第13話 誕生(3)

生まれてきた


小さな小さなその赤ん坊をスタッフが素早く処置して


ほどなくして


泣き声がした。


「う・・うまれたの・・?」


美咲は汗だらけの顔で言った。



「・・う・・うん、」


八神は呆然としたままだった。


「おめでとうございます。 女の子ですよ。 やっぱり少し小さいからこの後保育器に入ると思うけど。 ちょっと抱いてやって、」


助産師は笑顔で白い布に包まれた赤ん坊を美咲の胸元に連れてきた。



「・・赤ちゃん・・」


美咲はその暖かい塊をそっと抱いた。



真っ赤で


くしゃくしゃな顔で


口だけをもごもごと動かして。


「赤ちゃんだあ・・」


涙が止まらなかった。



まだ呆然とする八神に


「じゃあ、お父さんもちょっとだけ抱っこしてやって下さい、」


助産師からふっと赤ん坊を手渡された。


「え・・・」


ドキっとした。



それは


想像していたよりも


あまりにも


あまりにも


小さい命だったから。




人間?


人間だよな。


ちっちぇえ・・。



子供のころ近所に子犬が生まれて抱っこさせてもらった時のことを思い出してしまうほど


その二人の命は


小さかった。



「う・・・」


感激屋の八神は


涙もハナも一緒に出てくるくらい


泣いてしまった。


「ありがと・・ありがとな。 おれたちんとこ来てくれたんだ・・」



そんな八神を朦朧とした意識の中で見ていた美咲は


また泣いてしまった。




「女の子? よかったわねえ、」


分娩室の外で待っていた美咲の母に早速伝えた。


「・・うん、うん、」


八神はまだ泣いていた。


「すんげえ・・ちっさくて。 でも・・元気に泣いて。 」


そんな八神を子供のように美咲の母は背中をよしよししてやった。


「ほんっと良かったねえ。 どうなることかと思ったけど。 小さく産んで大きく育てろって言うしね!」


「うん・・うん、」


涙が止まらなかった。




なんとか


しばらくして涙が止まった。



美咲はまだ処置中で


ぼんやりと待合室で待っている間にハッとして、会社に電話をかけた。



「え! 八神さん!? 生まれたんですか!?」


夏希の大きな声が耳に痛いほどだった。


「・・ん。 ついさっき。」


「おめでとーございます!! で、どっちでした?」


「女の子、」


ちょっとテレながら言った。


すると、電話の向こうで


「え? 八神?? ちょっと変わって!」


南の声がしたかと思うと、


「八神! 生まれたの!? よかったね~~! おめでと!! 美咲ちゃんも、大丈夫?」


すごい勢いで話された。


「え・・ええ。 なんとか。 子供は・・ちょっとちびっちゃかったんでしばらく保育器に入ることになって、」



「そっかあ。 でも、元気なの?」


「はい。 いっぱい・・泣いてました。」


また、涙が出てきてしまった。


「よかったねえ。 ほんっと、良かった。 八神もパパだね!」


南も


なんだか感動してしまった。


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