第750話 2021/11/2 コウモリとか

 本日は10時半起き。快晴。火曜日か。まあ昨日が月曜日なので今日は当然火曜日なのだが、どうしても火曜日な気がしない。金曜日に思えて仕方ない。もちろん、それで困るような生活はしていないものの、なんとも気持ちが悪い。やはり何曜日は何をする、という行動が決まっていないと曜日感覚は消え去ってしまうな。カレーでも食うべきか。


 それなりに本気で何かに取り組んでいると、その反動であちこちに「酸っぱいブドウ」を抱え込むことになる。自分には才能がある、実力がある、と考えるのは大事だが、自分はどんなジャンルでも書けて誰よりも面白く、すべての面においてナンバーワンの天才作家である、とまで思い込める物書きはあまり多くない。            

「このジャンルは自分の趣味には合わない」

「自分が書くべき物語はこうではないのだ」

 などと言い訳をしながら苦手なジャンルを避け、そのジャンルで人気者になっている作品や作家を横目で見ながら忸怩たる思いを抱く。そんなことを思う必要などないのだがな。何でもかんでも書けないのは当たり前であって、たとえば夏目漱石や森鴎外や芥川龍之介がいまでも生きていたとして、異世界転生ファンタジーラブコメが書けるかと言えば、普通に考えて書けるはずなどないのだ。

 人間は自分のできることを伸ばし、何かをなせば良いのであって、できないことを並べ立てて「どうせあのブドウは酸っぱいに違いない」などと考えるのは無意味である。と、理屈ではわかっているのだが、人の心はなかなかどうして、思い通りには行かない。他人の作品を読んで、「これなら俺の小説の方が面白いだろう」とか「何故これが認められて自分の作品は認められないのか」とか思ってしまうものなのだ。思ったところで自分の作品の人気が出る訳でも、物語が面白くなる訳でも、文章が上手くなる訳でもないのに。何とも不毛なことよ。

 とは言え、嫉妬も度を超さねば創作の原動力となる。あくまでも度を超さねば、だが。しかし往々にして度を超してしまうのもまた、人間らしいと言えば人間らしいのだよなあ。

 そんな「酸っぱいブドウ」はいまさら言うまでもなく、有名なイソップの寓話である。その寓話集の中に「卑怯なコウモリ」という話がある。これもまた有名であるからいちいち説明の必要もないだろうが、鳥と獣が戦争をしたとき、空を飛ぶ獣であるコウモリがことあるごとに鳥側についたり獣側についたり寝返りを続け、結果双方から敵視されるという、コウモリの評判を地に落とした酷い物語である。

 自分たちの知らないところで人間に勝手に卑怯者扱いされて、コウモリも迷惑千万であろう。その名誉を挽回させようという意図があったのかどうかは不明だが、昨日コウモリにスポットライトが当たった。

 1日、ニュージーランドの森林鳥類保護団体フォレスト&バードは、「今年の鳥」に固有種のオナガコウモリが選ばれたと発表した。2021年度の「今年の鳥」を選ぶ投票には過去最大の5万6733票が投じられ、オナガコウモリは最多の7031票を獲得したそうだ。2位はフクロウオウム(カカポ)の4072票。鳥類以外の動物が「今年の鳥」に選ばれるのは初めてらしい。まあ、そりゃそうだろう。

 ニュージーランドといえば羊の国という印象があるが、羊は当然人間が持ち込んだ家畜だ。現在のニュージーランドには家畜やオーストラリアなどから移入されて野生化した哺乳類(有袋類を含む)はいるが、固有種の陸生哺乳類がコウモリ以外にいないのだそうな。つまり「今年の哺乳類」を選べば毎回コウモリか、海のクジラしか選べない訳だ。そのコウモリも絶滅の危機に瀕しており、今回の「今年の鳥」選出は啓蒙の意味がある模様。

「国民は固有種のコウモリを愛している」

「コウモリへの1票は、コウモリと羽の生えた仲間たちを守るための天敵対策や生息地の再生、気候変動対策への1票でもある」(以上CNN)

 とフォレスト&バードは声明の中で述べている。愛されたり卑怯者扱いされたり、コウモリも大変だ。まあ現実的な話をすると、コウモリがいなくなれば農作物の害虫が増えて殺虫剤の使用が増える。つまり人間が農薬まみれの作物を食わねばならんということになる。いかに農薬の安全性に配慮したとしても、それはあまり喜ばしい状態ではない。かつてスズメを害鳥として駆逐した結果、昆虫が大量発生して農作物が壊滅し飢餓に襲われた国もある。ニュージーランドが同じ轍を踏まないことを祈るばかり。


 衆議院選挙の結果を受け、立憲民主党の枝野党首が辞任を表明した。まあ選挙で負けただけならともかく、そこに至るまでずーっとダメだったしな。立憲民主党も結党したときは17%くらい支持率があったように思うのだが、それっきりだった。トータルで考えて辞任は当然だろう。枝野氏個人が有能かどうかは知らんが、野党第一党の党首という立場に限って言うなら向いていなかったのではないか。官房長官が限界の人物だったと思う。

 とは言え、問題は次の党首だ。現段階では誰がなっても同じである。スターもエースもいないのだから。何か衆目を集めるようなダイナミックな動きを見せてくれると面白いのだけどな。無理かも知れないが。


 一方自民党は小選挙区で落選した甘利氏が幹事長を辞任し、後任に茂木外務大臣を当てるらしい。政府より党内政治を優先するような印象を与えかねない人事だが、どのみち新内閣を発足させねばならん訳だし、個人的には茂木氏は外相としてどうだろうと思う部分もあったので、比較的好意的に解釈している。

 外相の後任には林芳正氏の名前が挙がっているが、まだ未定だ。この先何らかの動きがあるだろう。


 本日はこんなところで。ネタがないのは相変わらず。嫌な話ならいくつかあるのだがな、気分が落ち込むようなことを詳しく書いてもアレである。まあ、仕方ない。

 新作はちょっとずつ進んでいる。物語そのものはある程度方向性が見えてきた。だが、まだトリックが思いつかない。なかなか簡単には行かないものだ。

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