第549話 2021/4/15 リバースエンジニアリングとか

 本日は10時半起き。この時間は久しぶりだな。もうグッタリしている。まあいいや、今日のご飯は冷凍チャーハンにしよう。気温は高いし――暑いくらいだ――体調が悪い訳でもないのだが、やる気は出ない。もっとも、やる気が出ている日の方が圧倒的に珍しいのではあるが。


 MicrosoftのWindowsの数字が98だった頃、電器屋街に行けば路上でワゴンに放り込まれたWindowsの違法コピーCD-Rが堂々と売られていたりした。当時は海賊版対策などほとんど行われていなかったからな、ただCD-Rに焼きさえすればいくらでもコピーできたのだ。

 しかしその後海賊版対策が徹底されて行くと、路上のWindows売りもいなくなった。だがMicrosoftの海賊版対策が終わりを迎えた訳ではない。何故ならWindowsのプログラムコードを解析し、分析し、海賊版対策した部分を書き換えて再構成したコピー版Windowsが出回るようになったからだ。

 こういうすでにある物を解析、分析し、もう一度作り上げる事をリバースエンジニアリングと言う。

 最初は一部ハッカー(クラッカー)の仕業だったが、やがて話のスケールがデカくなる。一部の国家がWindowsを始めとする様々なソフトウェアをリバースエンジニアリングし、国内にバラ撒いたのだ。その結果、国内ソフトウェア市場の9割以上を海賊版が占めるような国も出て来る有様で、Microsoftをはじめとするソフトウェアメーカーの被害総額は膨れ上がっていった。

 こういう経緯があるために、リバースエンジニアリングという言葉にネガティブな印象を抱く人は多いのだが、リバースエンジニアリングそれ自体が悪事という訳ではない。たとえば過去の芸術作品、文化財などを保護、修繕するためにもリバースエンジニアリングは必要だ。先般イタリアで宗教画を素人が補修してとんでもない事になった事例があったが、ああいう事を起こさないためにもリバースエンジニアリングはなくてはならない。

 また工業の世界でも、技術を継承するためにリバースエンジニアリングは必要とされる。どれだけコンピューター制御が進化しても、製品の開発理念まで理解してくれる訳ではない。図面が残っていれば同じ物を作る事はできるが、理念がわからなければ改善の方向性が定まらない。製品をネジ1本まで分析し、先人はどういった理想の元に、どういった方向性で作り上げようとしたのかを人間が理解して初めて技術の継承はなされるのである。

 このように産業界にも必要とされるリバースエンジニアリングだが、当然の如く金はかかるし時間も人手も必要だ。トータルコストを考えるなら、製品を継続して作り続けて、技術を絶やすことなく継承し続ける方が安く上がるだろう。しかし経営という観点に立てば、技術の継承だけを目的にはできない。要するに「儲からない技術は断絶してもやむなし」の判断が求められる場合もあるのだ。

 さて建前上軍隊は持っていない事に一応なっている日本であるが、現実には自衛隊という軍事組織が存在し、彼らは武装している。つまりその武器や装備品をどこからか調達して用意しなくてはならない。そのためにいわゆる「防衛産業」と呼ばれるものが国内にはある訳だ。

 だがこの防衛産業に携わる企業は大変だ。何せ自衛隊以外に売れない物を作れと言われる訳だから、大量生産ができない。結果、海外の同様の製品と同程度の性能・機能を持った物の値段が、4倍とか5倍とかになったりする。なのにそんな高価な製品を売っても、ほとんど儲けが出ない。作って売る企業側も購入する防衛省側もまるで得をしない困った構造となっているのだ。そのため防衛産業から撤退する企業が跡を絶たない。

 住友重機械はライセンス生産の5.56ミリMINIMI Mk1機銃や、74式車載7.62mm機関銃などを生産し、自衛隊に納入しているのだが、報道によるとどうやら銃器生産から撤退する模様。防衛省側からは値下げの圧力があり、一方の住友重機械側はデータの改竄で何とかしのごうとしたのだが、これがバレて罰金を言い渡された経緯がある。もうこれ以上はやっていられないとなってもおかしくはない。

 防衛省の方でもこの値段なら海外メーカーから購入した方がいいという声も上がっているという。経済原理に照らせば、確かにそうだろう。ただ海外メーカーはいつまでも日本の味方をしてくれないからな。国内に銃器の製造技術がなくなるのは安全保障上問題があるようにも思える。

 まあ国内の銃器メーカーは住友重機械以外にもまだあるし、すぐ銃器産業が全滅する訳ではないのだが、いつか銃器のリバースエンジニアリングが必要となる事態に陥らないとも限らない。自国を守るための武器は、何とか自国内で生産できるような体制を維持しておく必要はあるのではないかと考える次第。


 自民党の二階幹事長は15日、TBSのCSで放送された報道番組において、

「これ以上無理だということだったら、すぱっとやめないといけない。五輪で感染をまん延させると、何のための五輪か分からない」(時事通信)

 と発言した。この言葉については、

「何が何でも開催するのかと問われれば、それは違うとの意味で申し上げた」(時事通信)

 と後にやや軌道修正したが、まあ何と言うか保身のためなら政治理念もクソもない人物であるな。どっちに転んでも自分だけは困らないようにアリバイ発言をバラ撒いている訳だ。

 もしかすると2、3日して中国から「東京オリンピックには選手団を派遣しない」という発言があるかも知れない。期待して待っていよう。


 政治理念と言えば、今月25日には3箇所で衆参両院の補欠選挙が行われるのだが、このご時世に各党は選挙応援を活発に行っているのだそうな。で、与党も野党も口を揃えてこう説明している。

「選挙は不要不急ではないから」

 確かに民主主義の根幹をなす選挙は不要不急とは言えない。言えないが、不要不急じゃないのなら何をしてもいいのか。まあ確かに、選挙の応援に人が集まったくらいで感染爆発が起こったり医療崩壊が起きたりはしないと思う。しかし、おまえらいったい誰のために選挙してるんだという気にはなる。政治家に理念など求めるのは無駄なのかも知れない。


 本日はこんなところで。外は良い天気なのだがなあ。頭の中もスッキリしてくれないものだろうか。

 昨日は600文字は書けた。書けたと言うほど書けてはいないが、一昨日よりはまだマシだ。この調子で今日も頑張りたいところ。

 あ、明日は病院か。また休みだな。

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