登録だけしてみた

 ゲームの名前は「Linxリンクス」。

 内容も確認せず、俺はダウンロードを始めた。待ち時間に夕食のカップラーメンを流し込み、歯磨きを済ませる。

 そうこうしているうちにダウンロードは完了し、可愛い女子のアイコンが俺のスマホに追加された。


 こんなアイコン、誰かに見られたらマジ恥ずかしいわ。


 そんな思いでタップした次の瞬間、俺は度肝を抜かれた。

 突然始まったオープニング。それはさながら映画のワンシーンだった。迫力のあるサウンド、プロの声優だろうリアルなボイス。スマホゲームもついにここまで来たか、と思わず見入ってしまった。


 そもそもLinxって何のゲームなんだ?


 オープニングで俺は色々聞かれた。

 好きな食べ物、昔やっていたスポーツ、見せられた画像を見てどう思うか、その他色々なシチュエーションを与えられて、どんな行動に出るか。


 ってゆうか質問多いな、このゲーム。俺はだんだんイライラしてきた。


『後もう少しです!』と出てから20はあった質問に答え、やっと終了した。

 最後の質問はこうだった。


『このキャラクターに名前を付けて下さい』


 そこにはツインテールに黒い瞳。黒タイツにミニスカートの女の子が笑っていた。よく分からないが重要なキャラクターなんだろう。何となく昔好きだった子、理亜奈の事を思い出して、リアナと名付けた。


『お疲れ様でした! 明日にはゲームが誕生します。紹介コードがある人はコチラ!』


 現れた空欄にいぬい先輩から聞いた数字を入力。

 よし、これで後はアプリを消去するだけ……と思った俺だったが——。

 まあ消去はいつでも出来るし、と思い直し、結局その夜は貯めてあったテレビの録画を見ながら、眠りについた。




 翌朝、一通のメールが届いていた。

 差出人はリアナだった。

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