第2話

私が座ると十席ほどのカウンターは空きが一つになった。


私の左隣だ。


「味噌ラーメン」


メニューも見ずに店員にそう告げた。


待っていると「いらっしゃいませ。お一人ですか。カウンター席へどうぞ」という声が聞こえてきた。


誰か客が入って来たようだ。


カウンター席は私の隣しか空いていないので、そこに座ることになるだろう。


座ってきた。


見れば女。


それも若い。


水商売かと思えるほどにけばい化粧をしていたが、見たところ二十歳前のように私には見えた。


安物の化粧のにおいが私の鼻をつく。


顔立ちは目鼻立ちが欧米人のようにはっきりとしたかなりの美人ではあるが、私には下品な印象しか受けなかった。


顔の右側しか見えなかったが、右目の下と下唇の右下にはっきりとしたほくろがある。


――ホステスかなにかな?


そう思ったが、ホステスならまだ営業時間の真っ最中のはずだ。

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