第41話 第一試合クレアVS赤蠍

「では第一試合クレアさん レイナさん前へ」

…第一試合って…よく見ると観客席で馬券のようなものを持っている人が多く見える。

コイツら賭けでもしてるのか?


クレアはリングという限られたフィールドの為最初から短剣を構えている。


一方レイナと言われた人は長い紐いや…

「鞭か…」

ゲームの時には見なかった武器だな。


「このリングの上なら中距離の鞭は有利だなよし!レイナを3枚くれ!」

「赤蠍と無名のガキなら赤蠍だろう!俺は5枚だ!」

…案の定賭けてんな。


「あれって私にも買えるの?」

近くに居た職員に聞いてみた。

「自分の試合はダメですが他の人の試合なら大丈夫ですよ」



「親父!クレアを50枚!」

わざと周りに聞こえるように大声で言った。

「え?はい一口1万マーニで50万になります。」

50枚の赤い紙の束を受け取る。


「おい!馬鹿がいるぞ!オッズが上がった!俺はレイナ5枚!」


「俺もレイナ5枚!」


「リリス…あんたねぇ…」

セレスがジト目で睨んでくる。


「セレスも買ったら?絶対儲かるよ?」

今度はレイナの方から視線を感じた気がした。


「うーん…じゃあクレアを3枚…」



「クレア!ちゃんと手加減しないとダメですよ!!」


「あんたらねぇ…!!!」

…いい感じに熱くなってきたな。



「締め切ります‼」

最終的にオッズが1.8対1.2となった。


「では第一試合開始!」

アニタがリングを降りるとゴングが鳴らされる。


「この!!!」

先に動いたのはレイナ炎を纏った鞭がクレアを襲う。


「くっ!」

跳んでくる鞭を短剣で弾きながら防戦一方のクレア。


「ふん!小娘が調子にのって!!」


「え!?煽ったのリリスじゃん!私はなんもしてないのに!」


「やかましい!!」


「理不尽!!」


怒りのせいか攻撃のペースが上がる。


「わっ、ちょ…」

次第にペースに追い付けなくなってきたクレアは短剣を弾き飛ばされてしまう。


「これで!…」


決まった!とレイナを含め会場のほとんどの人間がそう思っただろう…リリスたちを除いて。


「な!?」

次の瞬間レイナの手に握られていた鞭が弾き飛ばされて宙を舞う。

クレアはその隙を突き予備のナイフを首元のに突きつけていた。


「…勝者クレア!」


今回クレアは短剣を使っていたが本来使なのだ。

つまり…


「弓も使わず矢を飛ばした!?」

足元に落ちている通常より短い矢を見つけて唖然としている。

これは正確には矢というよりダーツに近いのだが。


「ほら!勝てたでしょ?」

次戦うセレスに声をかけようと振り返ると…


「こ、これ当たりました!!」

…換金に走っていた。


「…まあ緊張してないならいいか…」

苦笑いしながら自分も換金に向かうのだった。


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