第15話 碧眼×鈍感

「外に出たくねえ……。」


天気はあいにくの雨、ただでさえ気分はブルーなのにウルトラマリンにまで落ち込む。そういえばウルトラマリンから「り」を抜いたらウルトラマンだからウルトラマリンから利抜きをした存在がウルトラマンの説が……自分でも何言ってるのかわからなくなってきた。


「大体、このあたりで行くところ……図書館か。」


なぜこんな日に外に出なければならないのかというと、母上にお金を渡され追放されたのだ。休みの日だからごろごろしたいのにリビングで寝転がっていた俺が邪魔なようであった。

大体、誰が掃除していると思ってるんだ、智里と柊が普段からやってくれているんだぞ。ちなみに俺はやっていない。

最近のライトノベルでは「追放系」が流行っているらしく、俺も「母親に追放された俺がぼっちな件」みたいなの書こうかな。間違いなく壮大に何も始まらない。

そんなことを考えているうちに俺は図書館の目の前までやってきていた。


「推理小説でも読むか……。」


図書館に入るとすぐ右手には新しく入荷した図書や雑誌の類が立てかけられていて、手前から順に日本十進分類法によって分けられている。一番奥には幼児が本を読むためのスペースがあり、今日は休日というのもあってか何やら読み聞かせのイベントを行っていた。


「シャーロックホームズにミスマープル、なんか違う。」


あれこれ手に取ってはみるものの、いまいちしっくりこない。


「うーん……。」


読む気もいまいち出なかったので本を棚に戻すと図書館から出た。

何やらバシャバシャという音と共に何かがこっちに来ていた。大方傘を忘れて図書館に雨宿りに来た人間だろう。


「ひゃー!すごい雨!止むまで居させてもらおーっと。」


この時期だというのにまぁまぁ薄手の格好をした同年代くらいの女の子がやってきた。髪はショートで暗い青色、瞳は綺麗な碧眼で身長は女性にしては高い165ほどだった。

このあたりには高校はもう一つあるのでその学校の人だろう。

この娘は天気予報を見なかったのだろうか?今日は一日雨だし何なら今から雷の予報もある。


「ん?君どうかしたの?」

「いや、今日雨やむ予定無いっすよ。」

「え!?」


やっぱりか、彼女は困ったような顔をしながらオドオドしだした。

うーん、俺の家からここまでの距離は1㎞か、まぁ別にいいか。

距離を確認すると携帯をポケットにしまい、彼女のほうへと向く。


「これ、俺の家近いんで良かったら使ってください。」

「え!でも……」

「大丈夫です!別にビニール傘なんで捨てても問題ないんで、じゃ!」


彼女に傘を無理やり渡すと俺はそのままダッシュで家へと向かう。

これからの予定は家に帰って昔の写真でも整理しようかな、それにしてもあの瞳、どこかにいたような?まぁあの髪色は初めて見たしデジャヴのようなものだろう。


途中水たまり思いっきり踏みつけて靴には染み込むし、ズボンは泥付くし災難であった。



「誰だ……この娘?」


思わず口に出てしまった。

俺の持っていた写真には綺麗な碧眼の瞳を持った、翡翠色の髪色の女の子が、俺と一緒の写真に映っていた。しかし、俺にその記憶は全くと言っていいほどなく、名前も出てこない『碧眼』という物だけが記憶に残っていた少女の姿がそこにはあった。

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