第10話 2019/10/24 蛙の面とか

 本日は6時半起き。やれば出来る。今日明日は雨の予報だが、犬の散歩には行けたので良し。

 またおでんを作った。今月2度目。世間は食欲の秋なのだが、もう何を食って良いやらわからなくなっているので、こういうときはおでんにしておけば大ハズレはないのだ。今日明日くらいは持つだろう。さて、明後日から何を食うか考えねばな。


 面の皮を厚くするのは社会人の必須スキルである。何かあるたびにいちいち傷ついたり動じたりしていては身が持たない。「蛙の面に小便」「馬の耳に念仏」そういった姿勢によって自らを守る意識は必要であろう。とは言え、何事にも限度はある。

 23日、アメリカのトランプ大統領はホワイトハウスで演説し、トルコへの経済制裁解除を表明した。シリア北部におけるクルド人勢力との戦闘の停止を恒久的に維持すると、トルコから通達があったためだという。トランプ大統領は言った。「これはアメリカのおかげだ」と。

 またトランプ大統領はこの演説に先立ち、クルド人民兵組織「シリア民主軍(SDF)」のマズルム・アブディ司令官と電話で協議したのだが、司令官は「非常に感謝していた」とも話した。

 まあ実際SDFは報道官のTwitterを通じ、マズルム司令官がトランプ氏に対して「われわれに対するトルコの残虐な攻撃と過激派組織を阻止した不断の努力」(AFP)への謝意を表明したと書き込んでいる。しかし、これらを言葉通り真に受けるのは、よほどのトランプ信奉者だけだろう。

 確かにトルコのエルドアン大統領は17日、訪れたアメリカのペンス副大統領に5日間の停戦を約束した。ただしクルド人勢力の撤退が進まなければ攻撃は再開するとの条件付きで。そして実際には、クルド人勢力の撤退は進まなかった。

 事態が大きく動いたのは22日、クルド人への攻撃が再開される直前に、ロシアを訪問したエルドアン大統領がプーチン大統領と会談した事による。簡単に言えばトルコが問題としているトルコとシリアの国境地域からクルド人を追い出し、そこにロシア軍とシリア軍を駐留させ、クルド人を近付けさせないようにする事を決めたのだ。

 シリア軍はロシア軍が後ろ盾になっているため、ロシアが自由に使える。そしてクルド人はアメリカに見捨てられたので、トルコ軍の攻撃から身を守るためシリア軍に接近した。つまり、そのシリア軍とロシア軍が駐留するのを拒む事は出来ない。クルド人勢力は撤退を開始し、これまで拠点としていた都市をほとんど失った。

 こういう事がまずあって、その上でトルコは戦闘の停止を恒久的に維持する旨をアメリカに伝えたのだ。つまりトルコがクルド人への攻撃をやめたのは、主にロシアの存在があっての事だ。アメリカは何もしていないとまでは言わないが、ロシアの功績に比べれば微々たるものである。

 シリア国内においては、もはやロシアの圧倒的な影響力を排除出来ない。この地域ではもうアメリカは動けないのだ。ここを足がかりに、ロシアは中東全体への影響力を高めて行くだろう。逆にアメリカは、トランプ氏が大統領を続ける限り、中東での影響力を失って行く。もしかしたらイスラエルですら、アメリカと距離を取るやも知れない。

 中東派遣軍を削減するのはトランプ氏の選挙公約ではあるが、だからといって影響力を失って構わないとは、さすがにアメリカ人も思っていないのではないか。軍事の専門家を政権中枢に置いておけば、ここまで惨めな展開にはならなかったはずだ。忠誠心からの忠告も、適切な批判も、単なる悪口と一緒くたにして、蛙の面に小便とばかりに知らぬ顔で押し通そうとした結果がこれである。

 いまの状況はいまだけのものではない。10年後、20年後の中東情勢に大きな影響を与えるだろう。とんでもない事にならなければ良いのだけれど。


 連日抗議デモが続く香港だが、その香港で、あるクラウドファンディングが行われ、約1470万円の金額が集まったそうだ。それは日本の台風19号被害への募金。寄付者からのコメントには「日本がんばれ!」「香港と日本は困難に直面しているが、ともに乗り越えることを願います」などの言葉が並んだ(産経新聞)という。

 有り難い話である。確かに有り難いのではあるが、どんな顔をして良いのかわからない。確かに日本は台風19号で大きな被害を受けた。だがそれは自然災害である。人間にはどうしようもない部分が少なからずあったし、ある程度は諦めるしかない。しかし香港の直面する困難は、まったく異質なモノである。深刻度で言えば、香港の方がはるかに深刻であろう。中国共産党は台風のように通り過ぎてはくれないからだ。どちらかと言えば、日本人が香港に募金したいくらいではないか。

 なお今回の募金の申し出について、在香港の日本総領事館では義援金受付のための銀行口座などを用意していないので、謝意を伝えた上で日本赤十字などを紹介したそうである。中国政府に変に気を遣って受け取り拒否とかしなかった点は、評価されるべきだと思うところ。


 香港関連でもう一つ。一昨日の即位礼正殿の儀には、香港とマカオと台湾の代表も参列していたそうだ。ただし正式な招待はしていないとのこと。特に台湾の代表が出席していたと中国が知れば騒動が起こる可能性もある。なので招待はしないものの、賓客として迎えたそうだ。

 中国の顔色を伺って台湾を正式に招待しなかった政府を弱腰と批判する声もあるようだが、まあこれは仕方ない。せっかくの国を挙げてのめでたい式典にケチをつけるのもアレだし、いま中国と事を構えるメリットもない。いつかの政権のように台湾代表を追い返したとかいうなら話は別だが、賓客として接遇できたのなら良しとすべきではないか。物事は段階を踏まねばな。


 21日、カナダでは総選挙の投開票が行われ、ジャスティン・トルドー首相率いる与党自由党が第一党となった。しかし過半数には届かず、他党との協力が必要となる。トルドー首相は続投する模様。

 若い頃に撮った顔を黒塗りした写真が出回って、いささか評判を落としたトルドー氏だが、アメリカのオバマ前大統領からの支持を得る事で、何とか禊ぎを済ませたのはブレーンが優秀なのだろう。

 とは言え、カナダの首相が誰になっても、世界情勢的にはほとんど何の影響もない気がする。まあ日本もたいして変わらないけどな。


 さて、昼だ。おでんを温めるか。

 イロイロとアイデアは湧くのだが、形になりそうなモノが少ない。もう少し時間がかかる模様。いまはとにかく本を読んで頭の中をぶん回す。もしかしたら意外なモノ同士がつながるかも知れないしな。頑張れ頑張れ。

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