第20話 2019/11/3 先達とか

 本日は9時起き。何も予定のない一日。まだ本格的に何かを書き始めるには、気力が足りない。少しずつ書いてはいるのだが、何か違う気がしてならないのだ。没入感がない。頭が回らない。やっぱり、もうしばらくかかるかなあ。まあ、急ぐ必要もないのだけれど。


 人は先達を求めるものである。学校では先生の、会社では上司の言う事を聞いていれば、大きな問題にはならない。もちろん他人の言う通りに動く事に対する不満はある。教師や上司の悪口陰口を言って憂さを晴らす事もあるだろう。

 だがそれならば自立し、独立して、自分ですべてを決めるようにすれば良いのだが、そんな道を選ぶのはたいてい一部の変わり者である。他人に偉そうにされたくないと言いつつ、結局他人の言う通りに動いた方が楽なのだから。

 それでも人は時として、指示をしてくれる者の居ない場所に立たねばならない事もある。そういう場合にはどうするか。簡単だ。誰か他人の真似をすれば良い。前例主義などという言葉もあるが、要は先にある成功例を真似れば失敗する確率は下がるだろう、という経験則に基づく希望的観測である。それが「正しい」かどうかは問題ではない。

 自分が判断して結果を出すより、失敗しないようやるだけの事はやったというアリバイが成立する事の方が大切なのだ。そうすればどんな結果になろうと責められずに済むし、勇気も決断力も求められない。ならば、それが一番楽チンで合理的である。民間の組織なら、それも経営が順調ならば、それでも良いのだろう。ただ国家のリーダーがこういう姿勢になると、ちょっと困るかも知れない。

 ブラジルのボルソナロ大統領は、連邦行政機関において、主要紙である『フォリャ・デ・サンパウロ』の購読を中止する方針を示した。同紙はかねてよりボルソナロ大統領に批判的であり、大統領はこれについて「フェイクニュースだ」と非難していた。

 まあ、税金を使ってどの新聞を取るかくらい、勝手であろうとは思う。すべての新聞が公平な報道をしているとは限らないし、行政機関から排除されるような新聞があっても仕方ない部分もあるだろう。それ自体は別に批判に値するようなことでもない。ボルソナロ大統領はこの契約破棄について、報道の自由の阻害や検閲には当たらないと主張しているが、それはその通りだと思う。ただ。

 遡ること10日ほど前の先月24日、アメリカの各メディアは、ホワイトハウスがすべての連邦政府機関に対し、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストの主要2紙の購読契約を更新しないよう指示する準備を始めたと報じた。これはトランプ大統領のメディア攻撃の一環であると捉えられているのだが、ボルソナロ大統領はこの報道を見たのではないか。偶然にしてはタイミングが重なり過ぎている気がする。

 つまり、「トランプ大統領がやってるなら、自分もやって大丈夫だろう」という判断があったのではないか。「ブラジルのトランプ」と呼ばれているボルソナロ氏の面目躍如とも言える。

 他国の大統領の真似をすることが、一概に悪いと言うつもりはない。国家のリーダーの判断すべき分野は多岐に渡る。参考情報は多い方が良い。とは言え、もしトランプ氏が2つの新聞を排除すると決めなかったら、ボルソナロ氏は自分の気に入らない新聞を延々と購読し続けたという事になる。この程度の事を自分で率先して決断できない人物が国家のリーダーで大丈夫なのだろうか。

 別に虫けらはブラジル国民ではないので、ブラジル人が「これで大丈夫」と思っているなら当面文句はない。しかしブラジルには日系人も多いし、そもそも結構いろんな意味でデカい国である。ブラジルがおかしな事になれば、世界への悪影響もあるかも知れない。多少は気にしておくべきなのではないかと思うのだが。


 1日、アメリカのニューヨークで開かれている、軍縮問題を扱う国連総会第1委員会において、日本の提出した核兵器廃絶決議案が賛成148、反対4、棄権26の賛成多数で採択された。これで26年連続の採択となったが、昨年と比較すると賛成は12カ国減少し、棄権は2カ国増加した。まあ先般の核兵器禁止条約に比べて核保有国側に歩み寄った内容なので、中途半端感があるのは否めない。

 とは言っても、現実に核の傘で守られている日本の主張する核廃絶である。本質的に矛盾を抱えているのは間違いないし、その観点に立てば、中途半端になるのもやむを得ない気がする。もし日本がこれ以上に強く核廃絶を訴えようと思ったら、軍備を拡張して日米安保条約を解消し、核の傘から抜け出る必要がある。しかしそれは簡単ではない。

 現実的に考えるなら、毎年決議案を律儀に提出している点は評価すべきだろう。ただしそれにどれほどの意味があるかは不明である。もっとも、それなら核兵器禁止条約に意味があるのかと言えば、そうたいして変わらないような気もするのだが。


 最近ではほとんど話題に上らなくなったが、フランスではまだ黄色いベスト運動が行われている。デモに参加する人の数はめっきり減ったようだが、週末になるとまだ黄色いベストを着て抗議運動している人々は居るのだ。今月17日で丸1年になるという。

 しかし香港を初めとして世界中でデモが行われている昨今である。それだけ世界各地がキナ臭くなっているのだ。フランスに注目が集まらなくなったのは必然とも言えるだろう。

 いま反政府デモ以外で目立っていると言えば、気候変動に抗議するデモであろうか。グレタ・トゥンベリ氏の活動が注目されているが、アメリカの俳優ジェーン・フォンダ氏はこのところ毎週金曜日にデモに参加し、4週連続で4回逮捕されたそうだ。まあ行動に賛否はあろうが、81歳だというからな、何とも元気な事である。


 さて、昨日届いたVRゴーグルだが、一言で結論を言うなら、単なるオモチャである。確かに映像さえあれば、立体視ができる。映像さえあれば。しかし所詮はスマホ画質であるし、その映像も言うほど数はない。いや、数だけならあるのか。だがジェットコースターばかり何本も見たくはないし、海中散歩も1回でいい。そう言う意味ではエロ動画を含めても、たかが知れている。

 もしこの先、質の良い映像がたくさん出回るようになれば、かなり優秀なオモチャになる可能性はなくはないのだが、現段階では値段相応である。まあ、2、3000円なら仕方ないといったところか。5000円出してコレなら、正直ブチ切れるところではある。この先の映像の拡充とアプリの進化に期待したい、と言っておけば穏便であろう。

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