第110話 2020/2/1 離脱とか

 本日は7時起き。アラームのおかげで起きられた。少しばかり不満はあるが、まあ起きられたのだから良しとする。午前中に買い物にも行けたし、時間に余裕があるのは良いものだ。天気も良いし気分も良い。こういう良い事尽くめの日には、何か大きな失敗をしそうな気がする。基本的にネガティブ人間なのだ、仕方ない。


 釣り好きの人を俗に『太公望』と言ったりするが、太公望と言えば『封神演義』という人も少なからず居るのではないか。ただし、太公望は実在の人物である、と言われている。きょう(羌)族の出身で名は呂尚。紀元前11世紀の古代中国王朝、周の建国の際の功臣の一人であり、軍師として活躍した。兵法書『六韜りくとう』の著者であるとの説がある。兵法などの秘伝の書を一般に「虎の巻」と言うが(昔は受験の参考書をこう呼んだ)これは六韜の中の『虎韜』に極意が書かれてあった事に由来する慣用句である。

 さてその太公望、若い頃から勉学に勤しんでいた、と言えば聞こえは良いが、本ばかり読んでろくに働かなかったらしい。そんな太公望に妻は愛想を尽かして出て行ってしまった。しかしその後太公望は周の文王に見出されて取り立てられる。それを知った元妻は、ヨリを戻してくれないかと太公望に願った。すると太公望は盆(ボウルのようなもの)に入れた水を地面に撒き、「この水を盆に戻せたら考えよう」と言った。これが「覆水盆に返らず」の語源である。もちろん、このエピソード自体が後代の創作である可能性は少なからずある。

 さて話は変わって現地時間の1月31日午後11時、日本時間の本日午前8時、イギリスはEUから離脱した。ダウニング街の首相官邸の壁に投影されていたカウントダウンの時計が00:00を表示すると、プロジェクションマッピングで映されたビッグベンの映像と共に、鐘の音――録音である――が鳴らされたという。

 イギリスは47年前の1973年に当時のECに加盟した。しかしECの将来的目標であった政治統合には興味がなく、あくまでも経済的な観点からの参加だったのだそうな。だからECがEUになっても、統一通貨ユーロは導入せず、ポンドを維持した。現在EUにはフランスを初めとして、政治統合を急ごうという勢力がある。いまこのタイミングのEU離脱は、イギリスにとってはギリギリのラインだったのかも知れない。

 1957年にEECが設立され、1967年にECとなり、1993年にはEUとなった欧州連合だが、設立以来加盟国が脱退するのは初めての出来事となる。EUとしてはこれ以上脱退する国が出る事は、何としても阻止したい。ただでさえ近年アメリカとの関係がギクシャクして、国際的な影響力が低下しているのである、イギリスに対しては余裕を見せながらも厳しい態度を取らざるを得ないだろう。

 イギリスがEUを離脱したと言っても、今日からすべてがガラッと変わる訳ではない。今年の年末までの11箇月間は移行期間と設定されている。この間に北アイルランドに検問所を設置するかどうかとか、イギリスとEUとの間で包括的な経済協力関係を構築するかとか、そういった諸問題を解決しなければならない。まだ未解決の問題が山積みなのだ。これからが本番という見方もあろう。

 しかしイギリスはEU離脱を選び、それを実行した。その事実はもう変わらない。現在のイギリスに太公望のような賢人が居るのかどうかは知らないが、覆水盆に返らずと嘆く人が出なければ良いのだけれど。


 そのEU離脱から遡ること1時間、現地時間の午後10時から、イギリスのジョンソン首相は国民向けに演説――録画である――を行った。

「この素晴らしい国が持つ潜在力の全てを今こそ解き放ち、全ての英国民の暮らしを改善しよう」

「これは国家が真に生まれ変わる瞬間だ」

「多くの人々にとっては待ちわびた希望の瞬間だ。不安と喪失を感じている人々もいる。終わりなき政治的迷走に困惑を覚えた人々もたくさんいるだろう」

「私はこの国を一つにまとめて前に進める」

「EUが50年以上にわたって進んできた方向は、もはやこの国に適さなくなった」

「われわれは離脱を、活力にあふれた英国とEUの間の友好関係の新時代の始まりにしたい」(以上時事通信)

 わかりやすい良く出来た(その分作為が目立つ)演説である。

 確かにイギリスの潜在的ポテンシャルは凄いだろう。凄いだろうとは思うけれど、果たしてそれを解き放てるか? その潜在的ポテンシャルが潜在したまま何十年も過ごす可能性だってある。日本がいまその真っ最中である。もしかしたらイギリスは日本と違って上手くやるのかも知れないが、この手の問題に妙薬はないと思う。まあ、お手並み拝見。


 デルタ航空と言えばアメリカの航空会社最大手であるが、その客室乗務員が健康被害を訴えた。飛行機と言えば放射線に曝される職場だからな、などと思っていたら、さにあらず。原因は新しい制服であるという。

 2018年5月に制服が新しくなってから、「声帯機能不全や呼吸困難、皮膚の水ぶくれや発疹、目のかすみ、鼻血、耳鳴り、片頭痛、疲労などの症状が出た」(CNN)乗務員が続出したらしい。

 デルタ航空側も制服を作ったメーカー側も疑惑を否定しているのだが、それでも先月29日、デルタ航空は制服を交換する計画を明らかにした。

 従業員側が実施した検査では、制服から「衣類に関する業界の安全基準を大幅に上回る化学物質や重金属」(CNN)が検出されたらしい。もしこれが事実なら、メーカーは刑事罰の対象となろう。果たして何がどこまで本当なのかよくわからない。ただ一つ間違いないのは、この制服、デザインだけは凄いという事だ。

https://www.cnn.co.jp/business/35148765.html

 上記URLで写真が見られるが、格好いいよなあ。レトロフューチャーっぽいというのか。別に虫けらは飛行機を利用する訳ではないので、日本の航空会社の客室乗務員には何の不満もない。それでもこれは、どうせならこんな服を着た乗務員からサービスを受けたいと思わせるデザインである。正しい金の使い方と言えるであろう。服の素材にまで気を遣っていたらもっと良かったのにと考えるところ。


 今日はこんなところで。昼に食べたカレーライスが腹の中でタプタプしている。食い過ぎたか。

 昨日は2000文字ほど書けた。何か毎日チマチマとして、バーン! と弾けるような感覚がない。もちろん弾ければ良いというものでもないのだが、ちょっとストレスが溜まっている。ああ何か面白い事を、自分でもビックリするようなアイデアを思いつかないものだろうか。

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