第196話 2020/4/27 理論とか

 本日は9時半起き。もう10時まで寝ても良いんじゃないかと心の内側から誘惑の声がしたものの、何とか起きられた。まあ、30分の違いなど実質誤差の範囲なのだけれど、何事も気持ちの問題である。とりあえず良しとしよう。


 バラバラの物事の間に法則性を見出し、これについて説明をするための道筋を組み立てるとき、この道筋の事を「論理」という。道筋の立った考えは「論理的」であり、論理的な説明のために組み立てた体系的な知識の事を「理論」という。つまり、まず論理があって理論がある。ちょっと小難しい言い方をすれば、理論は論理を内包するのだ。

 などと書いてはいるが、自分が書いた文章の内容をちゃんと理解しているのかと言われると、さすがにイエスとは言えない。正直、論理も理論も感覚的に使っている言葉の代表格だ。意味など把握していないし、説明などできない。大事なのはニュアンスである。言葉は通じればOKなのだ。

 こういった主張に「理論」をくっつけると、どことなく様になってしまうのが言葉の不思議なところ。「言葉は通じればOK理論」と言えば、何かちゃんとした論理的な考えが背景にありそうにも思えるのだが、実際には何も考えていない。こういう例は世の中に多々あるのではないだろうか。

 さて話はまったく変わるが、中東のアラビア半島最南端の国イエメンでは、長く内戦が続いている。国際的に認められた暫定政府と、反政府武装勢力『フーシ派』の戦いだ。暫定政府はサウジアラビアが支援し、フーシ派はイランが支援している。典型的な代理戦争と言える。

 しかし、実はイエメンの中にある勢力は二つではない。暫定政府とフーシ派以外にもう一つ、『南部暫定評議会(STC)』と呼ばれる、分離独立勢力が存在するのだ。STCはアラブ首長国連邦(UAE)の支援を受けている。ただ従来このSTCは、暫定政府と同盟を組んでフーシ派と戦っていた。いわゆる「敵の敵は味方理論」である。だが去年辺りから暫定政府とSTCの間の軋轢が表面化し、両者の間で戦闘が行われるようになった。

 昨年11月に両者は権力分担協定に調印し、一応戦闘を停止したのだが、協定は上手く働かず、ついに昨日26日、STCは暫定政府との和平合意が破談したとして、イエメン南部で自治を開始すると宣言した。

「2020年4月25日土曜日の真夜中から南部地域における自治を宣言する。また自治委員会は、STC議長が与える任務のリストに従って活動を開始する」(AFP)

 とのこと。現在、暫定政府側は新型コロナウイルスの感染拡大に対処するために、一方的な停戦措置の延長を発表しているが、この先STCの宣言にどのように対応するのかが焦点となる。

 暫定政権側としておそらくベターなのは、STCと当面の相互不干渉を約束し、フーシ派との戦闘に集中する事だろう。いくら何でも二正面で戦うのは無理である。下手をすればまた「敵の敵は味方理論」で、今度はSTCとフーシ派が手を結ぶ可能性だってあるかも知れない。蓋然性は低いが、ゼロではない。戦争は論理的な争いではないのだから。

 イエメンでは世界最悪の人道上の危機が起きているとされる。何とか内戦が終わる方向に進んでもらいたいところなのだが、今回のSTCの宣言で、混迷の度合いは深まるに違いない。何とも嫌な話である。


 アフリカ大陸の国タンザニアにも、ご多分に漏れず新型コロナの感染は広がっている。しかし大統領は学校を閉鎖した程度で都市のロックダウンなどの措置は取らず、それどころか日常生活をそのまま続けるよう国民に促しているという。

「今はわれわれの信仰を構築し、神に祈り続け、マスクに頼らないようにするときだ。教会やモスクの礼拝に行くのをやめてはならない。風向きがちょっと変わっただけで、これまでそうだったように収束すると確信している」

「国づくりを懸命に続けていこう。新型コロナウイルスは働かない理由にはならないし、すべきではない。農家は降り続いている雨を有効活用すべきで、経営者らは製造を続けるべきだ。またいかなる開発計画の中断も想定していない」(以上AFP)

 と、述べているのだそうな。

 ロックダウンは正義ではない。日本でもしていないし、スウェーデンでも行われていない。その国の情勢に応じて実施されれば良いだけの話である。そういう意味ではタンザニアにも必要ないのかも知れないと思えなくもない。それに貧しい国では経済が止まれば即座に人の命に関わる。新型コロナより先に経済危機でバタバタ国民が死んでしまう場合もある。ならば経済を回し続けるのは妥当な判断だ、という意見もあるだろう。

 でもどうだろうな。これって「茹で蛙理論」ではないのかという気がする。いままで大丈夫だったから、これからも大丈夫だろうという判断ではないか。もちろんそれが正解である可能性もなくはないが、ほとんど一か八かのバクチと言える。もう少し安全パイを堅実に積み上げるような方策が取れないものだろうか。まあ「金がないから仕方ない」と言われたらそれまでなのだが。


 フランス料理界の巨匠が「レストランで食事を取った方が自宅よりも安全だ」と主張したそうだ。一般の人が自分で買い物に行き、誰が触ったかわからないものを買って帰ってきて食べるより、安全管理が徹底されたレストランの食事の方が、新型コロナウイルスに感染する危険性は低い、という事らしい。

 言いたい事はわからないではないが、そのレストランに行くまでの間で新型コロナウイルスに感染しないという補償がどこにある。少なくとも買い物に行くのとレストランに行くのとで、感染リスクが極端に変わる事はない。

 店を営業しなければ生活が成り立たないレストラン経営者は大変だと思うが、自分たちが有利になるためならデマに近い言葉を平気で発するというのはどうだろう。巨匠が聞いて呆れる。人間、なるべくこうはなりたくないものである。


 本日はこんなところで。体調には変化なし。喉はぜいぜい鳴っているし、息も切れるが、それ以外は問題ない。嫌な感じはあるものの、大騒ぎするほどでもないのだろう。何とか無事に過ごせますように。

 昨日は『魔獣奉賛士』も更新できたし、ミステリーにも手を入れられた。まあまあの一日だったと言える。今日も何とか頑張りたい。

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