親子愛

(注)お食事中の方は読むのをお勧めしない内容です。特に、トマト食べてる方はダメです m(_ _)m


 始まりは突然に。


 入浴中、息子のシャンプーを手伝い終えて一息ついたところで、息子が叫んだ。

 「ユヅちゃん!!」

 振り向くと、茫然と立ち尽くすユヅ。

 その足元に広がる湖。不吉に散らばる夕飯のトマトの皮。


 !?(|| ゜Д゜)


 とりあえず風呂場の床を洗い流し、ユヅの体も洗ってしまう。ユヅも落ち着きを取り戻し、いつものように湯船で遊びだす。


 たまたま……か?(゜゜;)


 今夜、連れは夜勤。一人でモンスター二人を相手に、寝かせて食べさせて送り出して遅刻せず出勤せねばならない。しかしながら、祈る私を嘲笑うかのように闘いの火蓋は切られた。


 就寝後。ユヅが呟く。

 「きもちわるい……おなかいたい……」

 度々トイレに立つも、出ず。

 朦朧としながら迎えた午前一時。

 何度目か分からぬトイレに立ったユヅが、突然蛇口と化した。


 !?(|| ゜Д゜)


 トイレマットに、忌まわしのトマトの皮。

 とりあえずユヅを着替えさせ、布団に送り届けて枕とシーツの染みに気付く。トイレまで間に合わずに出ちゃってたらしい。


 洗濯祭や~!!

 └(゚∀゚└) (┘゚∀゚)┘ワッショイ!


 片付けていたおねしょシーツを布団に敷いてユヅを転がし、いざ出陣!

 片手に消毒液、片手にトイレットペーパー。片っ端から消毒して洗濯して脱水して干して……ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿


 やっと終わった(´-ω-`)


 一息ついた私が振り返ると。

 閉めたはずのトイレのドアが開いている。消したはずの灯りが真っ暗な廊下に零れる。


 !?(|| ゜Д゜)


 まさか。ドアを開け放った私の瞳に飛び込んできたのは。

 

 棒立ちになった娘は、生ける噴水と化していた。

 床に広がる海。

 哀しきはトマトの皮……。


 祭だ!!└(゚∀゚└) (┘゚∀゚)┘ワッショイ!


 ……親子愛って、ですよ。

 なんとなく聖母子像とか、慈しみとか、優しい眼差しとか、そんなイメージじゃないですか。

 でも、私、思うんですよ。

 体は(ピー)まみれ、顔は鼻水まみれで号泣してる娘に、パニくりつつも「気持ち悪いね、お着替えしようね」って言いながらグチャグチャなパジャマをひっぺがしていく。やっと寝れると思ったけどまぁ仕方ないよねって再びハイターマンと化して闘う。

 そういうところに、親子愛って転がってるんじゃないですかね……?

 まだ今回は娘も自分でトイレに行けるからいいですよ。乳児で布団に何かの敵のように攻撃されるとかだったらほんと悲惨……。まだ今回は息子が同時に吐いてないから救われますが……。

 言ったら怒られそうですけど、無償の愛って、ほんと、無償ですもんね。これ、やって当たり前って話ですもんね。当たり前じゃないし!!( ;∀;)


 闘いを終え時計を見れば、午前3時。眠っている娘にホッとする。いつもは5時半にセットしている目覚ましを、せめて6時にセットし直す。ハイター臭に包まれて就寝。


 翌朝。まだ不穏な娘は、とりあえずゼリーで朝ごはん。熱も上がってきて、ぐったり。

 タイミング悪く来客や外部との会議がある日で仕事は代打不能。祈るような想いで病児デイケアに電話したところ、空きあり!助かった!!

 我が家は双方の実家に頼れない状況なので、私も連れも休めない時は病児デイケアにGO!なのです。


 受診したところ、ノロウィルスの診断。まだロタじゃなくてよかった……。

 

 「保育園、おやすみ?」


 元気の無い娘に若干の罪悪感を感じつつ、告げる。


 「保育園はお休み。病院の保育園だよ」


 娘は嫌がりもせず、淡々と病児デイケアの部屋に向かう。

 ほんとは、お家がいいよね。ごめんね。

 明日は、お父さんとお母さんが交代で休むから、お家でゆっくりしようね。


 病児デイケアの扉を開けた途端、個室にダッシュしテレビ前に陣取る娘。


 !?( ̄□ ̄;)!!


 「いってくるね」と声をかけても、振り向きもせず。いつもは息子とリモコン争いだけど、好き放題テレビが見れるから……?

 いや、もしかしたら、娘なりの母への気遣い?


 お陰さまでお母さん、栄養ドリンクとブラックコーヒー片手に何とか仕事を乗り切りましたよ(ノ´∀`*)


 夜には娘の熱も下がり、蛇口も噴水も封印されておじやが食べられるまでに回復。よかった~。

 寝かせつけのトントンをしながら、娘に声をかける。


 「明日はお家でゆっくりしようね。今日はがんばってくれて、ありがとう」


 娘は私に手を伸ばし、トントンしながら言った。


 「お母さんも、がんばったね」


 えぇ子やー!!・゜・(つД`)・゜・



 翌日は連れと私で交互に休みをとり、娘を看る。交代時、連れがボソリと。

 「なんか、感染したかも……」


 ……言ったらいけないって、分かってますが。連れも夜勤もあってしんどかったろうしさ。しかし……。


 いっちゃんきつか時におらんかったとけ、なんばそげん簡単にうつりよっとか!?

 <訳>一番きつい時にいなかったにもかかわらず、なぜそんなに簡単に感染してしまわれるのでしょうか。


 とりあえず連れにビオフェルミンを強制的に飲ませたら、特に何事も起きなかったみたいですよ。

 それとも、私が怖くて体調の悪さを訴えられなかっただけ……?


 翌々日から娘は無事登園。

よっしゃー!今日は連れにお迎え頼んで残業予定。がんばるぞー!

 溜まった仕事をやっつけるべく励む私に、一本の電話。


 「〇〇小学校です」


 え?(゜゜;)


 「リュウ君が、給食を(ピー)しまして。お迎えをお願いします」


 !?(|| ゜Д゜)


 ……祭、再び└(゚∀゚└) (┘゚∀゚)┘ワッショイ!



(注)現在は二人とも回復してピンピンしてますので、ご心配なく。連れも元気。たぶん。

 



 

 

 


 


 

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