第11話白銀の流星

ゴブリンあと一匹で依頼完了だったのに…何で…何で…


「な、何でこんな事に!」


「クレア!黙って走りなさい!追い付かれるわよ!」


相棒のセレスに怒鳴なれながらも悔いずにはいられない。


あと一匹なのに見つけたのはゴブリンリーダー…通称角付きゴブリン

名前の通りゴブリンの上位種でゴブリンの額に角が生えたような見た目である。


様子を見ようというセレスを無視して後ろから仕止めようとクレアが矢を放ったが上位種であるゴブリンリーダーを仕止めるには攻撃力が足りず気がつかれた上に仲間を呼ばれ現在にいたる。


「はぁはぁ…町はまだ!?」


「…多分あと20分ってところね…」


「くっ!このままだと追い付かれる!」


「だからもっと慎重に…危ない!」


飛んできた矢からクレアを庇うセレス。


ゴブリンアーチャーまで!


「セレス!」


「くっ!……私が足止めするからあなたは早く逃げなさい!」


足に矢が当たったセレスは少し考えると何かを決意した顔でクレアに逃げるようにつげた。


「何を言ってるのよ!私が悪いんだから私が残る!」


涙目のクレアは腰の短剣を抜き前に出ようとする。


「…この足では逃げ切れない。早く行きなさい!」


「…どのみち間に合わないみたいね…」


ゴブリンの姿がもう目の前に迫っていた。


「ギャギャギャ!」

獲物に追い付いた事になのか笑っているような声に聞こえた。



足を引きずりながらも剣を構えるセレスは私に一言


「…ばか」


とだけ言った。


私もセレスの脇に立ち短剣を構えながら

「…知ってる」


と返した…いつものように…恐らく最後になるだろうやり取りに…




二人は生まれた時からの幼馴染みであった。

クレアが動ならセレスが静

クレアが太陽ならセレスは月

対極的な二人だったが仲が悪かった訳では無い少なくともクレアは親友だと思っていた、セレスはある種義務感のようなもので付き合っていた。

ある日クレアが


「今日の夜流星群が見れるんだって!」


と誘いに来た。

…セレスに拒否権は無くまあセレス本人も見たいと思ったので何も言わなかった。


村の裏山の木上で夜空を眺めていると星が流れ始める。


「流れ星に願い事をすれば叶うって言うよね?」


「そうね」


「これだけあれば叶うよね!」


と大きく息を吸い込み…


「世界一のハンターになる!」


と夜空に叫んだ。

またいつもの悪い癖だとセレス思い。


「そう…頑張ってね」


と突き放した積もりだったが…


「なに言ってるの!セレスもなるのよハンターに!」


「は?」


…数年後クレアに引っ張られ半強制的にハンターにされてしまった。





(走馬灯って奴かな…)

ゴブリンの攻撃を牽制しながらふと笑いが出た。


(願い事叶わなかった…な)



「ギギ!」


「しまっ!」


余計な事を考え隙が生まれ短剣を弾かれもうダメだ!と思った瞬間…



「ギャ!」

聞こえたのはゴブリンの短い悲鳴

ゴブリンは少しの血を残し消え去り

、暗闇を切り裂く白銀の流星ユウトが舞い降りた。

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