風船

 六歳の息子と買い物に出掛けた先で、風船をもらった。

 ヘリウム入りの風船は、ふわふわと宙に浮く。

 「しっかり掴んでないと、飛んでいっちゃうよ」

 声を掛けると、緊張した息子は力一杯風船の糸を握りしめた。


 大荷物を抱え、帰路につく。強い風が吹いて、息子は悲鳴を上げる。

 「風船飛んじゃう!」

 大丈夫だよ、と笑った私の目の前で。


 風船が舞い上がった。

 呆然とする息子の手の中には、千切れた糸。

 水色の風船は、どこまでも駆け上がっていく。空に溶けるみたいに。


 息子が人目も憚らず、大声で泣き出した。

 三十路の私でさえ、胸がぎゅっとなった。二度と取り返しのつかない切なさ。


 帰宅後も、息子は号泣。

 不思議そうに眺める娘に事の次第を説明。

「優しい人が、拾って持ってきてくれるかもよ~」

 三歳の娘の慰めに、息子はボソリと。

 「そんな訳ないし」

 

 う~ん(^_^;)


 安定剤に、おやつ投与。

 やっと息子が泣き止んだところで、娘が一言。

 「風船、飛んでいっちゃったの?」

 息子、号泣……。

 なぜ傷口に塩を塗る(´-ω-`)


 泣き伏す息子の背中を撫でる。

 「風船はきっと、自由に空を飛んでみたかったんだよ~。2、3日で萎んじゃうから、その前に冒険したかったんだよ。今頃、宇宙にいるかもよ?」


 息子、さらに号泣( ;∀;)


 就寝前。息子がポツリと。


 「風船、今頃は宇宙にいるかなぁ」


 やっと気持ちの整理ができたか?(^_^;)


 「そうだねぇ、宇宙から地球を見てるかも。綺麗だなぁって」


 「……でも、萎んじゃうんだよね」


 うん……(´-ω-`)


 不意に、息子が言った。


 「風船、萎んでも生き返るかも。もう一度飛んで、風船の国に行くかも」


 そうだねぇ。

 風船の国で、ずっと遊んでるかも(*^^*)


 息子はもう、泣かなかった。


 

 気休め、だろうか。

 それでも、私たちにはそんな物語が必要な気がするんだ。

 取り返しのつかないことも、悲しくて仕方ないことも、悔やみきれないことも、たくさんあるけれど……。

 それでも前を向くためには、物語が必要な気がするんだ。

 自分のために紡ぐ、希望の物語が。



 なんだかまとまりませんでしたが。

 最近、立て込んでるのと気力が今一つなのとで、いつもにましてヨムが追い付かず……。

 カクヨムコン期間でもあるので、応援に回りたいのですけれど……。

 とろとろ読みで申し訳ないです。

 気持ちの上では、いっぱい応援しております!!参加中の皆様のご健闘をお祈りしてます (。-人-。)

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