第768話 2021/11/20 地獄とか

 本日は5時起き。室温は12℃くらいと随分下がったが、半纏を着ていると暖房なしでも平気なのが凄いな。ただ月曜くらいから最高気温が12℃とか13℃とからしいので、さすがに朝方は寒くなるのではないか。やれやれ冬がやってくる。面倒なことだ。


 先般亡くなった占い師の細木数子氏の決め台詞の1つに「地獄に落ちるわよ!」があった。冷静に考えれば不思議な話である。彼女はやたら「日本では昔から」と保守的なことを口にしていた印象があるが、「黄泉比良坂よもつひらさかを転げ落ちるわよ!」などとは言わなかった。かならず「地獄」だったのだ。

 日本では古来より、死後の世界を「黄泉よみの国」と呼んだ。地獄ではない。黄泉の国の文献への初出は「古事記」らしい。日本書紀には黄泉の国の記述はないそうだ。

 地獄とは元々インドの死後の世界に関する思想が中国に伝わり、道教などと混淆して仏教伝来の際に日本に伝えられた、とWikipediaには書いてあったが、ならば古事記成立の頃にはすでに日本に地獄の概念はあったのだろうか。古事記や日本書紀は仏教勢力との争いの中で生まれてきたとも言われるので、あえて地獄に言及しなかったと考えられなくもないが、日本の文献に地獄が登場するのは平安時代になってからとの話もある。

 まあ奈良時代や平安時代の仏教はエリートの為の先端学問であったので、その教えが人口に膾炙して、それなりの教育を受けた者なら誰でも「地獄」という言葉を気軽に使えるようになるまでにタイムラグがあったのかも知れない。これが教育を受けていない一般庶民にまで広まるには、ここからまだ時間がかかったことだろう。別段金持ちでも何でもないただの村人が死んだときに仏式の葬儀を執り行い、遺族が「地獄に落ちませんように」と願いながら手を合わせる、なんて光景は最近とまでは言わないものの、想像を絶するほど大昔からあった訳ではないのだ。

 中国から伝わった日本の地獄は閻魔大王を頂点とする官僚機構であるが、キリスト教の地獄は悪魔が支配する無法地帯である。とは言え、その考え方捉え方には宗派によって差があり、キリスト教全体としての統一された地獄観というようなものはないらしい。まあ、地獄を見て帰って来たヤツはいないのだから、統一見解など出せるはずもないのだが。

 現代の我々は気軽に手軽に簡単に「地獄」という言葉を使うが、その際イメージするのはどの地獄なのだろうな。「八熱叫喚地獄の釜茹での刑」といったピンポイントをイメージする人間もいるかも知れないが、おそらく大多数の考える地獄は、仏教の地獄かキリスト教の地獄かも定かではない、ただ恐怖と苦しみに満ちた曖昧模糊とした世界ではないか。まあ、もしも地獄が実在しているのなら、その曖昧模糊としたイメージが実際の有り様に近い可能性もなきにしもあらず。

 さて18日、アメリカの司法省はフィリピン在住のキリスト教系新興宗教の教祖である71歳の男、アポロ・カレオン・クイボロイを起訴した。いったい何をしたのかと言えば、カリフォルニアを拠点とする偽の慈善団体が集めた資金を使って、フィリピンで12歳から25歳の女性を勧誘して渡米させ、教会で働かせていたのだ。もちろん、ただ単に働かせていただけなら、給料さえ払えばさしたる問題にはならない。

 司法省の報道発表にはこうある。

「被害者はクイボロイ被告の食事を作り、住居を掃除し、マッサージを行った。そして『夜勤』と呼ばれる仕事では、被告との性行為を要求された」

「クイボロイ被告と同教会の運営者は、暴力や暴言に加え、地獄に落ちると脅して、被告との『夜勤』、つまり性交を強制した」(以上AFP)

 何でこう、インチキを働く連中は「地獄」が好きなのかね。自分たちが落ちるかも知れないと常に心のどこかで意識しているからなのだろうか。クイボロイ被告は現在フィリピンで身を隠しているらしいが、どうにか捕まってもらいたいところ。そしてこの世で「生き地獄」を味わってもらえれば重畳である。


 19日、第一次岸田内閣の閣僚の資産が公開された。1位は野田聖子氏の2億8553万円、岸田首相は4位で2億868万円、内閣の平均は9441万円だったという。毎回これ思うんだが、この報道に意味あるのか。

 そりゃまあ、閣僚になってからいきなり資産が10倍20倍になった大臣とかいたら怪しいし、監視が必要なのは理解できるのだが、たとえば野田氏の資産について、「どのようにして」それを得たのか、まで報じて初めて意味があるのではないか。ただ「ハワイに住宅持っているので」で終わっては何のためのメディアだ。単に数字を並べられても、我々としては「へー、おっ金持ち~」としか思えない。

 貧乏人は嫉妬しろとでも言いたいのならともかく、権力の監視をメディアの存在価値の1つとして掲げたいのなら、政府の出す数字を垂れ流すのではなく、まず役に立ってくれと思えてならない。


 19日、アメリカのバイデン大統領は内視鏡による結腸の良性ポリープ切除手術を受けた。麻酔の効いている間、ハリス副大統領に大統領権限を移譲、この麻酔から目覚めなければハリス氏は史上初の女性アメリカ大統領となったのだが、幸か不幸かバイデン氏は1時間半後に無事目覚めた模様。

 しかし1時間半とは言え、超大国の全権を握った気分はどうだったのだろうな。虫けらなら、とりあえず核のボタンを取り出してマジマジと見たりするところだが。まあそんな人間は最初から国家のトップには選ばれないだろう。……と、トランプ氏が大統領になる前なら言えたのだがな。


 みずほフィナンシャルグループの坂井社長とみずほ銀行の藤原頭取が多発した障害の責任を取って辞任する運びになっているそうだ。ふーん、である。別に社長や頭取をクビになったところで無職になる訳でもないだろうし、仮に無職になっても生活に困ることもないだろうし、まったくどうでもいい。

 まあ責任を取るための責任者であるから、これも仕事の内なのだろうが、引責辞任でも退職金ゼロってことはないだろうし、これでみずほの社内環境が改善される訳でもなかろう。自分たちにはもうこれ以上何もできないというギブアップ宣言である。あまり格好の良いものではないな。


 本日はこんなところで。昨日は何とか2000文字書けた。明日は新型コロナのワクチンの2回目だ。余裕があるといいのだけれど。

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