが言葉が段々弱くなる。


「ん?」

首を傾げているとこちらに走ってきて両手を握ってきた。


「俺と結婚して下さい!!」


「は?」

さっきまでクレアを口説いてた?はずなのに初対面のわたしに告白って何を考えているんだ?


「白銀の髪!つぶらな瞳!その豊満な胸!俺の理想通りのひとだ!お願いだ結婚してくれ!!」

…生まれて初めての告白が男からという事に泣きたくなった。


「お断りします!」


「なぜだ!こう言ってはなんだがそこら辺のやつより金はあるぞ!剣の腕だって村で一番強いのだ!何が不満なんだ!」

…そのアピールで靡くやつはきっと駄目な奴だと思うぞ?それに…


「私はお金に不自由してませんし、そもそも私より貧乏で弱い奴がなに言ってるんですか?」


「な、なんだと!!」


「ではいくらお持ちだと?」


「じゅ、十万マーニ位だろうか?」

あくまで村長の息子であるだけで自由にできる金額はさほど大きく無かったな。


「私、預金は2000万マーニ以上今の所持金というのなら100万マーニは持ってるけど?」

イベントリから硬貨を入れた袋を取りだしクロードに見せる。


「ぐ!だが私より強いというのはあり得ない!!その華奢な体躯でどうやって勝つと言うんだ!!」

…うん、めんどい奴


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