第5話 「呪いよ! 解けろ!」

「ウワアアアアアー!」

 カトリーヌの浄化魔法が俺のホモ・スピリッツを浄化していく。

「カトリーヌ、これは何をしてるんだい?」

「これは魔物との戦いで呪われたセシルを浄化魔法で回復させているのよ。」

「なんだって!? 呪いだって!?」

 心配そうに俺を見るジャスティン。

「ギャアアアアアー!」

 正確には俺のホモ精神の浄化である。

「私も協力しよう! 少しくらいなら浄化魔法も使えるから。」

「そうなのか? そうしてもらえると助かるよお。フッ。」

 不敵に笑うカトリーヌ。

「今すぐに助けてやるぞ! 浄化魔法! パリフィケーション!」

「グウオオオオオー!」

 ジャスティンも浄化魔法で参戦する。

「どうだ? 伝説の勇者様。大好きな男の手にかかって、男好きの精神が浄化されていく気分わ! キャッハッハー!」

 この状況にカトリーヌは笑いが止まらない。

「呪いよ! 解けろ! 元の優しいおまえに戻ってくれ!」

 ジャスティンは浄化されているのが自分への恋心だとは知らない。

「アベシシシシシシー!」

「やったか!?」

「もう大丈夫だ! セシル!」

 セシルの浄化が完全に終わった。

「お礼を言います。神父様。」

「いいえ。私はあなたの友を助けたいという心に感銘を受けて少しだけ手伝っただけですから。」

 お人好しのジャスティンは知らない。カトリーヌの本音を。

「これでセシルがホモ野郎でなくなったら、私と結婚するんだ。私は伝説の勇者の花嫁になる! そして私は地位と名声と富を手に入れるんだ! 人々から羨ましがられる存在になるのだ! オッホッホー!」

 カトリーヌの野望である。

「う・・・うう・・・ジャスティン?」

「気がついたか? セシル。」

 俺は気を失っていたのだろう。やっと目を覚ますことができた。

「俺はどうしたんだ?」

「おまえは魔物の呪いにかかってしまったんだ。危ない所をカトリーヌさんが助けてくれたんだ。」

 俺の記憶は断片的にホモの所が浄化魔法で消されている。

「ありがとう。カトリーヌ。助けてくれて。」

「どういたしまして、感謝しているなら私と結婚して。」

 いきなりのカトリーヌの求婚。

「それはできない。なぜなら俺はボーイズラブだからだ。」

「セシル!? おまえはゲイだったのか!?」

 驚くカトリーヌとジャスティン。

「なにー!? まさか!? ホモが浄化されたら、ボーイズラブになるのか!?」

「俺が好きなのは、ジャスティン! おまえだ!」

 俺のカミングアウトは更に続く。

 つづく。

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