第236話 2020/6/6 適正とか

 本日は5時起き。曇天ではあるが、すんなり起きられた。毎日こんな感じだとイロイロ捗るのだが。今日はさほど気温が上がらない模様。助かる。昨日は我慢出来ずに冷房入れたからな。はあ、電気代が怖い怖い。


 高校のときには数学のテストで0点を取りまくった虫けらであるから、数学的な思考はまったく苦手なのだが、それでも最大値と正常値と適正値が別の概念である事くらいは理解できる。しかしこれらは漠然と、曖昧に混同される事がある。たとえば、人間の寿命とか。

 現在のところ人間の寿命の最大値は120歳に届かないくらいだろう。長寿はめでたいとされ、100歳を超えると表彰されたり報奨金が出たりする場合がある。しかしこれは正常値ではない。正常ではないからこそ注目を浴びるのだが、これが自分の生活に影響を与えない相手だと、平気で正常ではない事を請願したりするのだ。90歳を超えた老人に「もっと長生きしてね」とか。

 寿命の正常値とはどのくらいの年齢だろう。普通に考えれば平均年齢くらいか。80歳を超えた辺り。その辺で天寿を全うする人は多い。これはまあ、現代における普通の死と考えて良いのではないか。ただし、これが適正値かと言われると、考え込んでしまうのだ。

 適正な寿命とは何だろう。これは数値化するのは難しい。結婚し、子供に恵まれ、孫も成長し、借金も病苦もなく、後悔のない恵まれた人生を送った人なら、平均寿命に届かない70歳そこそこで死んでも、それは適正値であるのかも知れない。しかしその逆であったなら。苦悩に満ち、艱難辛苦に耐え、いつか来る幸せを待ち望み続けた人生ならば。それは100歳まで生きても適正な寿命とは言えないのではないか。

 5日、横田滋氏が亡くなった。昭和52年(1977年)に新潟市から北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父親である。87歳、老衰だった。

 滋氏は平成9年(1997年)に全国の拉致被害者家族らと『北朝鮮による拉致被害者家族連絡会』(家族会)を結成。自ら代表に就任し、妻の早紀江さんとともに救出を訴える署名集めを開始した。この時点で拉致から20年も経っている事に愕然とする人もいるかも知れない。これについては、当時まだ力を持っていた日本社会党(現在の社民党)を始めとする左翼勢力が、北朝鮮による拉致を全否定し、政府がこれを取り上げる事すら許さなかったという事実がある。その潮目が変わったのが1997年だったのだ。

 以降、横田夫妻は全国を飛び回り、あるいはアメリカを始めとする関係諸国にまで足を伸ばし、北朝鮮からの拉致被害者解放を訴えてきた。小泉政権であった2002年、一部の拉致被害者が帰国したが、めぐみさんの帰国はかなわなかった。その後、北朝鮮は横田めぐみさんについて「死亡した」と発表し、遺骨を送りつけてきたものの、DNA鑑定によってこれは偽物であると判明している。平成26年(2014年)にはめぐみさんの娘とモンゴルで会う事ができた。しかし、めぐみさんの解放には至らなかった。

 今回、滋氏が死去した件で安倍首相は「断腸の思い」と記者団に語っているが、この発言は当然のように叩かれている。まあそれはそうだろう。安倍政権になってから拉致問題は何も進展がない。本気でやる気があるのかと思われても仕方ない側面はある。ただ、安倍首相だけを責めて終わる話ではない。これは日本人全体に責任がある話だ。

 同胞が異国に拉致されたのである。それは何を置いても、そう、たとえ武力を行使しても取り返すべきである。それが国家の仕事ではないか。そのために邪魔だというなら、憲法を改正してでも行動を起こすべきだった。だが当時の日本はそれをせず、現在に至るまで何もしていない。それは政治家だけの問題か? 「憲法改正なんてとんでもない!」と叫び続けた、そしてその声を容認し続けた国民に、本当に責任はないのか?

「小泉政権のときは武力を使わなくても拉致被害者が帰ってきた」という声もあるだろう。だがそれは小さな出費で最大限の効果を狙った、いわゆる「海老で鯛を釣る」を実践した北朝鮮の策略に、まんまと乗せられただけである。

 北朝鮮政府には話し合いなど通じない、道理も人の道も存在していないのだと何故理解できないのか。それが理解できる政府なら、そもそも拉致問題など起こさない事くらい、考えなくてもわかるだろう。対話による拉致問題解決など、どう考えても不可能なのだ。

 87歳での死去は、人の寿命としては正常値であろう。数字的にみれば大往生とも言える。しかしその人生を鑑みれば、適正値であったとは思えない。もっと幸せになれたはずの人だった。ご家族にはお悔やみを申し上げる。


「取って付けたような」という言い回しはあるが、何を取ってどこに付けたのかは判然としない。まあ判然としなくて良いのだろう。その辺にある適当な物を、良く考えもせずに適当な場所にポンと付ける、というようなイメージなのではないか。

 さてアメリカのトランプ大統領は5日、ホワイトハウスの中庭で会見した。内容としてはアメリカ経済に関する会見だったのだが、その中でトランプ氏はこう言った。

「法の下の平等な正義は、人種、肌の色、性別、信条に関係なく、全ての米国人が法執行機関から平等な扱いを受けることを意味しなければならない」

「ジョージが今、天から見下ろしながら『米国で素晴らしいことが起こっている』と言っていることを願う」

「きょうは彼にとって素晴らしい日だ。皆にとって素晴らしい日だ。きょうは皆にとって素晴らしい日だ」(以上AFP)

 ジョージとは先般警官に殺されて、全米で抗議デモが起こる切っ掛けとなったジョージ・フロイド氏の事である。そして素晴らしい事とは、アメリカの雇用環境が改善した事を指すらしい。実際、この日労働省が発表した5月のアメリカの雇用統計によると、就業者数は250万人増加し、失業率も13.3%と、前月より改善したのだそうだが、それ、フロイド氏と関係あるか? アメリカの雇用環境が改善されて、殺された人間が喜ぶというのがよくわからない。フロイド氏は経済学者だったとでも言いたいのだろうか。

 これは取って付けたような発言と言われても仕方ない。て言うか、ちょっと引く。死人に口なしとは言うが、死んだ人間を自分の都合の良いように使うのは、あまり品のある行為とは言えない。それも歴史上の人物ならともかく、ついこの間殺されたばかりの人だ。大川隆法じゃあるまいし、勝手にしゃべらせるのはどうかと思う次第。


 本日はこんなところで。時間に余裕があるので買い物に行って来たのだが、まだ午前中だ。今日はさすがに掃除をした方が良いだろう。どうにもケツが重くて困るところではあるが、何とか頑張ってみたい。

 昨日は『魔獣奉賛士』を更新できた。ミステリーはあまり頑張れていないが、今日は何とかなるだろう。今月中に出せれば良いのだけれど。

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