一枚のチャーシュー

ツヨシ

第1話

「遅くなるから。帰りにどこかで食べるから、食事の用意はいいぞ」


私は妻にそう電話した。


仕事の帰りは遅めのときが多いが、たまに本当に遅くなることがある。


私が帰るまで妻に夕食の支度をさせてそのまま待たせておくのはかわいそうだ。


私はそういうときは、早めに妻に連絡を入れることにしていた。


妻への伝言がすめば、後は目の前の仕事に専念するだけだ。


数時間して、ようやく仕事が終わった。


社を出て車に乗り込む。


この時間になると閉まってる店が多いが、開いている店もけっこうある。


そのうちの一つに車を乗り入れた。


見た目はなんのことのないありきたりのラーメン屋なのだが、なかなかに美味いのだ。


特に味噌ラーメンが。


「いらっしゃいませ。お一人ですか。カウンター席へどうぞ」


遅い時間だが、まだ店内は混んでいた。


人気店だけあって、客はいつも多い。


私は空いている席へ座った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る