第231話 2020/6/1 ドラゴンとか

 今日から6月である。ああー、梅雨がやって来るー。はあ。

 そんな本日は6時半起き。天気も良いしスッキリ目覚められた。午前中に用事も済ませられたし、何かイロイロと調子が良い。後は頭が回ってくれれば言う事なしなのだが、さて、どうなるやら。


 西洋のドラゴンと東洋の龍は別物である、とよく言われる。確かに、龍には明確な定義がある。三停九似さんていきゅうじ、すなわち頭の先から前脚まで、前脚から後ろ脚まで、そして後ろ脚から尾の先までの三箇所が同じ長さで、体の各部は9種類の動物に似ていなくてはならない。さらに付け加えるのなら、伝播した順番で爪の数が減る。中国の龍は5本爪だが、朝鮮半島は4本爪、そして日本は3本爪がデフォルトである。もちろん例外はどこにでもあるが。

 龍と言えば玉を持っている絵を思い出す方もおられるだろうが、あの玉は如意宝珠と言い、その力で空を飛んだり雲を呼んだり、大きくなったり小さくなったりできる。元来はインドの蛇神ナーガラージャの持っていた玉が、中国に伝わった際に龍が持つようになったそうだ。これは1つの定番ではあるが、龍に絶対必要不可欠なものではなく、如意宝珠を持たない龍も多い。

 事ほど左様に龍にはかなり固定されたイメージが存在するのに対し、西洋のドラゴンはいささか曖昧である。龍と似た部分と言えば首や尾に蛇のようなデザインが用いられる事、あとはワニのように大きな口くらいで、それ以外はあまり固定されていない。東洋の龍は読み方は違えど、表す文字は龍もしくは竜であり、国は違っても同一種を指すと思われるのだが、西洋のドラゴンは名前もデザインもバラバラで、バリエーションが豊富と言える。

 キリスト教圏でドラゴンスレイヤーとして名高い聖ゲオルギウスがジョージア(以前はグルジアと呼ばれていた)で倒した毒を吐くドラゴンは、大型犬からせいぜい馬ほどの大きさで描かれる事が多い。必ずしも恐竜のように巨大な怪物ではないのだ。コカトリスやバジリスクも小さなドラゴンとして有名である。

 馬のような頭部を持つドラゴン、全身炎で覆われたドラゴン、4本脚のドラゴンもいれば、前脚の部分から翼の生えた2本脚タイプもいる。恐竜的な胴体のドラゴンも、蛇のように長い胴体のドラゴンもいるし、空を飛ぶものも海に暮らすものもいる。ドラゴンとはこれらの総称であるとの説もあれば、本来ドラゴンとは特定の種類の怪物を狭義に指し示す言葉であるとの説もある。

 ドラゴンがサーペントから分離したのは古代ギリシャ辺りであり、それ以前は混同されていたらしい。この辺、日本でも昔は竜と蛇が混同されていた事に通じるのかも知れない。竜宮城の使いが大蛇だったりするし、江戸時代の浮世絵には龍のような頭部を持ったヤマタノオロチが描かれていたりするしな。

 このように見ていくと、確かに龍とドラゴンはイコールではない。しかしドラゴンという言葉には、かなりの幅がある。インドのブリトラやペルシャのアジ・ダハーカもドラゴンであるという者もいる事を考えれば、龍はドラゴンの一種ではないか、という考え方にさほどの無理があるとは思えない。ネバーエンディングストーリーのファルコンだってドラゴンなのだから。

 ただし、信仰・崇拝の対象となった東洋の龍に対して、西洋のドラゴンは基本的に邪悪の象徴。人類の敵であり、物語のやられ役だ。貴族や王族が紋章に掲げる場合もあるのだが、それは勇猛さや特異性の象徴である。『ヒックとドラゴン』のように欧米で大ヒットしたドラゴンの物語もあるものの、あれが日本でたいして盛り上がらなかったのは、ドラゴンが人間と友達になるという物語に意外性を感じなかったからではないだろうか。日本人は龍の子太郎を知ってるので。

 とは言え、それでもやはりドラゴンというモノは、西洋でもロマンを呼ぶのであろう。アメリカの民間宇宙企業であり、あのテスラのイーロン・マスク氏が創業した事でも知られている『スペースX』社の宇宙船の名前がドラゴンである。このドラゴンに乗組員クルーを乗せる有人宇宙船が、『クルードラゴン』だ。

 31日、2名の宇宙飛行士が乗るクルードラゴンを搭載したスペースX社の大型ロケット『ファルコン9』が、フロリダ州のケネディ宇宙センターから発射され、クルードラゴンは19時間後に国際宇宙ステーションに到着、ドッキングも無事に成功した。NASAが協力しているとはいえ、民間企業の宇宙船が有人飛行を成功させたのは史上初である。しかもアメリカ国産のロケットが宇宙に人を運んだのは9年ぶり。スペースシャトルが退役してから初めての事となる。ちなみにその間、国際宇宙ステーションに人を送っていたのは、ロシアのロケットだった。

 この成功は宇宙利用を推し進めるトランプ政権にとって大きな結果となるだろう。このところロシアや中国に圧倒されていた感のあるアメリカの宇宙開発も、これで潮目が変わるかも知れない。まあ最終的な問題は予算なのだが、もしかしたら良い方向に変化があるだろうか。

 人間は見上げる空にロマンを感じる。だからドラゴンも龍も空を飛ぶ。その空の遙か彼方に人類を運ぶ宇宙船が、いつの日にか普通の船のように、宇宙に行きたい人を誰でも乗せて飛べる時代が来る事を祈るばかり。


 そんなアメリカはいま大規模な抗議デモに揺れている。警官が黒人男性を殺害した事件が発端なのだが、少なくとも全米の75都市でデモが行われ、一部が暴徒化、20以上の地域では夜間外出禁止令が出されているらしい。州兵を出動させた州も複数ある模様。

 29日にはホワイトハウスの前でもデモが行われたのだが、これを受けてトランプ大統領やその家族が一時的に地下壕に避難したとCNNが報じている。またトランプ大統領にフェイクニュースだと言われるのではないかという気がする。


 なお、このデモを受けて中国が笑っているようだ。人民日報系の新聞『環球時報』の編集長は30日付けの紙面で、

「米国のナンシー・ペロシ下院議長はかつて、香港の暴力的な抗議活動を『目を見張る美しい光景』と呼んでいた。米国の政治家は今や、自宅の窓からその光景を楽しむことができる」

「まるで香港の過激な暴徒らがどういうわけか米国に忍び込み、昨年のように混乱を生み出したかのようだ」(以上AFP)

 と書いた。また政府系の英字新聞『チャイナ・デーリー』では31日、トランプ大統領が香港への優遇措置を撤回する方針について、

「そのような夢は諦めて、現実に戻った方がよい」

「暴力が米国各地に広がっている」

「米国の政治家たちは他国で新たな問題や厄介事を生み出そうとするのではなく、自国で自分たちの仕事を果たし、問題解決の役に立つべきだ」(以上AFP)

 と書いている。民度民度と馬鹿の一つ覚えのように騒ぎたくはないが、少なくとも中国メディアには品位が欠落しているように思う。まあ日本のメディアに品位があるかどうかは疑問なので、メディアというものは万国共通で品位に欠けるのが共通項なのかも知れないけれど。


 今日はアメリカネタばかりだな。いまひとつバリエーション感が出なかった。まあ、こんな日もある。

 昨日も1000文字少々書けたので、無事に『魔獣奉賛士』を更新できた。しかしミステリーはイマイチ進まない。一度固まった物語に手を入れるのが本当に難しい。などと泣き言を言っても仕方ない。やるしかないのだ。何とかしよう。

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