第12話 ゴブリン無双とポーションの味

暗い森の中で白銀に輝く髪が靡く。


「え?」

ゴブリンもクレアも唖然とした。

それはそうだ近くに人の気配は無かったはずだ。少なくとも見える範囲に。


「クレア!?大丈夫!?」

足を引きずりながらセレスがよって来る。


「そこで大人しくしてろ…すぐ終わる」


そう言うとまた姿が消えゴブリンの首が飛ぶ…20はいたゴブリンの群れが一瞬で消え去った。


「ギー!!」

ゴブリンリーダーが叫び声をあげるとまたゴブリンがどこからか集まって来る。


「リーダーを狩らないと!」

と叫ぶが…


集まってきたゴブリンの首が飛ぶ。


「え?」

もしかしてこれ…


そう…ゴブリンの湧き狩り…わざと近くのゴブリンを集めさせて狩っているのだ。


「すご…」

セレスも言葉を失っていた。


数分後ゴブリンリーダーが声をあげてもゴブリンが寄ってこなくなったところでゴブリンリーダーの首が飛ぶ。


「待たせたな」


両手剣を背中に背負うと私たちの方に向かってきた。


「…ふむ怪我か」

セレスの足を見たその人はどこからか瓶を取りだしセレスに渡した。



「ポーションだ飲みな」

セレスは受け取ったあと相手の顔色をうかがうようにじっと見ると恐る恐る飲み始めた。

「…う」

え!まさか毒!?


「うまい…」

…そんなベタな事すんな!


「って嘘?ポーションって苦いんじゃないの!?」


前に一度飲んだ時は草の汁みたいな味だったはず!


「あ、足が!」


傷口がみるみる閉じて綺麗な状態に戻る。


そんな様子を唖然と見つめていると…

「お前も飲むか?」

と同じ瓶を差し出してきた。


こくんとうなずくと瓶を受け取り口をつける。


「!甘くて美味しい!!」

甘くてさっぱりしていてとてもおいしかった。


ポーションに夢中になっているとその人は急に森の奥を睨み付け…


「お前らそこの木の影に隠れろ!」

と叫んだ。


言われるがまま木の影に隠れると…


「バキバキバキ!」

という音と共に緑色をした巨大なオオカミが現れた。


「何あれ…」

セレスも私も見たことも聞いたことも無いモンスター…けど彼は

「今度は森狼グリーンウルフか…」


と正体を知っているようだった。

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