第383話 2020/10/31 日本風とか

 本日は10時起き。昨日は病院に行って帰りに買い物をして、それで一日分の体力と気力を使い果たしてしまった。おかげで他には何もできず仕舞い。今日もそれを引きずっているようだ。集中力に欠ける事この上ない。何とも脆弱な。

 しかし10月も今日で終わりか。あと2ヶ月で来年である。早い、早過ぎる。時間を無駄に使い過ぎている感が強くて心臓に悪い。もっと頑張らないとなあ。


 言葉の選び方というのは重要である。同じように見える言葉でも、ほんの少しの違いで意味が大きく変わる。たとえば「松本清張の文章」と言えば、松本清張氏の書いた文章を指す。他には使わない言葉である。だが「松本清張的な文章」と言えば意味が変わる。「いかにも松本清張的な文章」は松本清張氏の書いた文章だが、「松本清張的な文章を書いてみた」場合には、松本清張氏以外が書いた文章である。ましてや、「松本清張風の文章」となれば、これはもう松本清張氏が書いた文章であってはならない。

 個人の名前でさえこのような状況であるから、もっと定義の曖昧なものなら、当然話はややこしくなる。たとえば「日本料理」と聞いて何が思い浮かぶだろうか。刺身、天ぷら、焼き魚、吸い物や味噌汁、まあいわゆる「和食」の類いが最初に出て来るのではないか。

 だが落ち着いて冷静に考えてみれば、トンカツや海老フライ、豚骨ラーメンにスパゲティナポリタン、カレーうどんなども日本独自の料理であると言える。ただでさえ日本料理の幅は非常に広いし境界は曖昧だ。ましてやこれが「日本風の料理」ともなれば。

 イギリスにはチャンネル4という放送局があり、「ブリティッシュ・ベイクオフ」という人気料理番組があるのだそうな。この番組ではアマチュアの料理人たちが毎週特定のテーマに沿って料理を作る。27日夜に放送された回のテーマは「日本」であり、「蒸しまん」「抹茶ミルフィーユ」「かわいいケーキ」の3つが課題だった。

 蒸しまんとかミルフィーユとかケーキとか言う時点で、日本料理でない事は明白である。つまりは日本風の料理を作る事がテーマであり、それはすなわち参加者のイメージの中の日本を表現する事だ。これは大前提であろう。

 結果として、参加者の一人は蒸しまんをパンダの顔に飾り付け、別の一人はカレーまんを作ったそうだ。その人たちのイメージの中の日本がそうであるのなら、それはそれで仕方ないように思うのだが、これにイギリスのメディアが噛み付いた。

 時事通信の報道によれば、大衆紙サンは「蒸しまんはそもそも中華料理だし、『かわいいケーキ』も日本文化のキュートな側面に触発されているが、日本料理の一部ではない」と報じ、同じく大衆紙のデーリー・ミラーは「ソーシャルメディアは日本と中国の混同による『穏やかな差別』をめぐって論争するファンであふれている」と報じているらしい。インドも入れてあげて。

 正しいか間違っているかで考えるなら、メディアの指摘は正しく、番組の趣向は間違っている。ただ、多くのイギリス人にとって日本とは、日本にとってのイギリスがそうであるのと同様に、「海の向こうの遠くの国」である。日本文化のいくつかを知ってはいても、周辺国との混同は起こるのが普通だろう。日本人だってイギリス文化とフランス文化を明確に分ける事ができるかと言われたら、世の大半の人は自信がないのではないか。それくらいは目くじらを立てるような事ではないし、アマチュアの参加者に向かって差別は言い過ぎだ。

 より正しい日本の姿をイギリス国民に啓蒙しようとしてくれている現地メディアの報道は素直に有り難いと感じる。しかしそれで誰かを叩くのはやめていただきたいと虫けらは思う。多少トンチンカンでも日本に好意を向けてくれる人が増えてくれた方が嬉しいのだ。「そんなのはおまえだけだ」と怒られるだろうか。


 今月17日にニュージーランドでは総選挙が行われたが、併せて2件の国民投票が実施された。1つは嗜好用大麻の合法化、もう1つは安楽死容認の賛否である。この結果が30日に発表された。大麻合法化は反対多数、そして安楽死容認は賛成多数であったという。これにより来年の11月6日に新法が施行され、以降ニュージーランドでは死ぬ権利が認められる。

 安楽死賛成が65.2%、反対が33.8%であったというから、圧倒的多数が賛成したと言って良いだろう。18歳以上で国籍か永住権を持つ者が対象で、どうしても緩和できない耐え難い苦痛がある場合などに、2人の医師から承認を得られた場合に限って安楽死が認められるという。条件は結構厳しい。しかし安楽死の選択がまったく存在していない事と比べれば、天と地ほどの差がある。

 まあ安楽死安楽死と虫けらは簡単に言うが、それを行う医療関係者の身になってみろと言われればまったくその通り、返す言葉もない。安楽死を合法化すれば、医師のメンタルケアは必要になるだろう。だがそれでも、だ。生きる事だけが幸福であるという考え方の押しつけは暴力である。可能な限り生き方も死に方も選べる事は、基本的人権で守られるべきだと思う。

 もちろん簡単な事ではないというのは理解できるが、それでもニュージーランドは決断した。決断できた。日本でできない理由はないように思えるのだが。


 30日、北海道は紋別市内で採取されたカモ類の糞から強毒性の鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表した。国内では2年ぶりだという。「新型コロナの流行しているいま、別の伝染病なんて」みたいな声がネットでは散見されるが、鳥インフルエンザは人間にはまず感染しない。もちろん変異する可能性はゼロではない。しかし日本国内で変異する可能性は極めて低いと言えるだろう。

 鳥インフルエンザが人間に感染するよう変異するためには、

1.野鳥やネズミなどが出入りできる環境に大量の鳥が飼育されている

2.その大量の鳥と人間が四六時中濃厚接触をしている

 の2つの条件が重なる必要がある。中国とかならあり得る話だが、日本でそんな生活をしている人はまずいない。どちらか片方なら日本でもあり得るものの、2つはなかなか揃わないものだ。

 まあ虫けらは数年前までそれに近い生活をしていたから、100%絶対にあり得ないとまでは断言しないものの、よほど頭でもおかしくなければ、いまの日本でわざわざそんな生活を選ぶヤツはいないだろう。

 養鶏業者は大変な思いをするだろうが、それ以外の人の生活にはほとんど影響はない。当面は新型コロナにだけ気をつけていれば、人間のインフルエンザにかかる可能性も低くなるし、鳥インフルエンザで深刻になる必要はまったくないと考える次第。


 本日はこんなところで。昨日は1行しか書けていない。ホント集中力がまったくゼロだった。今日は書けるといいのだがな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る