第6話 「私も好きだ。」

「こいつ言いやがった!? 自分がホモ野郎で、大好きな男に告白しやがった!?」

 カトリーヌの伝説の勇者と結婚する野望は潰えた。

「俺が好きなのは、ジャスティン。おまえだ!」

 いきなりのゲイ告白に戸惑うジャスティン。

「バカめ! 自分がホモ野郎だと知られたら、気持ち悪がられて、相手にしてもらえなくなるのがオチだ。これが伝説の勇者の最後だ。」

 ざまあみろ! と笑うカトリーヌ。

「私も好きだ。私もセシルのことが好きだ。大好きだ。」

 なんとジャスティンも俺のことが好きだったのだ。

「まさかの両想い!? ガーン!」

 予期せぬ大どんでん返しの展開にショックを受けるカトリーヌ。

「ジャスティン。」

「セシル。」

 見つめあう二人。もう告白を済ませた二人に障害は何もない。

「すまない。セシル。ダメだ、ダメなんだ。」

「なぜだ!? 俺がホモだからか!?」

「違う。そうじゃないんだ。」

 俺の愛を拒むジャスティン。

「ジャスティン。おまえも俺のことが好きなんだろう!?」

「私は神父。私は神と結婚した身。神様がいらっしゃる間は、おまえの愛を受け入れることはできない!」

 宗教者という者は神と結婚している。重婚は罪なのだ。

「ハッハハハー! 終わったな! セシル! ジャスティンを諦めて私の旦那になるのだ!」

 俺がジャスティンにフラれたのを見て、暗黒白魔法使いカトリーヌがよみがえる。

「あ、諦めるものか! どんな逆境だって、諦めないで勇気を持って挑めば、突破できないことはない!」

 俺の精神は、伝説の勇者なのである。

「相手が神なら、神を殺してでも、俺は俺の愛を貫く!」

 俺は神を殺して、ジャスティンを自分の者にしようと考えた。

「やめろ! セシル! もしおまえが神様と戦うつもりなら、私は神様の信者として、おまえと戦わなければいけない! やめるんだ! おまえとは戦いたくない!」

 ジャスティンは神に忠誠を誓っている。

「ああ~! 愛し合う者同士が殺しあう! なんて悲劇! ホモ同士が殺しあうなんて、シェイクスピアも思いつかないでしょうね。」

 呆れるカトリーヌ。

「ジャスティン、俺たちが結ばれるときは、神を殺した後だ。」

「そうわさせない。私は神に忠誠を誓ったのだ。何が何でも神様を守ってみせる。」

こうして対立することになった俺とジャスティン。

「こうして神と人間のホモをかけた戦いが始まろうとしていた。これが歴史に語り継がれるボーイズラブ聖戦である。」

 これでウケるのか? 疑心暗鬼なカトリーヌであった。

 つづく。

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全6話 BL勇者 渋谷かな @yahoogle

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