第232話 2020/6/2 小ネタ集

 本日は8時起き。快晴。体も軽い気がする。しかし気分まで軽いかと言われると、実のところそうでもない。イロイロと上手く行かないものである。部屋の掃除もいい加減そろそろしなくてはと思うのだが、まったくその気が起きない。ケツが重くて仕方ない。今日は暑すぎる事もなく爽快な朝だというのに、ああ怠惰&怠惰。

 そんなこんなで本日は小ネタ集。始まり始まり。


 現地時間の1日、アメリカのトランプ大統領は州知事らとビデオ会議を行い、その席上で知事らに対し、「もっと厳しくならなくてはならない。支配しなければならない」(NHK)と述べ、現在全米に拡大している抗議デモへの取り締まりを厳しくするよう、強い口調で求めたそうだ。

 抗議デモはワシントンDCでも拡大し、放火や略奪も起こっている。自分の足下にまで危険が迫り、居ても立っても居られなくなったのだろうが、現場を預かる知事としては、ハイそうですかとも言えまい。いま抗議デモに参加している人々だって住民であり有権者なのだから。

 無闇に刺激して事態がいま以上にエスカレートした場合、その後どうするのかという話になる。分断され混乱した社会では、経済も教育も治安もすべて無茶苦茶になってしまう。そんな迂闊なことは普通できない。州知事としては胃が痛いところではないか。


 そんな迂闊なことをすれば社会全体がエラい事になってしまうと普通は思うのだが、思わない人物も居る。他ならぬトランプ大統領である。知事らとのビデオ会議が終わった後、日本時間の午前7時45分くらいからホワイトハウスのローズガーデンで緊急の演説を行い、ワシントンDCに武装した軍を派遣すると表明した。

「首都ワシントンで昨夜起きたことは、全くもって不名誉なことだ」

「暴動や略奪、破壊行為、暴行、財産に対する理不尽な破壊行為を阻止するため、すぐにでも重武装の兵士と警察官を大勢派遣する」(以上AFP)

「われわれは暴動や無法状態を終わらせる」

「あなた方を守るために私は闘う。私はあなた方の大統領として法と秩序を守る。そして全ての平和的な抗議者を支持する」(以上ブルームバーグ)

 と話し、夜間外出禁止令を徹底して厳守させる旨を述べたという。

 何故この人は誰に対してもケンカ腰なのだ。放火や略奪が犯罪行為であるのは言うまでもない事だが、まずは事態を収拾させるべきではないのか。力で鎮圧しようなどとすれば、事件の件数は減るだろうが、地下に潜って面倒臭い事になるぞ。アメリカの国内にレジスタンスが生まれるかも知れない。

 中国への対応だけを見れば、トランプ大統領のケンカ腰は頼もしいのだが、それを内政に向けるのはいかがなものか。少しは時と場合によって使い分ける器用さが欲しいと思うところ。


 このアメリカ全土に広がる抗議デモについて先月31日、ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はアメリカのテレビ局ABCのインタビューで、『敵国』であるジンバブエと中国が、SNSを使って国内の混乱を煽り立てていると述べた。

 これについてジンバブエのシブシソ・モヨ外相は、

「ジンバブエは過去も今も、アメリカ合衆国の敵国ではない」

「米国大使にオブライエン氏の主張は虚偽であり、事実無根であることを伝えた」(以上AFP)

 と述べ、アメリカ大使を呼び出して説明を求めた事を明らかにした。

 この件は、何とかして国民の視線を政府から逸らしたいというトランプ政権の意図の現れと見る事ができる。ただし、アメリカがジンバブエを敵国扱いしたがるのに何の根拠もない訳ではない。

 ジンバブエは前大統領で独裁者であったムガベ氏の時代、そしてムガベ政権が倒されていまのムナンガグワ政権となってからも、人権侵害や暴力的な政治弾圧で国際的に非難されており、アメリカは2002年のブッシュ大統領の時からずっと制裁を科しているのだ。つまりアメリカにとってジンバブエは「悪い国」であるのは間違いない。

 とは言え、その理屈なら北朝鮮だって「悪い国」であり、今回の騒乱を一層煽り立てる目的で北朝鮮が何らかの動きをしている可能性もゼロではないのだろうが、トランプ政権はそれを指摘しない。その辺はダブルスタンダードである。何故ジンバブエをチョイスしたのだろう。名前を出しても後々影響が小さいと踏んだのか。だったらどうして中国の名前を一緒に出した。こちらはすでに大問題になっているから、いまさらちょっと問題が増えたところで大差ないという判断か。何かわかるようなわからないような。


 先月29日、トランプ大統領とFacebookのマーク・ザッカーバーグCEOが電話で会談し、大統領の投稿を巡り意見を交したという。この日、トランプ大統領はTwitterとFacebook、そしてInstagramに、抗議デモに関連して「略奪が始まれば銃撃が始まる」と投稿した。これにTwitterは「暴力を賛美している」として、自動的に表示しない措置を取った。しかしFacebookとその傘下のInstagramはこれを放置している。

 この件についてザッカーバーグ氏は、

「大統領のツイートや投稿にどう対応すべきかについて、一日中悩んでいた。私は個人的には、こうした分断をあおる扇動的な発言に対して直感で否定的に反応する」

「だが私は単に個人的な立場だけでなく、表現の自由に貢献する機関のリーダーとして対応する責任がある」

「ツイッターと違って我々には、暴力をあおりかねない投稿の前に警告を表示するポリシーはない。なぜなら、暴力をあおる投稿だと判断すれば、それにニュース価値があろうが、政治家の投稿であろうが削除すべきだと考えているからだ。我々は今日、ホワイトハウスと接触し、そうしたポリシーについても説明した」(以上CNN)

 と投稿したのだが、このザッカーバーグ氏の動きに対し、Facebookの社内では批判の声もあるという。昨日1日、TwitterにはFacebook社員からの投稿が相次いだ。

「暴力をあおる投稿に対処しないフェイスブックの最近の決定は、地域社会の安全を維持するためのほかの選択肢を軽視するものだ。フェイスブック幹部に行動するよう求める」

「マーク(ザッカーバーグ氏)は間違っている。彼の考えを変えるために可能な限り大きな声を上げていく」

「誇りに思えない。大半の同僚も同じように感じている」(以上ロイター)

 等々。これがFacebookへの投稿ではなくTwitterへの投稿というのがアメリカ的と言えるだろうか。憲法で言論の自由が保障されているから、ではなく、国民自らが言論の自由を守り続けようとする意志が垣間見える。日本でもルール上はこういう事が可能だが、可能である事とできる事は違うのだ。こういう点はアメリカの教育が羨ましいと思うところ。


 ブーツの形をしたイタリア本土から見て、爪先の向こうにあるのがシチリア島。そのさらに向こうにある地中海に浮かぶ小さな島がマルタ島。人口40万人の小さな共和制国家である。ここで1200億円相当の、リビア紙幣が発見された。ロシアで印刷されたものであるそうな。これを現地のメディアが偽札だと報じ、アメリカ国務省が追随した。偽札は、

「非合法的なもう一つの組織から発注されていた」

「近年ロシア製通貨が流入していることで、リビアの経済問題が悪化している」(以上AFP)

 のだと、ロシアを非難したのである。

 もう一つの組織って何ぞやと思われるかも知れないが、リビアはいま内戦状態にある。細かく分ければイロイロあるようなのだが、ザックリ分けるとアメリカを始めとする国際社会が認めた暫定政権『国民統一政府』と、ロシアなどが支援しハリファ・ハフタル司令官が率いるハフタル派『リビア国民軍』が覇権を争っているのだ。

 紙幣の発行は普通の国では中央銀行が行う。暫定政権側は中央銀行の機能も当然暫定政府が保有していると主張する。しかしハフタル派は違うと言う。事実、アメリカの批判に対し、ロシアはこう述べている。

「リビアに事実上2つの政府が存在する現状にあっては、2つの中央銀行が存在するということを指摘しておきたい」(AFP)

 つまりハフタル派から正式に依頼を受けて印刷された紙幣であって、法定通貨であると。これ難しい話だわな。突き詰めれば「国家とは何ぞや」という概念論になる。

 これがハフタル派を支援しているのが世界中にロシアだけだという話であれば、ロシアの横暴と言えなくもない。だが現実には、フランスやエジプト、アラブ首長国連邦、サウジアラビアなどがハフタル派を支援しているのだ。果たして国民統一政府とリビア国民軍のどちらが正統政権であるかなど、外から報道を通じて眺めているだけの虫けらに判断などつかない。世界は難しいな、と改めて思った次第。


 本日はこんなところで。また中ネタ集になってしまった。まあ時間的に余裕があるからな。文章も長くなりがちである。

 昨日は事実上休養日になった。なのであまり書いていない。また今日から頑張るとしよう。

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