よもやま話(5):面白さを組み立てる


 どうも、ライターズハイを見極められず罠にかかり、序盤を見直すことになった九一七です。現状その損失を回復しつつあります。


 ということでちょっと息抜き、面白さについて少し深く考えてみます。


 さて、前回のよもやま話(4)で面白さをいろいろな成分に分解しました。そして読者を惹きつける序盤戦術として、冒頭で期待感を煽ることが重要だと述べました。


 では、中盤以降はどうでしょう?


 序盤で読者がいくら期待感を持ってくれたとしても、その期待が裏切られたり、いつまでたっても期待通りにならなければ、きっと読むのを止めてしまうと思います。


 しかしその代償として笑わせてくれたり、異性との運命的な出会いがあったり、別の期待感が生まれたりしたら読者は離れないかもしれません。


 でもそれは置いておきます。


 中盤、つまり起承転結の承にあたる部分ですが、ここで重要になってくるのが「承認欲求」を満たすことや「優越感」を得ることだと私は考えています。


 もう少し具体的にいうと、主人公に活躍させ、誰かに認めてもらう、感謝されて承認欲求を満たす。とか、主人公が嫌な奴を成敗したり、不遇な人を助けたり、主人公がRPG的に徐々に成長してチート能力を開花させていったりして優越感を得るみたいな感じです。


 これを延々と続けるのがなろうテンプレの王道パターンのような気がします。


 RPG的に徐々に成長していくのがなろうテンプレの王道パターンであることは、結城藍人カクトさんが


『なろうテンプレの正体』 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888411284


 で、述べていらっしゃるので読まれてみてはいかがでしょうか。


 ですが、なろうテンプレをなぞるだけでは足りません。中盤だけでいえばなろうテンプレでもいいのですが、面白い物語にはやはりカタルシスや感動が必要だと思うんです。


 そこて起承転結の転の部分になるわけです。


 転の部分では、主人公に転機を迎えさせ、どん底に突き落としたり、絶望的に強い敵が出てきたり、恋人と破局を迎えそうになったり、どうしようもないような高い壁に阻まれたりします。


 ジャンプのバトルものの王道パターンだと、強力な敵に主人公がボロクソにやられますよね。


 それを克服してカタルシスを得たり、感動を得たりする部分が起承転結の結になります。


 ここまできて物語は一つの章が終わったり、完結を迎えるわけです。


 ダラダラと文章で述べただけでは分かりにくいので、起承転結を面白さの代表的な成分別に絞ってみましょう。


 起:期待感→チート的能力の提示、特別感の示唆

 承:承認欲求、優越感→活躍して認められる、引き立て役を倒す、ものすごい速度で成長していく、圧倒的知識の披露

 転:絶望感→強大な敵、高い壁

 結:カタルシス、感動→並々ならぬ努力や研究の末に強力な敵を倒す、身を犠牲にして強大な敵を倒す、高い壁を乗り越えて結ばれる


 だいたいこんな感じですね。これが昔からある面白い物語の王道パターンだと思います。色々な変則パターンや王道に当てはまらない物語もありますが、ここではそれを割愛します。


 しかこの王道パターンは物語の骨格にすぎません。土台といってもいいかも。


 この骨格に、肉付けをしていく必要があります。それは笑いだったり、美しい情景だったり、恋愛要素だったり、魅力的な登場人物だったり、読者を感心させる知識や考え方だったりと、前回出てきた他の面白い要素が絡んでくるわけですが、数え上げればきりがありません。


 そんな肉付けをして、それでやっと小説よ呼べる作品ができあがると思うんです。


 そしてこの肉付けには作者のセンスや経験がものをいうと思うんです。


 結局そこかよと怒らないでくださいね。


 今回はここまでにします。

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