第8話 ドジ×鈍感
「おはようございます。」
本日も晴天なり。毎日変わらない日常があれからも続いていた。
いや、続くとは言っても1日しかたっていないので続くかどうかは神のみぞ知るってところだろう。しかし俺の家は間違いなく異常事態に見舞われているということだ。
「あのさぁ……なんで有栖まで俺の家で食卓を取っているの?」
「わ、私はイリーナたちがアンタの家でご飯食べてるって………。」
彼女の声はすぐさま小さくなってしまったので全く聞こえなかった。
もう一度聞き返そうとしたところ何やら叫びながら二階のほうへ行ってしまったのでよくわからなかった。
「って普通に二階に上るんじゃねえ!」
日に日に増えていくは人数、とは言っても仕事が増えるのは智里だけなんだよなぁ。
「毎日ご苦労様です……。」
ご飯を食べ終えると、ご馳走様と一緒に智里への苦労の労いも兼ねて深々と頭を下げる。
「どうだった?久しぶりに和食にしてみたけど。」
「うむ、美味い。」
「それだけ?」
何やら彼女はほかの言葉を選んでほしかったようだが食レポの下手な俺にはこれ以上の表現のしようがなかった。毎日食べたい、なんて言ったらセクハラに捉えられかねない。男というのは美味なるものを食べた時は何も言わず黙々と食べようとする。
「食事の速度で判断してくれよ。」
俺は食べ終えた食器を流しへと運びながら智里へ伝えると彼女は自分の腕時計を見た後に満足そうな顔をした。伝わってよかった。
「さてと、お前ら学校行く準備はできてるのか?」
「何言ってるの?今日は休みよ?」
学ランのボタンを閉めながら階段を下りてきた俺は彼女の一言で唐突な眠気が襲ってくるのを感じた。部屋へと戻り急いで学ランを脱ぎ捨てると先ほどまで来ていたパジャマをもう一度着、ベッドに潜った。
「洗濯できないから早く脱げえええぇぇぇぇ!!」
俺の家のはずが俺の家に平穏などはなかった。
****************
「外に出てきたはいいけどやることもねえしな……。」
仕方ないので時間を潰すべく一つの本屋へと立ち寄った。
入るとそこには本屋のランキング上位の本が並んでおり、漫画やミステリー、果てにはエッセイなどが置いてあった。
「漫画は―――。」
店内を見渡し、漫画コーナーを見ようとしたとき一人の女性が目に入った。
おさげに眼鏡をかけ、身長は」女性にしては高く170㎝ほどくらいあっただろう。服装はどこかの高校だろうか?ここら辺では見たこともない服装をしていた。ひゃースカートは短えしオラわくわくスっぞ!
賞もないことを考えながら何やら家にいる人間たちの気配がしたので咳ばらいをし、ごまかした。
「どこかで見たことが………ないか。」
デジャヴのようなものを感じたが俺の勘違いだと思い目をそらそうとしたとき彼女と目が合った。
やっべ、こういう時言い訳するか、無言で目をそらすか迷う。
「あの~どこかでお会いしたことありましたっけ?」
全く同じことを考えていたところに質問をぶつけられて俺は虚を突かれたようになる。
「えっ!あっ!自分も全く同じこと考えてたんで……あはは……」
やっべコミュ障なのバレる。
今から取り繕うにも手遅れなので判決を待つ罪人になったつもりで彼女の回答を待っていた。
いや、俺の幼馴染に眼鏡をつけてるのは一人もいなかったが身長がかなり高いやつなら一人いた。
「
俺の口から自然と出ていた。
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