作文2

 七歳の息子が宿題で作文を書いた。授業でミニトマトの苗を植えた時のことだった。

 以下、原文。


 きょうミニトマトのなえをうえました。うえきばちがなかなかみつからなくてこまりました。


↑学校で以前チューリップを育てた植木鉢に、ミニトマトを植えたらしい。自分の植木鉢がなかなか見つからなかったんでしょうね(^_^;)


(チューリップの)きゅうこんはみつかりませんでしたが、かわりになんかの目がでてたので

「きゅうこんどこかなー、だれか見つけたのか?」

 とおもいました。


↑球根を盗られたと思ったんだね(^_^;)

 ていうか、目が出たんかい!


 つちをうえきばちにいれてなえをうえるとき、ムカデっぽいむしがつちにもぐったのでふあんでいっぱいでした。


  Σ(・ω・ノ)ノ!


ふあんなことも多かったけど、まぁすこしおちつきもあってふくざつなきもちでした。


 虫、苦手なシティボーイだもんね。一生懸命、自分を宥めて落ち着かせたんでしょうね~ ( ´艸`)  ふくざつなきもち(笑)


 私と連れは、この作文に爆笑。

 普通は、「はやくミニトマトがなるといいな、たのしみです」みたいな作文書くのでしょうけどね……。でも、ありのままでいいなぁと。



 息子の作文で、甦った記憶。


 小学一年生の時。初めて読書感想文を書いた。

 当時好きだった、「はじめてのまっしろパンツ」という本を選んだ。小学校でお漏らししてしまった1年生の女の子が、保健室で新品のパンツを貸してもらう話。惨めだった女の子を、魔法みたいに元気にした保健室の先生の優しさ。ぴかぴかのパンツ。


 担任の先生は、私に作文の書き直しをさせた。


 渡されたのは、推薦図書の「かたあしだちょうのエルフ」。版画が少し、怖かった。

 書かされた作文は入選した。でも、私はピンとこなかった。


 私の作文、何処へいっちゃったんだろう?



 息子と同じ、小学二年生の時。

 作文の授業があった。自由に書くよう言われ、みんな思い思いに書いた。

 私の作文は入選した。後日、入選者の作文集が届いた。大人になって、読み返した。

 当時の私が書いたのは、台所の蛇口についてだった。


 今日の朝は、しんとしていました。朝ごはんを食べていたら、台所の蛇口からポタポタ水が落ちるのが見えました。見ていたら、蛇口の水はトタ、トタタ、と途切れたり、なみなみなみっと続けて落ちたりしていました。私は不思議だなぁと思って、ずっと見ていました。


 そんな風な作文だった。

 遠足のこと、家族のこと。周りの子が書いた作文に比べて、なんだか異質だなぁと思った。

 私は少し、変わった子だった。みんなの当たり前が私には当たり前じゃなかった。周りに合わせようとしても、どこかとんちんかんだった。そういうことも思い出した。

 一つ一つの作文に、コメントが添えられていた。私の作文にも。


 「すごい発見をしましたね。小さな変化に気づくあなたの目は、すごい目ですね」


 入選したことではなくて。

 一生懸命書いた気持ちを分かち合ってくれた人の存在が、嬉しかった。


 

 息子の作文熱は続き、謎の創作が続いている。よく分からないけど、楽しそうだ。

 誰にどう思われるかとか、彼には関係ないようだ。このまま、書くことを楽しんでくれたらいいなと思う。

 感じたことを、感じたままに。

 書きたいものを、書きたいように。

 それを相手に伝えられたなら。受けとめてもらえたなら。

 それは、とても幸せなことだと思う。



 ここまで読んで下さった、あなた。

 本当に、ありがとうございます (人´▽`)


 

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