第550話 2021/4/16 本日休業

 本日は10時半起き。何か夢を見た。内容は覚えていないのだが、切なくて悲しい夢。夢の中からこちら側に戻りたくないと痛切に願ったのに、戻って来たら忘れている。それがまた悲しい。


 で、飯を食って鳥と犬の世話をして、一息ついたらもう出かける時間である。そんな訳で病院に行って来た。特に何も変わりなく、ただ薬をもらうだけの通院。これもリモートになればいいのになあ。何とも面倒臭いのだが、こういう事でもないと家から出ないのも事実。まあ仕方ないか。


 という訳で本日は休みであるが、一つだけ。


 今回のコロナ禍で休業した関西のデリヘル業者が、持続化給付金と家賃支援給付金の対象から外されたのは法の下の平等を保障した憲法に違反しているとして国を訴えた裁判で、15日、東京地裁における口頭弁論で国側は、

「性風俗業は性を売り物とする本質的に不健全な営業で、社会一般の道徳観念にも反する」

「対象外としたのは合理的な根拠に基づく区別で差別とはいえない」(以上朝日新聞)

 と述べた。素朴な疑問なのだが、社会一般の道徳観念に反する不健全な職業から何故税金を取っているのか。それは政府が率先して不健全で不道徳で反社会的なものを容認していると主張しているようなものである。

 と言うか、国が「コイツらは不健全だから社会的に見捨てても構わない」と主張すれば、それがまかり通るという前例がいま作られようとしている。「コイツら」に入る職業は何でもありだ。

「小説家や漫画家は嘘をつく仕事なので不健全である」

 そんな主張もいずれされるかも知れない。今回の裁判における国側の主張に正当性が認められれば、国のそのときの都合によって魔女狩りが行われるだろう。何と前時代的な。

 無論、営業実態がなく税金も納めていないような業者に給付金を渡す必要はない。しかし違法行為を行っているのであるならともかく、法に則って営業し、納税している業者まで「不健全」という曖昧な理由で見捨てているのなら、それはあまりに酷いと言える。江戸時代の身分制度と何が違うのか。風俗業者は非人扱いして良いと国がお墨付きを与えるようなものである。本当にそれで良いのか?

 とてもじゃないが近代文明国家の政府がやる事とは思えない。そんなに江戸時代が羨ましいのならチョンマゲでも結ったら良かろう。上級国民は刀でも腰に差したらどうだ。まったくもってみっともない。民主国家は国民に主権があるはずだ。ならば曲がりなりにも民主国家を名乗る政府に国民を見捨てる権利などない。

 繰り返しになるが、違法行為を行っている業者を助けなければならない理由はまったくない。だが特定の職業をすべて「不健全だ」と国が定義づける事など許されてはならないのだ。本当に不健全なら許容してはならないし、許容するのなら差別してはならない。

 国が職業差別を認めるのであれば、民族差別や人種差別も認められてしかるべきである。日本はそういう国であると堂々と主張すれば良かろう。その主張ができないのであれば、今回の国の言い分に正当性はない。何でもかんでも玉虫色にすれば良いというものではないはずだ。裁判所には法の下の平等という基本原則を尊重してもらいたいと願うところ。


 そんなこんなで、今日はもう疲れ果てた。これにておしまい。

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