第14話 銀狼族の脅威?とギルドのひと悶着

「…あんたかずいぶん早かったな?何かあったのか?」


さっき忠告をくれた門番が俺に気がついて声をかけてきた。


「まあ…あったと言えばあったがゴブリンは狩ってきたよ。」


「何?もしかして…」


「ああ、森…緑の狼に会ったよ」


「!それでどうした!?」


「ちゃんと狩ってきたから大丈夫だと思うけど…他にいなければ」


ストーリーとしては一度しか倒さないがゲームの時は何度でも挑戦可能だから何とも言えない。


「そうか…何か証拠はあるか?」


「それなら…」

ストレージから毛皮を取り出す。


「な、どこから出した!?」

あれ?あ、普通はストレージとか無いのか!?どうしよう…?


「まさかアイテムボックス?まさかお、いや貴方ははどこかの貴族様?」


慌てているところに追い討ちをかける貴族疑惑更に焦ってフードが外れてしまい隠していた頭部が露になる。


「そ、その姿は銀狼族!なるほどそれなら納得できる」

…え?銀狼族ってなんなのホント!?


「わかった…いえわかりました。領主様に討伐された事を報告しておきます。あとで討伐に対する褒賞金が振り込まれると思います」


いきなり態度が変わった。銀狼族とはそんなに高位な存在なんだろうか?


「別にそんなに格式張らなくてもいいぞ?」


「いえ、公の場でそのような事はできません!」

即座に否定される。

逆に怖いんだが…


「…わかった」

これ以上は周りに迷惑がかかると思い切り上げる事にした。





「あ、ユウト様!お帰りなさいませ!」

ギルドに入ると登録してくれた受付嬢が大きな声で挨拶して来た…今「様」とか言ってなかった?

銅級のニキーは「さん」だったのに?


当然のごとくギルド内にいた人達がざわめきたつ。

「あ、アニタちゃんが様付け?なんだアイツ!?貴族か!?」

アニタ嬢が?この前ハンターやってた男爵を殴り飛ばしたとか聞いたぞ!?」

…なにやってるんですか受付嬢アニタさん

「ならなんだ!?」

「神?とか?」

なんか話が大きくなっている。


早足でカウンターへと向かい受付嬢アニタさんにタグを渡す。


「…あんな大声で呼ばれると困るのですが…」

と小声で言うと…


「申し訳ありませんユウト様!」

と机に頭が付く位下げられる。

いや!やめて!目立つから!


がやがやと声がする。

「おい!アイツ白だぞ!?」

「マジか!?白のハンターにあそこまで頭を下げるなんて…」

「もしかしてアニタさん何か弱味でも…」

その言葉に辺りが静まり返る。

そして


「そうか!おい!テメエ!」


とこちらに向かってくる…いや!やめて!

物理攻撃されるとスキル<オートカウンター>が起動する。


<オートカウンター>

バトルスキル

効果

物理攻撃を受けた時に自分の攻撃力分のダメージを相手に与える


素手のためつまりATK75%の状態なのだ。つまり剣を装備していない今の状態の方が強い。

だがここで剣を抜くというのもできない相手は素手で殴りかかって来るのだから。


…しょうがない…


当たると即死(相手が)攻撃するわけにもいかない…できる選択肢は…


「喰らいやがれ!」

と殴りかかって来る男どもの攻撃をひたすら


「な!?」

10人近い男たちが殴りかかるが誰一人掠りもしない。


裏の方から

「やめて!私のために争わないで!」

とアニタさんが嘆いている。


…あんたわざとやって楽しんでんだろ?


30分位してようやく諦めたのか引き下がる男たち。


「あ、アイツ…涼しい顔しやがって…」

「ダメだ…俺達では…勝てねえ」

「…てかあれ…アニタ嬢の悪ふざけじゃないか?」

「ああ…ちらっと見たが途中小悪魔的に笑ってたように見えた…」

「くっ!やられた…でも可愛い…から許す」


…いやダメだろう?


再びカウンターに向かいアニタを睨み付ける。

「ひぃ!」


「…あんたとは取り引きできない。」

と預けていたタグを取り隣の受付嬢に渡す。

個人情報を大声でばらしたり最初からこの娘は合わなかったが流石に今回のこれはやりすぎだ。


「…」

涙目で唖然としているアニタ。


そして代わりにタグを受け取った受付嬢もいきなり注目が集まり、

「は、ははははい!」

とキョドりながら手続きを行おうと端末にタグを差し…

「え!?銀狼族!?」

とギルド全体に聞こえるほどの大声で叫び声を上げた。


ギルドが静まり返ったのは言うまでも無いだろう。


「このギルドにはまともな職員はいないのか…?」

一人溜め息をつくユウトだった。


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