第7話 二歳の娘が女優である件について

二歳の娘は、保育園ではお利口さん。

先生の言うことはよく聞くし、食事もスプーンで黙々と食べる。トイレもばっちり。お友達とも仲良し。天使のような微笑を振りまく。

担任の先生達からも、「ユヅちゃんは私達の癒し」とか言われてるらしい。


しかし、園の先生達にサヨナラした途端、娘は豹変する。


園の駐輪場で「帰らない」と大泣き。

帰宅後、食卓になんとか座らせるも、野菜のおかずの皿を放り投げる。

私の叱責は聞き流し、汁物を高らかに掲げ、容赦なくこぼす。

勿論ご飯も茶碗ごと投げ捨てる。

好きなものはおかわりを要求するので、「野菜も口に入れたらね」となだめていると、しぶしぶ野菜を口に運ぶ。

が、肉をおかわりした途端、野菜をそのまま口から吐き出す。


最近は、夕食の支度中に「ご飯食べない!お菓子!」と要求。

その姿は、マリー・アントワネットを彷彿とさせる。


「ご飯が嫌なら、お菓子を食べればいいじゃない」


給食は完食なのに…。


先日は、スーパーで自転車に乗らないと大泣き。無理やり乗せようとするとひっくり返る。

あまりに格闘が続くので、五歳の息子も不安にかられ、泣き出す。


阿鼻叫喚の中、「どうしたの?」という声。

振り返ると、見知らぬ人の良さそうなミセス。


途端、何事もなかったかのように自転車に座る娘。

外面が良すぎる ( ; ゜Д゜)


小さくても、女の子は女優だ。



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