第2話 息子の寝かせつけ

昔の人は言っていた。


「寝るより楽は、無かりけり」


今の私は言っている。


「寝かせつけるより苦は、無かりけり」



五歳の息子と二歳の娘がいる。


息子は赤ちゃんの頃から、眠い時のぐずり方がひどかった。


眠くなる度、最低20分、最高90分、延々抱っこ。


やっと眠っても、布団に寝かせると泣き出し、振り出しに戻る。


泣きじゃくる息子に子守唄を歌う気力も尽き、自分を保つために好きな小説を声に出して読むことに。


適当に本を選び、うっかり不倫の話を読み聞かせたりしていた。


二歳頃になると抱っこはなくなったものの、まだまだ寝かせつけは難航。


寝室に連れていってからが長い長い。


玩具も無いのに遊び続け、喋り続け、目が爛々としてくる。


私の方が先に力尽き、気付くと息子がリモコンで電気を消し、隣で寝息をたてている、ということもあった。


何かいい方法がないかと思っていたところ、「寝る前の儀式のような、ルーティーンの何かをやるとよい」という情報を入手。


王道は絵本だろうと「ねんね絵本」を導入したのだが…。


もともと、息子は大の絵本好き。


物心ついた頃から、絵本片手に「読め!」と私を追いかけ回していた。


「毎日読まされる絵本を、寝る前に読むことにすればいいじゃん!」と思ったのだが。


読み終わって「さぁ寝よう」と声をかけると


「もう一回!」


結局、ねんね絵本がエンドレスという予想外の展開に…。


無理矢理切り上げると、次は


「お話して!」


最初は「リュウくん(←息子)と、しま○ろうの話」だったのが、


「家に木が生えてくる話」


「家に二本、木が生えてくる話」


「家に三本、木が生えてくる話」


「家にたくさん木が生えてくる話」


と、難易度アップ。


何のお題だよ (* ̄∇ ̄)ノ


「リュウくんと、クマと、お皿の話」


三大噺か Σ(゜Д゜)


いろいろ変遷があったものの、最後は、


「リュウくんがアイちゃん(園の好きな女の子)に誕生日ケーキを作ってプレゼントし、『すご~い、ありがとう💕』と喜ばれる話」


に落ち着き、毎晩意中の女の子にいい格好をする息子の話を語らせられた。


ちなみに、私が飲み会等で不在の夜は、連れが寝かせつけ担当。


ある晩、23時近くに帰宅し、静まり返った寝室を覗くと


真っ暗な部屋で屍のように横たわる連れの姿と、


その横に無言で座っている息子の姿が…!


戦慄が走った (|| ゜Д゜)


そこから寝かせつけ開始…。


以来、飲み会から帰宅し、寝室を覗く時は心拍数が上がるようになった。


🍀子育てで見つけた幸せ🍀

こどもが自分より先に眠ってくれたら、幸せ✨



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