卒園式

今日は、息子の卒園式。

コロナ騒ぎで危ぶまれたけれど、無事に実施されることになりました。

息子が大好きな担任の先生は、袴姿。

若くて可愛くて優しくて、息子は手を握ったり後ろから抱きついたり、毎日セクハラなんだけど、私もレアな袴姿に ( 〃▽〃)

先生目当てで、息子とのツーショットゲット!


ホールに入場する時から、息子はニヤニヤ。大丈夫か?

一人ずつ名前を呼ばれ、保育証書授与。

みんな凛々しく、将来の夢を叫ぶ。

保育園の先生、お医者さん、サッカー選手。


園の誕生日会で、息子は周りに合わせて、「○○レンジャーになりたい」と発表していた。

怪人を怖がって、見たことないのに。

今から、周りに合わせなくていいのに。


今日、息子は、何て言うんだろう。


担任の先生が、保護者に向けて手紙を書いてくれていた。

「年長になった最初はまだパニックもあったけど、今では自分の気持ちを言えるようになってきました」

「苦手な運動も、諦めずに頑張り、跳び箱も跳べるようになりました」

「一年生になっても、リュウくんなら大丈夫!」


息子が入園したのは三年前。

私の知らない、息子の日常。


前の保育園から今の保育園に移った時、ちょうど妹が産まれた。息子にとっては変化が重なり、大変だっただろう。

朝起きてから夜眠るまで、家では泣きわめく日々。登園も嫌がり、7時に起こして登園させるまで、二時間半かかった。

なのに、保育園では一切泣かなかった。

当時の担任に家の様子を伝えても、「園では問題ないです」と。

張りつめた笑顔で頑張っていた息子がやっと園で泣けたのは、1ヶ月後のことだった。


五人の小さな保育室から、三十人のクラスになり、毎日がチャレンジの日々。

些細なきっかけで、一時間半泣き続け、先生を困らせたり。

なぜか「お家帰らない!」と階段の踊場に立て籠り、鼻血を吹いて抵抗したり。

急な仕事で急遽、延長保育になった時には涙を流し、やっぱり鼻血吹いたり。

……思えば、息子の初鼻血は、私が妹を出産した翌日だったな。起きたらパジャマが真っ赤だったとか。


私が血まみれの思い出に吹き出しそうになってたら、息子の番がやってきた。

息子はステージで、叫んだ。


「大きくなったら、大工さんになりたいです!」



保育園の帰り道。工事現場を見た息子が言った。

「家を作る人のこと、なんていうの?」


「大工さんだよ」


私は答えた。


「お母さんのおじいちゃん、リュウくんのひいおじいちゃんも、大工さんだった。ばぁばの家は、ひいおじいちゃんが建てたんだよ。お家作っちゃうって、すごいよね」

「ひいおじいちゃんは、リュウくんが産まれる前に、死んじゃったんだ。リュウくんに会えてたら、喜んだだろうね」


ふぅん、と息子は頷き、私は自転車をこぎ続けた。月を見上げながら。



おじいちゃんは、喜んだだろうか。


卒園児31名。

宇宙飛行士、恐竜博士、サンタさん。

夢は様々。

みんな、そのまま、大きくなあれ。


卒園、おめでとう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る