第12話 2019/10/26 言うは易しとか
本日は9時半起き。昨日は読書で頭がヘトヘトになったからな、仕方ない。しかし脳みそを疲れさせるのは気持ち良い。凝り固まっていた部分がほぐれて行くような感じがある。もっとイロイロ柔らかくほぐしたいところ。
『言うは易く行うは難し』は前漢時代の政論書『塩鉄論』に由来するそうな。何でもあるな、中国の古典は。言葉の意味は読んで字の如く。実際、言うだけなら簡単である。無責任にああしろこうしろと文句をつけるくらい、虫けらにだって出来る。
普通の人はそれを理解しているので、具体性を伴わない口先だけの意見を言うなど恥ずかしい事だと考えるのだが、世の中にはそうではない人も居る。そしてその人物が地位と権力を持っていたりすると、厄介な話になる訳だ。
24日、アメリカのトランプ大統領は、例によって例の如くTwitterでシリア情勢に触れ、北部のクルド人勢力について、「おそらくクルド人が石油地帯に向かうべき時が来たのだろう」と述べた。
石油地帯とは油田のある地域を指している。油田と言えば高いガス抜きパイプが立っていて、その先が燃えているようなイメージがあるが、別にアレだけが存在している訳ではない。油田にはパイプラインがあり、場所によっては精製施設が隣接し、当然そこには働く人間が居る。石油施設が産業として成立しているのなら、人が暮らす町もあるだろう。そこへ移住しろと言うのだ。
当然、その移住者を受け入れる側の人々の意見など聞いてはいない。受け入れられるだけの住宅やインフラがあるかどうかも確認していない。その言葉には何の具体性もないのだ。それをクルド人と油田地帯に住む人々に受け入れよというのは、無理がある事など考えなくてもわかる。
そもそもトルコがシリア領内に侵攻し、クルド人勢力に攻撃を加えたのは、トランプ大統領が駐留米軍を撤退させた事が切っ掛けになっている。しかし大統領選挙を来年に控えたトランプ氏としては、それを認めたくない。自分はあくまでクルド人に対して寛大な大統領である事にしたい訳だ。だからトルコが戦闘行為を停止したのも自分のおかげ(実際に動いたのはロシアのプーチン大統領)だし、今回は親切にもクルド人の将来を「提案してあげている」のである。ありがた迷惑にも程がある。
現在クルド人が暮らしている北部地域から、油田地帯までは数百キロの距離があるという。しかもそこに暮らしているのは大半がアラブ人だ。トランプ大統領はメキシコとの国境に壁を作ろうと懸命になっている。その事自体は虫けらとしては理解出来るものの、ならば当然、クルド人に押し寄せて来られるアラブ人の気持ちも理解出来るのが普通だろう。それを理解出来ない者が、何故国境に壁を作るのか。支離滅裂ではないか。
少なくともシリア情勢に限って言えば、トランプ大統領の言葉には具体性も一貫性もない。思いつきをただ並べているだけである。バカ殿の妄言と言って良い。この妄言の向く先が、いつか日本にならなければ良いのだが。
大統領といえば、暴動が続くチリの首都サンチアゴでは25日、100万人が参加したと言われる――当たり前だが、本当の数など不明である――大規模なデモが行われ、暴動に発展する事もなく、平和裏に終了した。
これを受けてピニェラ大統領は、
「大規模で朗らか、平和的な今日のデモ行進でチリ国民は、チリにより公正で支え合う国であってほしいと要求し、未来と希望への偉大な道が開いた。われわれはそのメッセージを聞いた。われわれは変わった。団結と神の助けにより、われわれは全ての人にとってより良いチリに向かって進むだろう」(AFP)
とTwitterに投稿した。
しかしデモ隊が訴えていたのは、ピニェラ大統領の辞任である。それを知らないはずはない。市民と大統領の間には深い断絶があると言わざるを得ない。混乱はまだまだ続くのではないか。
昨日の大雨は千葉県を中心とした関東から東北方面に大きな影響を与えた。千葉県や茨城県では1ヶ月分の降水量に当たる雨が半日で降り、各所が浸水、土砂崩れも発生、JRが運転を停止し、成田空港では5000人が足止めを食った。福島県いわき市では大久川、宮川、夏井川が氾濫し、全域に避難指示が出た。千葉県と福島県で合わせて10人が死亡、3人が行方不明となっている。
台風ではないただの大雨として、西日本豪雨ほどではないにせよ、近年の関東地方においてはかなりの規模の被害が出ている。無論、台風19号の影響がまだ残っている中だったからこその被害規模ではあるが、こういう状況はこの先何度も、そして毎年のように起こるのではないか。政府は早急に方針を示して各自治体の対応を促すべきだと考える次第。
ちょっと短いが、本日はこんなところで。
読書で頭が柔らかくなったのは良いのだが、今朝は嫌な夢を見てしまった。高校時代、というか、高校から卒業できなくなってどうしたら良いのか、と悩む夢である。言うまでもなく高校は卒業しているのだけれど、いったい何がこんな夢を見せたのか。はてさて。
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