よもやま話(1):人称と視点について
ヒロインのセリフを熟考していたら息が詰まりそうなので、ちょっと休んでよもやま話です。今回は人称について。
※クソみたいな駄文です。お食事中の方は【閲覧注意】。
作者のみなさんには今更なお話になると思いますが、おさらいしてみるのもいいかもしれません。
人称といえば一人称、二人称、三人称とありますが、小説の場合はこれに視点が加わってきます。さらに、客観型と主観混入型に分かれたりもします。小説とは呼べないでしょうがナレーション形式やシナリオ形式もあります。
例として、とある状況を想定し、その場面を代表的な形式ごとにシンプルに表現してみました。
・一人称単一視点:俺は尻をかいた。かゆい。さっき野グソをしたとき、なにかに刺されたみたいだ。
・一人称複数視点:俺はAだ。尻をかいた。かゆい。さっき野グソをしたとき、なにかに刺されたみたいだ。
わたしはBよ。Aがお尻をかいたわ。顔をしかめている。かゆいのかしら。
・二人称単一視点:あなたはお尻をかいたわ。お顔をしかめていたけど、かゆかったの?
・二人称複数視点:俺はAだ。お前は尻をかいた。顔をしかめていたが、かゆかったのか?
わたしはBよ。あなたはお尻をかいたわ。お顔をしかめていたけど、かゆかったの?
・三人称単一視点
客観型:Aは尻をかいた。顔をしかめている。
主観混入型
主人公主観混入:Aは尻をかいた。顔をしかめている。Aは思った。かゆい。さっき野グソをしたとき、なにかに刺されたみたいだ。
ナレーション形式:Aは尻をかいた。顔をしかめている。かゆいのだろう。
・三人称複数視点
客観型:Aは尻をかいた。顔をしかめている。
Bは、Aが尻をかき、顔をしかめているのを見ている。
主観混入型
各登場人物主観混入:Aは尻をかいた。顔をしかめている。Aは思った。かゆい。さっき野グソをしたとき、なにかに刺されたみたいだ。
Bは、Aが尻をかき、顔をしかめるのを見みている。Bは思った。かゆいのだろう。
ナレーション形式:Aは尻をかいた。顔をしかめている。かゆいのだろう。
Bは、Aが尻をかき、かゆそうに顔をしかめているところを見ている。Bはどう思ったのだろうか。
・三人称神視点:Aは尻をかいた。顔をしかめている。彼はさっき野グソしていたときに、勢い余ったブツの一部が地面に跳ねて飛散し、尻に付着してかぶれてかゆいのだ。
Bは、Aが尻をかき、顔をしかめているところを見ている。かゆそうだとBは思っているが、その原因が、さっきAが野グソをしたときに、勢い余ったブツの一部が地面に跳ねて飛散し、尻に付着してかぶれていることまでは分からない。
・シナリオ形式:A「かいーの」
B「…………」
下品な場面想定で申し訳ありません。
気を取り直して説明すると、各形式で表現できる情報量や受ける印象がまるで異なりますよね。二人称とかナレーション形式、シナリオ形式は無視していいとして、その他の形式で書かれた小説は読んだことがあります。
実際はこれらの形式がさらに複合したりして、無限の表現方法が存在すると思います。小説のジャンルだとか、表現したいことによって人称と視点を選ばれている作者さんも多いと思います。
その一方、ひとつの形式を極めんとする作者さんも多いでしょう。どちらがいいのかは、やはり人それぞれで決めつけることはできません。
しかしです。敵を知らずばなんとやらという諺があるように、ひとつの形式にこだわるばかりに伸び悩む方も居られると思います。誰と戦ってんだ? なんて野暮なことは聞かないでくださいよ。
ですから、もし伸び悩んでなにかのきっかけを掴みたいと考えておられる作者さんがいたとしたら、いつもとは違う人称や視点で作品を書いてみるのも、なにがしかの気づきを得て、停滞を打破する突破口になるやも? なんてことを考えることがあります。
余計なことはこれ以上なしにしましょう。以上、よもやま話でした。
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