2024節分

 2月が迫ってきたある日。保育園に迎えに行くと、娘が強張った顔で言った。

 「今年は山から鬼が来るんだって。……先生が、巨大化した鬼だって言ってた。悪い子は連れて行かれるって」


 節分である(^_^;)


 物心ついた頃から、娘は2月を恐れている。どこからともなく現れた鬼が、保育園のクラスにやってくるからだ。全身タイツにかつらを被った赤鬼や青鬼が、金棒片手にこども達を追い回す。気合が入った保育士さんの鬼コスプレは大人になれば笑えるが、こどもにとっては恐怖である。年長さんも全員泣き喚くこのイベント。「鬼が怖いから保育園行かない」と訴えるこども達に配慮してか、去年から鬼だけでなく福の神が登場。お多福のお面に打出の小槌、福々しい体型の神様はどう見ても園長先生なのだが、正体不明の怪人としてそれはそれで恐怖をそそり、こども達の涙に迎えられていた。

 園側が趣向を凝らすほど泥沼化していく気がする節分。今年は巨大化するのか……。ヤンチャな男の子達が先生を困らせてるから、「鬼に拐われたくなければ言うこと聞け!」ってことかしら(^_^;)


 さぞや娘は怯えているだろうと思いきや、今年の娘は一味違った。


 「山からくるって、どこの山よ? このへん山ないじゃん」


 確かに!!(*゚∀゚)


 「悪い子はやられるって言うけど、追いかけるだけじゃん。金棒持ってるけど、叩いたりしてないよ?」


 ほんとだ!!(*゚∀゚)


 「鬼が喋らないのもおかしいと思うんだよね。……もしかして、先生なんじゃないかな」


 鋭い!!(*゚∀゚)


 その後も鬼への疑惑をビシバシ指摘し続ける娘。三十分ほど話を聞き続けた私は、満を持して言った。


 なるほど〜、鬼って実は、子どもに何もしないんだね。なんか、先生っぽいしねぇ。じゃあ、怖くないんじゃないの?( ̄ー ̄)✨


 「いや、怖いわ!!」


 やっぱり怖かった(^_^;)


 その後も毎日鬼の恐怖を語っていた娘。どうやら先生だとしても、「いつ来るかドキドキするし、急に来るからビックリするし、見た目が怖いから嫌」らしい。保育士さん達がまた、「昔、先生の友達が鬼に拐われた」だのなんだの、恐怖を煽る話をしてくるのもあるよう。他の園から転園してきた子も、「前の園では先生が、段ボールで作った鬼のお面つけるだけだったよ。なんでこの園の鬼はそんなに怖いの?」と皆の怯えように慄いていたらしい。

 節分って、そんなイベントだっけ……?


 そして迎えた当日。

 前日から恐怖で泣いていた娘。ギュッと私にしがみつき、休みたいのを我慢して、勇気を振り絞って登園……!!

 頑張った……!!(´;ω;`)

 

 お迎えに行くと、娘が笑顔で飛びついてきた。 

 「鬼来たけど、机の下に隠れてたら大丈夫だったよ! お豆、少ししか投げられなかったけど……」

 自分で隠れたんだ、すごい! あんなに怖がってたのに、ちゃんと豆まで投げて、頑張ったねぇ✨

 「今年の鬼、すごく太ってた。たぶん〇〇先生(新人保育士)。福の神は、✕✕先生かな(主任)」

 正体、遂にバレたんだね(^_^;) 傍にいた保育士の先生も「よく分かってるねぇ」と苦笑。巨大化ってまさか、鬼の体型のことだったのか(笑)

 

 娘は園で作成した鬼のお面を持ち帰り、意気揚々と帰宅。

 これでやっと、恐怖の節分は終わりだー!!

 あとは我が家で平和に節分。今年はリュウが鬼に立候補。ユヅ作の鬼のお面を被り、金棒代わりにバットを持ち、皆が投げる豆をバットで打ち返すという謎の行事に(;^ω^)

 恵方巻ロールを頬張り、笑顔の娘。今年もよく頑張ったね✨

 何はともあれ、みんなみんな、健やかに過ごせますように(*´▽`*)

 

 

 

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