きぼう

 先日、職場の同僚の方から教えてもらい、『きぼう』を観測した。

『きぼう』とは、国際宇宙ステーションの一部として日本が開発した、日本実験棟のことである。私は全然知らなかったのだけれど、肉眼で『きぼう』を観察できる日時を教えてくれる「きぼう予報」なるものがあるらしい。

 https://lookup.kibo.space/

 

 普段は見ることのできない、宇宙を巡る国際宇宙ステーション。浪漫やなぁ✨


 早速、帰宅した息子に報告。

 「今夜、『きぼう』を観よう! 国際宇宙ステーションだよ!」

 「……空、曇ってるけど。見えないんじゃないの? どうせ大したもんじゃないだろうし」

 

 ちょっとおぉぉぉ!!(; ・`д・´)

 少年はもっと夢を持てよ~ ( ´_ゝ`)


 寂しく黙り込んだ私に背を向け、ゴソゴソし始める息子。


 「双眼鏡を準備しなきゃな……落としたらいけないから、風呂敷に包んでおこう」

 

 あれ、楽しみにしてるわけね( *´艸`)

 どうやら「曇りで見えなかったらガッカリするから、見えるわけないって思っておこう」ということだったようです。男心は複雑やな~。


 さて、観測可能な時間が近づいてきました。

 家族全員でベランダへ。空は確かに曇りだけれども、よく見ると晴れ間に星が出ている。


 ……あれ、あの星、動いてるんじゃない?

 あれが『きぼう』なんじゃないの!?


 盛り上がる私。はしゃぐ子ども達。

 その時、連れがぽつりと一言。


 「違うんじゃない? ……あっちじゃないの?」


 連れが指さす方を見ると、明らかに動いている大きな光。

 しまった!! 

 錯視! 誘導運動か!(;゚Д゚)


 (注)誘導運動……周囲の他の対象の運動によって,実際には静止している対象があたかも動いているように見える現象。この場合、雲間の星を見て、周りの雲が動いているのを星が動いているように錯覚しちゃったんですね。


 ……まぁ、気を取り直して(^_^;)


 『きぼう』の光はゆっくりと、力強く大空を横切っていく。

 果てしなく広がる宇宙の闇。その中で、地球を見つめながら暮らしている人達がいる。

 日々繰り返される実験や観測。未来への、希望。


 遠ざかる『きぼう』に、4人で「いってらっしゃい」と手を振った。

 なんだか、「さようなら」は言いたくなかったのだ。

 見えなくなっても、私達と繋がっているのだから。


 

 宇宙、とか宇宙ステーション、とか言うと大層なことですけど。

 私自身は打ち上げとか何とかでニュースになる時くらいしか注目してなかったのですが、初めて『きぼう』を見て……。今この瞬間も続いている誰かの努力があるんだなぁって、しみじみ感じたのです。宇宙飛行士だけではなくて、技術者や研究者や、24時間365日見守るスタッフの方々。表舞台には名前が出てこないような誰かの努力があって、国際宇宙ステーションは今日も回っているのですもの。

 そういう、誰かの淡々とした営みに支えられていることって、たくさんありますよね。

 注目されなくても、感謝されなくても、報われなくても。

 淡々と社会の陰で頑張っている誰かのお陰で、私は今日を生きている。

 なんだか、そんなことを考えてしまいました。


 8月7日まで、地域によっては「きぼう」が見られるみたいですよ。

 夏の夜、宇宙を感じてみるのも、なかなか素敵でしたよ~ (*^-^*)

 

 

 

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