第735話 2021/10/18 切腹とか

 本日は4時頃に起きて2時間ほど小説を書いたのだが、また二度寝してしまった。気付けば11時。ふんがー。まあ今日は何も予定はないしな、別にいいか。


 寛永年間(1624年~1643年)というから江戸時代も比較的初期、三代将軍徳川家光の時代、戦乱がなくなり平和になった江戸では、仕事にあぶれた食い詰め浪人が大量に発生し、様々な問題を起こしていたらしい。「狂言切腹」もそんな問題の一つ。狂言切腹とは何かと言えば、有名な大名の屋敷や寺社などの前で「これ以上生きていられないので切腹する」と浪人が宣言するのだ。

 そんなところで切腹などされては、死体の処理はしなくてはならないし、奉行所へ届けも出さねばならない。血で汚れた玄関先も掃除しなくてはならないし、近所の評判も悪くなる。デメリットだらけで極めて迷惑であるから、大名や寺社は浪人に相応の金を与えて追い返すのである。これをあちこちで繰り返す浪人者が少なからずいたらしい。

 しかし譜代大名として名高い井伊家はそれを許さなかった。狂言切腹を企てた浪人に対し、竹光で切腹せよと迫ったのだ。浪人は逃げ道を塞がれ、無理矢理に切腹させられて果てた。これ以降、狂言切腹の流行は収まったという。

 これをテーマとして描いた小説が滝口康彦氏の「異聞浪人記」であり、それを原作とした小林正樹監督の映画「切腹」である。である、とか偉そうに言ってるが、虫けらはこれらの作品を読んだことも観たこともない。勉強が足りないなあと改めて思うところ。

 これら作品では追い詰められて行く浪人の悲哀が中心に描かれているようなのだが、もしかしたら今の時代には共感を呼ばないかもしれないな。昨今の情勢を見る限り、我々もイロイロと追い詰められているはずなのだが、その実感がどうにもない。それが果たして良いことなのか悪いことなのか。

 さて17日の午後3時10分ごろ、大阪府枚方市内の駐車場で、40代の女性が腹に包丁を刺して倒れているのが見つかり、通行人が119番通報した。救急搬送されたものの、命に別状はない模様。また刺傷事件かと思われたのだが、周囲の防犯カメラなどを調べた結果、どうやらこの女性、自殺を図ったらしい。

 割腹自殺かあ。確かに理屈としては腹を切っても人間は死ぬのだが、実際には介錯がいないと厳しいぞ。まあそこに追い詰められるまでには様々な苦悩や葛藤があったのだろうとは思うものの、何も本当に包丁を腹に刺す必要はなかったのではないか。いまは狂言切腹をしても本当に殺されるような時代ではない。切腹は口先だけで済ませて、もう少し世の中に甘えても良かったような気がする次第。


 スペインにはプラネタ賞という有名な文学賞があるらしい。今年度は女性スリラー作家のカルメン・モラ氏が授賞した。しかし授賞式に出席したのは3人の男性だった。実はカルメン・モラは彼らの共同ペンネームだったらしい。

 この件についてスペイン国内では物議が醸されているそうだが、別にいいのではないか。それともこの賞を与えた側は、作品内容ではなく、女性作家であることを理由に授与したのだろうか。もしそうなら、それは差別だろう。

 そもそも今回のケースが逆であれば、つまり3人の女性作家が男性のペンネームで共同執筆していたら、おそらく何の騒ぎにもなっていないのではないか。エンターテイメント小説などというものは、誰が書いたかなど問題ではないのだ。面白ければそれでいいし、その一点で評価されるべきものである。そして作家のプロフィールも面白さの内なら、性別を偽るくらいどうということもない。

 今回のケースに問題があるとするなら、正体を明かしてしまったことにある。ずっと「謎の女性作家」を貫くべきだったのではないかと思うところ。


 そのスペインでは1995年から現在に至るまで、売春は合法である。しかしサンチェス首相は17日、これを非合法化すると宣言した。もっとも、首相の率いる社会労働党が売春の非合法化を公約としたのは2年前の選挙だ。この2年間これといって何もしなかった政権に、売春の非合法化が可能なのか疑う声もある。

 まあ売春の是非はともかく、非合法化が実現すれば、現在売春産業に従事している人々はEUの他の国に流れて行くだろう。そしてそこで問題を起こし、治安を悪化させる。ただ禁止するだけでは女性の権利を守ることにはなるまい。より包括的な対策が必要になるし、教育も重要だ。金も時間もかかる。いったいどこまでを想定しての売春非合法化宣言なのかは知らないが、スペインだっていま新型コロナ対策で大変なはずだ。果たしてどの程度の優先順位で実行されるのだろうか。


 選挙と言えば、明日は衆議院議員選挙の公示日である。さて、どんな選挙戦が繰り広げられるのか。たぶんいつも通りの風景が展開されるのだろうとは思うのだが、期待せずに観察しよう。おそらくは結果も想定内に収まるのではないか。自民党は多少議席を減らすだろうが、政権交代はないだろうな。


 短いが本日はこんなところで。ミステリーは何とか11万7000文字を超えている。とは言え、本来地の文が必要ない部分に地の文を放り込んで文字数を稼いでいるのだ、読みづらくなっていないかが心配なところ。

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