第699話 2021/9/12 いずくんぞとか

 本日は7時半起き。雨。最近は鉄分をサプリメントで補っているせいか、それほど体は重くならない。やはり貧血が原因だったのだろうか。とは言え昨日も推敲推敲&推敲で、脳みそは疲れている。でも何とか形にはなってきたような気がする。ただクライマックスの説明シーンがなあ。もうちょっと綺麗に収まらないものかという気がしてならない。はあ、もっと性能のいい頭が欲しい。


 ことわざの中には故事成語というジャンルがあるが、これはたいてい漢文を訓読みした物であるため、読んだ感じが堅苦しくて難しい。一読しただけでは意味がサッパリわからない物も多い。

「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」

 などは、有名でもあるが、言葉としてもさほど難しくない、かなりわかりやすい部類である。

「泣いて馬謖を斬る」

「死せる孔明、生ける仲達を走らす」

 これらは漢文の訓読みではないから取っつきやすいものの、三国志の知識がなければ、まるっきり何を言っているのか理解できないだろう。

「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや」

 この辺になると、完全に初見殺しである。特に「いずくんぞ」なんて普通の日本語では使用しない言葉だからな。これは「どうして~であろうか。いや、ない」という反語表現なのだ。「燕雀がどうして鴻鵠の志を知るであろうか。いや、ない」といった意味になる。この「いずくんぞ」をキッチリ理解していれば、故事成語を理解する上でかなり助けになるだろう。

「未だ生を知らず、いずくんぞ死を知らん」

 漢字は変わっているが、これも「いずくんぞ」であり、意味はまったく同じだ。「まだ生を知らないのに、どうして死を知るであろうか、いや、ない」という意味であり、もっとわかりやすく書くなら「生きるという事もまだ理解できないのに、死んだ後の事なんか知るか」である。

「王侯将相いずくんぞしゅあらんや」

 これもまた「いずくんぞ」であるが、このレベルまで来ると、「いずくんぞ」だけ理解できても足りない。この場合の「種」が「血統」を意味すると知らなければ、いくら考えても意味はわからないだろう。「王も諸侯(貴族)も、将軍も宰相(大臣)も、どうして血統によって決まる事があろうか。いや、ない」という意味であり、いわゆる「王権神授説」を真っ向から否定する思想である。この言葉を発した陳勝は、あの中国最初の統一王朝「秦」を打倒した人物、はるか紀元前の話だ。

 さて、話題を現代に戻すと、自民党の総裁選挙は河野太郎氏が正式に出馬表明した事により、役者は出そろった感がある。喜んでいるのはマスコミだ。どこもかしこも、今度はこれが飯の種だとばかりに総裁選を連呼している。しかし、読売や産経が連呼するのは理解できるが、どうして左派系メディアである毎日や朝日が自民党総裁選挙にスペースを割くのかが理解できない。

 毎日や朝日は自分たちの記事が読者に与える影響を考え、理解しているのだろうか。連日連夜「自民党! 自民党!」と連呼して、それが次の総選挙の投票へ何の影響も与えないと思っているのだろうか。左派は自民党以外の政党による政権を望んでいるとばかり思っていたのだが、これだけ自民党の事ばかり取り上げたら、普通に考えて野党の動きは埋没する。それで本当にいいのか?

 左派系メディアのやっている事は、常に自民党に与し、「政権与党は自民党しかないのだ」と左派支持者に思い込ませながら、その上で「ああ、自民党政治は何て酷いんだ!」と大声を上げているのと同じである。それを読んでいる読者も、「自民党は許せない」「自民党政治はもうごめんだ」と言いながら、野党が何を主張しているのかよく知らない。せいぜい「○○議員が××と発言した!」とかその程度である。実際に政権交代が成功したときに何が起こるのかのシミュレーションをしている左派支持者は、虫けらは寡聞にして知らない。「実際にやらせてみなけりゃわからない」とか平気で言うのだ。

 本来、政権交代があったら何が起こるのかについて、真剣に考えるべきは左派メディアであろう。シミュレーションをして、現在と比較して、何が起こる、どんなプラスとどんなマイナスの効果がある、そういった事をつまびらかにして、その上で反自民勢力の結集を呼びかける。それが左派メディアの仕事なのではないか。にもかかわらず、連日取り上げるのは自民党総裁選挙ばかり。何だそれ。

「王侯将相寧んぞ種あらんや」

 本来、国家を率いるべき者は、血統や所属政党で決まって良いものではない。実力のない者は、すっ込んでいればいいのだ。そして現代における実力とは、メディアやインターネットを駆使して人心を掌握する能力である。「○○法を改正します」とかアドバルーンを上げるだけでは意味がない。よく「野党は政権を担当していないから実績を並べる事ができない、だから与党に比べて不利だ」とか言い訳をするが、実績がなければ人心が掌握できないのなら、日本新党が政権与党になる事など有り得なかったはずだ。

 まあぶっちゃけた話、立民の枝野氏や共産の志位氏に細川元首相ほどの魅力があれば、人心は掌握できるし政権交代も可能である。それができないのは魅力がないからだ。もし本当に政権交代を目指すのであれば、魅力のある首相候補を立てるべきだろう。「野党党首」の立場が既得権益になっていないのなら、さほど難しい事ではないように思うのだけれど。


 まあそう言いながらも、消極的与党支持者である虫けらは、自民党総裁選挙に注目はしているのだが、現段階で非常にわかりやすいのは高市早苗氏である。

「領土を守るため、しっかり自衛隊と海上保安庁が動ける環境を確立していきたい」(産経新聞)

「敵基地を一刻も早く無力化した方が勝ちだ。使えるツールは電磁波や衛星ということになる」(共同通信)

 などなど。これを好戦的と捉える人もいるようだが、そういう人の頭の中にはお花畑があるのだろう。客観的に見て、非常に現実的であると言える。国防を第一に考える姿勢は高く評価できる。

 フェミニストに嫌われている高市氏では女性票が取れないのではないかという声もあるが、「鉄の女」マーガレット・サッチャーがフェミニストに人気があったという話も聞かない。その辺は無視して良いのではないか。

 ただ、それでも自民党はすぐ近くに迫った選挙に勝たなければならない。いわゆる「選挙の顔」として見た場合、高市氏は極めて地味である。せっかく管首相が退陣するのに、これでは意味がない。なのでおそらく、自民党総裁は河野氏で決まりとなるだろう。高市氏は防衛大臣を任せれば良いように思うところ。河野首相は高市氏の主張を取り込んで国防体制を整備し直せば、支持率も上がるはずだ。そういう方向で頑張っていただきたい。


 少ないが、本日はこんなところで。毎度恒例というか何というか、「他人が書いてる方が面白く見える病」が発症している。こういうときこそ「余所は余所! うちはうち!」の精神で行きたい。

 推敲は昨日も1周ちょっと。読点の位置は、結構サマになってきた感じがする。とりあえず10周くらいはしているのだろうか。もう締め切りまで時間がないが、あと少し頑張ってみたい。何とかなりますように。

 あ、明日は病院か。ここは休むしかないな。たぶん。

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