第7話:プロットの意義と作成手順

 作品の粗筋はできました。次はこれをもとにプロットを起こしていくわけですが。これに関しては作家さんごとに書式がバラバラで、こうしなければならないという決まったフォーマットはありません。


 そもそも小説のプロットとは、物語をあらかじめ決められた結末へと導くためのフローチャート(流れ図)だと私は理解しています。


 粗筋との違いは時系列を無視できること。回想を挟んだり、時系列を入れ替えたりしてストーリーを盛り上げたり、読者をハラハラさせたりするわけですね。


 さらに、例えばある時点で戦いが起こるとします。その戦いの勝敗がプロットを書いている時点ではどうなるか分からない(決め切らない)場合があったとします。


 そんなときでも、フローチャートで言えばYes or Noなどの分岐と同じように→で分岐させて勝った場合と負けた場合の両方の流れを書いておき、最終的に本来の流れに戻すとかのテクニックを使うことができます。


 そうしておけば続きが書けてプロットは必ず結末までたどり着けます。


 書いているうちにプロットから物語がかけ離れていくとか、キャラが勝手に動き出すとか聞きますが。それで面白い物語が紡げる作家さんは、並外れたセンスの持ち主か、強運の持ち主かのどちらかだと思って自分を納得させています。そうしないと羨ましくて嫉妬してしまいますから。


 私のような凡人はプロットから外れると、ほぼ間違いなく駄作になるか収拾がつかなくなって続きが書けなくなります。これは過去に何度も経験したので間違いないです。


 だからプロットの作成には細心の注意を払い、なんども組みなおして矛盾が出ないように、外れてしまわないようにしておきます。無事結末までプロットがたどり着けても、面白くなければその時点で没にするか、粗筋を見直すかします。


 以上は私の場合なので、全ての作家さんに当てはまるとは考えていません。やり易いようにやるのが一番です。愚痴だと思って聞き流してください。


 だいぶ横道に逸れてしまったので本題に戻りましょう。


 今回はこれ以上のネタバレをしたくありませんから、前回考えた粗筋の一部を使って実際にプロットを組んでみます。


 これはあくまでも私がやり易い方法なので、参考程度に考えてくださると助かります。粗筋の一部分を抜き出していきましょう。


『中学一年の秋、ふとしたことから霊界に迷い込んでしまった斉藤二郎。彼は霊界『幽世(かくりよ)』をさまよううちに霊的な力と強烈な雄フェロモンを身につける。幽世で師匠となる陰陽術師の霊と出会い、彼の下で修行をして霊力が増したことで、自力で現実『現世(うつしよ)』に戻れた』


 この粗筋を使って説明します。


 まず起承転結のパートごとに粗筋からイベントを抜き出したり加えたりします。が、まずは起の部分だけしか書き込みません。


・イベント起:霊界に迷い込む

・イベント承:

・イベント転:

・イベント結:


 みたいな感じです。これも一応イベントだけのプロットです。


 次に、イベントごとのプロットを組みます。


 霊界に迷い込む:街を歩いていたら黒い靄に包まれる→自分が置かれた状況が分からずに混乱する→状況を把握して歩き出す


 ここまで来たらこの部分、つまり物語の起にあたる部分を一気に小説として書き上げます。そして読み返してみて引き込まれるかどうか? 面白くなりそうか? 続きが書きたいか? ということを考えます。


 こうしておくことで、ダメだった場合の時間的ロスを減らせますし、作品の雰囲気がイメージ出来て続きのプロットが書きやすくなります。


 ダメだった場合は没にするか粗筋を練り直します。続きを書きたいと思えば、残りの部分を完成させます。


・イベント起:霊界に迷い込む

・イベント承:霊界をさまよう→陰陽術師の霊と出会う→修行をして力をつける→霊界からの脱出を試みる→脱出に失敗する

・イベント転:なにかがきっかけで転機を迎える

・イベント結:脱出に成功して現実に戻る


 こんな感じですね。


 そして全てのイベントのプロットを書き上げます。

 次に伏線を散りばめ、重要なセリフを書き足したりしてプロットを仕上げます。


 まだ終わりじゃありません。


 ここから伏線はちゃんと回収できているか、ストーリーに矛盾がないか、ちゃんと面白くなっているかをチェックして異常がなければプロットの完成です。 


 あとはプロットに従って執筆していくだけです。


 今回はここまでにします。次回は間が空くと思いますが、進捗報告になるのかな? 現時点でリアルではここまで進んでいます。

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