第590話 2021/5/26 根拠とか

 本日は2時起き。この極端さよ。三文得するかどうかはともかく、まあ早起きするに越した事はない。イロイロ予定も立つしな。この先、睡魔に潰されたりしなければの話ではあるが。


 人間誰しも根拠のない自信に浸る時期はある。たいていの人は思春期だろうか。客観的に見て無理そうに思えて忠告する者がいても、

「その言葉に根拠があるのか」

「世の中、常に根拠がある物事ばかりではない」

「やりもしないうちから諦めるなど馬鹿のする事だ」

 などとまくし立てて他人の意見に耳を貸さない。で、実際やってみて案の定失敗するのだが、

「運がなかった」

「タイミングが悪かった」

「余計な雑音がなければ、もっと集中できたのに」

 てな具合に悔しがったりする訳だ。傍から見れば滑稽である。だがこういう段階を踏んで人は精神的に成長するのだ。だから何かにチャレンジする事は決して無駄ではないし、それを嘲笑う必要もない。着実に人間的成長のステップを踏んでいるのだなと優しい視線で見つめてやって欲しいところ。ただ。

 思春期を過ぎてもまだ根拠のない自信に縋り付いている人間も、まま見られる。いい加減、自分にできる事とできない事の区別を付けて、できる事で飯を食おうとすべきだろうと周囲は思うのだが、

「もうちょっとなんだ。もうちょっと、この壁を越えたらモノになるんだ!」

 みたいに本人は思い込んで――もしくは自分に言い聞かせて――実りのない挑戦を延々と続けていたりする。まあ、人間は周囲との兼ね合いの中で「引くに引けない」状況に陥ったりはするから、すべてが本人の責任という訳でもないのだろうが、これは傍から見ていて痛々しい。何かを言ってやりたいが、適切な言葉が見つからない。どうしても「いつまでも夢ばかり見ていないで」と説教臭くなってしまう。これは言う方にも精神的負担がかかるから、できれば言いたくないのだ。何とも困った状態。

 とは言え、これがまだ年齢的に若い時期なら何とかなる。一番困るのは中年を過ぎても根拠のない自信に基づいて動こうとする連中だ。別に歳を取ってから夢を追うのは悪い事ではない。だが子供じゃないんだから根拠を用意しろよ。何かあるだろう。

 そりゃ確かに、己の願望に従って行動して成功する人物はたまに話題になる。しかしそれは、たまにしか居ないから話題になるのであって、裏を返せば大多数は失敗するのだ。

 金のかからない夢ならまあ趣味の延長として笑って応援もできるが、ときどきビックリするほど金をかけるヤツがいる。「プロを目指すには、まず道具を揃える事から始めないと」とか言って。それは普通、道具が揃っていなくともセンスのある作品なり何なりを作れていた人間が言う言葉である。何かをやり遂げた経験も作り上げた事もない者が道具を揃えても意味などない。その辺のスポーツ用品店で一番高いバットとグローブを買ったところで、メジャーリーガーに近づいた事にはまったくならないのだ。

 うーむ。書いてて自分の胸に刺さるな。まあ虫けらもいい歳こいて夢を追っている馬鹿の一人ではある。もっとも虫けらの場合、もうここしか残っていないのだが。未来は平等ではない。誰の前にも無限に広がっていたりはしないのだ。もはや肉体的限界を考えても寿命を考慮しても、できる事など僅かしか残されていない。その僅かな可能性に賭けている。賭けるしかない。賭けなければ、もう虫けらとすら呼べないただのゴミになるしかないのだから。

 虫けらは胸を張って作家になる自信がある、などとは言わない。さすがにそこまで根拠のない自信を持っている訳ではない。とは言え、まったく才能がないなどとも思わない。才能はあるはずだ。ただ困った事に、もっと才能のある者たちが世の中に沢山いるというだけで。

 けれど創作を続けてさえいれば、いつか何らかのチャンスが転がり込んでくるやも知れない。ほぼマグレを期待しているようなものなのだが、このマグレが起こる事に対する小さな根拠のない自信はある。限りなく願望に近いものではあるが。

 さて5月2日の夜、福岡県福岡市で自転車に乗った3年生の男子中学生が、乗用車にはねられて死亡した。現場の制限速度は50キロであるにもかかわらず、乗用車は100キロ近くで走行していた。ブレーキ痕もなかったという。

 この件で福岡県警は24日、福岡市早良区の会社員である57歳の山田穣容疑者を逮捕したのだが、この男、逮捕前にメディアの取材を平然と受けている。

「70~80キロではないですか?事故現場ではもっと落としていました。逆に飛ばしてすり抜けたほうがよかったかもしれない」

「(事故は)一瞬なので、同じ立場だったらどうしようもなかったと思いますよ」(以上テレビ西日本)

 たぶんこの男、今回は運が悪かったと思っているのだろうな。自分は運転が上手いのだから事故なんて起こすはずがない、ぶつかってきたヤツが悪い、と。もちろんその自信に根拠などあるはずがない。57歳だぞ。まあ虫けらもたいがい中学生レベルから脳内が成長していないなと思う事が多々あるが、さすがにここまで酷くはない。

 夜の道路、それも50キロ制限の道を100キロで走れば事故を起こすのは当たり前だ。考えなくてもわかる。確かにいままでは事故が起きなかったのだろうが、それはたまたまの巡り合わせでしかない。アホな運転をしている危険な車を周囲が避けてくれたから事故らずに済んでいたのだ。言うまでもなく、それは博打に等しい。つまりいずれ負けるのは時間の問題、客観的には明らかだった。そんな簡単で当たり前な事が理解できていない。さぞ甘やかされて生きてきたのだろう。他人事ではあるが、何とも情けない限り。こんなクズに殺された中学生が可哀想で仕方ない次第である。


 香川県丸亀市の松永恭二市長は25日、市民全員への5万円給付を発表した。国が一律給付金を出さないこのご時世に太っ腹だな、と思う人もいるかも知れないが、この市長、4月に行われた市長選の際、全市民に10万円の現金を給付すると公約して当選したのだ。だが現実にはそれは無理だった。有り体に言えば金がない。だから半額の5万円に減額します、でも丸亀市の将来に影響を与えない金額を模索してこの金額にしたので公約違反とは考えていない、などと述べている模様。

 そもそもこの給付金、議会の承認を得なければ市民には渡せない。市長の一存ではどうする事もできないのだ。まあ当たり前と言えば当たり前の話。しかし、この市長の話を聞いていると、単純な算数ができないのか、それとも10万円を給付するつもりなど最初からなかったのか、どちらかとしか思えない。どちらに転んでもマトモな市長とは言えないだろう。10万円という言葉に目が眩んでこんなのを市長にしてしまった丸亀市民は反省した方がいい。

 などと書くと、「な、10万円配っても意味ねえんだよ」とどっかの副首相が言いそうな気がするが、10万円配っても支持率が上がらないのは、あくまでいままでの積み重ねの結果である。だから仮にもう一度10万円の給付があっても、やはり政権支持率は上がらないだろう。それを「だから実施しない」とするのか、「支持率が上がらなくとも実施する」と決断するのかは、政治家としての矜持と度量の問題ではないかという気がしないでもない。


 空軍の戦闘訓練で敵役の飛行機をアグレッサーと呼ぶのだそうだ。アメリカ空軍ではノースロップF5タイガーⅡ戦闘機とかフランスのダッソー・ミラージュ戦闘機などが使われている模様。イスラエルのクフィールが使われていると聞いたような記憶もある。

 24日、アメリカのネバダ州ラスベガス近郊にあるネリス空軍基地の南側でミラージュF1戦闘機が墜落し、パイロット1名が死亡した。このミラージュは民間業者が所有し、基地の訓練のアグレッサーとして契約していたらしい。

 まあ武器や兵器は軍の注文を受けた民間企業が製造して納入しているのだから、軍の仕事の中で外注できるモノがあるなら外注してもおかしくはないのかも知れない。と、理屈では思うものの、日本ではイマイチ考えにくい。そもそも民間に戦闘機を操縦できるパイロットがゴロゴロしている訳でもないしな。

 アメリカは州兵だって戦闘機に乗るくらいなので、パイロット資格を持っている人間がそこら辺にいくらでも居るのだろう。だからこそこんな仕事も存在可能なのだ。さすが軍事超大国、スケールの違いを痛感する話である。


 本日はこんなところで。うーん、眠い。目が回りそうなくらい眠いが、腰の調子が良くなってきているのだよなあ。先般背中を打ってから、あまりにも腰が痛くて風呂に入れなかったのだが、そろそろ入れそうな気がする。風呂に入って買い物に行って来ようか。明日は大雨の予報だし、起きられない可能性もあるしな。何とか頑張りたいところ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る