Linxというゲームの実態

 数日後、いぬい先輩に会った。

 コードを入力した事を伝えると、

「だったけ? すまん、忘れてた」


 ゴリ押ししといてこれかよ。俺は胸の中で先輩を殴った。


「先輩はちなみにどのステージまで行きましたか?」


 先輩は、ステージ? 何それ。ととぼけた顔を見せた。


「お前、その調子だとあのゲームがどんなゲームかまだ知らねーみたいだな、ウケるわ」


 そう言って先輩は誰かからかかってきたスマホに出ると、そのままどこかに消えた。


 どんなゲームかだって?

 音ゲー、ストーリーゲームだろ?


 俺は気になってネットでLinxについて調べてみた。すると意外な事が分かった。


『Linxはあなたのために生まれ、あなたとともに成長します』


 どうやら新しく開発されたSwiMeスイミーというAIプログラムを使って、ユーザーの好みを分析し、ユーザーにとって一番のゲームを提供するというものらしい。つまり全員がオンリーワンのゲームをプレイすることになる。


 ネットの交流掲示板を見ても、沢山の種類のゲームが存在していることが分かる。王道RPGだったり、アクションだったり、シューティングだったり。それぞれが自分の好みのゲームをプレイしていた。


 なるほど、これがヤバイってことか。

 まあ無料でもそこそこ楽しめるからいいか、リアナ可愛いし。

 あまりに課金をせびるようだったら止めればいい、そう高を括っていた俺はやがてその魅力と罠にはまっていくことになる。

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