第589話 2021/5/25 強制着陸とか

 本日はアウト。昨夜は一睡もしていない。睡眠薬は当然飲んだし、深夜に食パンも食べた。眠るための手段はすべて出せるだけ出し尽くしたのだが眠れない。この状態では今日の昼間に眠るしかない。ヤッバいヤッバい。

 ヤバいと言えば昨日、足下に落ちてる物を拾おうとしただけで太ももを痛めてしまった。何と脆弱な。ネタゲームのキャラクターか。今日はなるべく足を使わないように過ごしたいところではあるが、そうそう都合良くは行かないからな。長引かなきゃいいけど。


 狐は虎の威を借るものだが、パレスチナのイスラム武装組織ハマスの威を借るのは何なのだろう。23日、ギリシャのアテネからリトアニアのビリニュスに向けて飛行していたライアンエアーの旅客機が、ベラルーシ上空でベラルーシ空軍の戦闘機に遭遇、ベラルーシの管制塔からの指示で、首都ミンスクの空港へと着陸した。機体に爆発物が仕掛けられている疑いがあると言われたそうだ。

 ベラルーシの運輸省高官が公表した爆破予告の文面にはこうある。

「われわれハマスの戦士は、イスラエルがガザ地区での戦闘を停止し、欧州連合(EU)がこの戦闘におけるイスラエルへの支持を撤回することを要求する。われわれの要求に従わなければ、(飛行機に仕掛けられた)爆弾が5月23日にヴィルニアス上空で爆発するだろう」(ロイター)

 こうして着陸させられたライアンエアー機であるが、結局爆発物は見つからなかった。ではそのまま解放となったのかと言えばさにあらず。この飛行機にはある人物が搭乗していた。それがベラルーシの政権を批判して指名手配されていた反政府活動家ロマン・プロタセビッチ氏である。彼は空港内で逮捕され、連行された。

 要するにそういう事だ。ハマスだの爆発物だのはすべて作り話であり、実際はプロタセビッチ氏を逮捕するためだけに飛行機を強制着陸させたのである。もはや国際法も条約もクソもあったものではない。

 これに関し各国は非難の声を上げている。

・アメリカのバイデン大統領:

「国際規範に対する直接の侮辱であり、最も強い言葉で非難する」

「EUや他の同盟国、国際機関と緊密に連携し、責任のある者に対する適切な措置を立案するよう、担当者に指示した」(以上時事通信)

・ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相:

「民間機のハイジャックは前代未聞の国家的テロ行為であり、罰せられなくてはならない」(BBC)

・アイルランドのサイモン・コーブニー外務・国防相:

「警告や強い報道発表で済ませてはならない事件だ。実のある制裁を科されなければならないと考えている」

「これは実質的に空の海賊行為だ。それも、国家主導のだ」

「これはアイルランドの航空会社で、欧州連合(EU)の市民が大勢乗っており、EU加盟2か国の首都を結ぶ路線だった」

「EUは、この問題に明確な対応をしなければならない。さもなくば、われわれはありとあらゆる間違ったメッセージを発することになる」(以上AFP)

・日本の外務省の報道官談話:ベラルーシにおける民間航空機の強制着陸及び反体制派記者の拘束について

「今回のベラルーシ当局による民間航空機の強制着陸は国際民間航空条約に反する疑いがあり、更に、強制着陸させた航空機に搭乗していた特定の乗客を同当局が恣意的に拘束することは不当であって、日本政府として強く非難します」

「我が国を含む国際社会の訴えにもかかわらず、ベラルーシ政府が市民の恣意的な拘束など法の支配と民主主義の原則に反する対応を続けていることは極めて遺憾です。我が国は、ベラルーシ当局に対して、市民の恣意的な拘束や力による弾圧を直ちに停止し、法の支配と民主主義の原則を遵守して国民的対話に取り組むよう、改めて強く求めます」

 日本は大臣級の発言ではないのだな、という不満は正直あるものの――もし仮にベラルーシを怒らせたところで日本の内政的には痛くも痒くもないので、いくらでも強気に出られるという側面はあるのだろうが――それでも国際的な問題について即座に公式な意見を表明できた事は評価すべきであろう。あとは日本周辺で起こる事態について、もうちょっと積極的に毅然とした態度を示してくれればなお良いのだが。

 この件についてハマスは公式に、

「完全に無関係」

「われわれはこのような方法を取らない。一部の不審な組織がハマスを悪者扱いし、パレスチナ人およびパレスチナ人による正当な抵抗に対して世界的な共感を得ることを目的に実行された可能性がある」(以上ロイター)

 と主張した。

 一方逮捕されたプロタセビッチ氏は24日、健康状態は良好とした上で、昨年のミンスクでの大規模な騒動を主導したと表明する動画をオンラインに投稿している。揃いすぎた証拠は証拠たり得ないのだがな。ベラルーシの当局者はもう少し加減をすべきだろう。「やれる事は全部やれ」などと上から命令されているのかも知れないが。

 何にせよ、独裁国家は歪なものだ。表面的に体裁を取り繕おうとすればするほどボロが出る。不謹慎かも知れないが、この先どんな迷走っぷりを見せてくれるのか期待したいところ。


 インド政府は新型コロナウイルスの「インド型変異株」に言及したコンテンツをすべて削除するよう、SNS各社に命じたらしい。まあ、「武漢肺炎」が差別的だと言うのなら、「インド型変異株」「イギリス型変異株」「南アフリカ型変異株」「ブラジル型変異株」みんな差別的である。インドの主張それ自体は間違っていない。

 ただそれに言及した情報すべてを一括で削除しろというのは乱暴である。情報の中には公共の利益となる有用な情報も含まれているかも知れない。差別は否定されるべきだが差別の有無だけを見て人間社会が成立する訳でもない。削除すべき情報と削除してはならない情報とに吟味し分別する必要があるはずだ。

 そもそも差別的な意味合いを含む言葉であっても、差別的な意図をもって用いられたものとそうではないものを同列に扱うのは、ただの暴力的な検閲である。言葉の意図は文脈から読み取らねばならない。それが面倒臭いから一括で削除しろと言っているのだろうが、それでは全体主義国家の言論統制と何ら変わらない。あまり褒められたものではなかろう。

 結局「武漢肺炎」であれ「インド型変異株」であれ、必要とされる場面があればこそ言葉というのは産まれるのである。WHO(世界保健機関)が公的な書面では使用しない、というのは理解できるし支持もできるが、端から端まで何でもかんでも使用禁止というのは、ちょっといただけない。台風みたいにあらかじめ名前を用意しておくとか、そういう対応は取れそうな気がするのだがな。


 そんな訳で、今日は7時頃まで起きていたものの、そこでようやく眠れた。起きたのは12時。眠い。メチャクチャ眠い。

 昨日は何とか『鉄塊鬼アイアンロック』を更新できた。次に更新できるのはいつになるだろう。やれやれ。

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