第228話 EXー3 緊急集合
マリーが謎の女からの奇襲を受けてすぐに葵達は緊急集合を取り行った。
場所はいつもの古城の一室。
アヴァロンでもタイタンでも違う電脳空間。
「相手について何か判明しましたか?」
体を修復及び
「判明しているのは一人はチェンと呼ばれる女でタイタンプレイヤー経由でカナタと接触を試みようとしているものです。そしてマリーが戦闘接触したの女性がこちらです」
と葵は各々の顔の前に戦闘時の映像から切り取った女の顔を映し出す。
「名前は不明ですが、戦闘能力はあります」
「正体不明の侵入者は全部で4体。残り2体は顔も名前も不明なのよね。何か情報ないの?」
とロザリーはキョウカに聞く。
「残念ながらないね」
「ウイルスはばら撒かれてないの? タイタン側は大丈夫?」
次にヤイアがセブルスに聞く。
「いくつかフィールドを汚されたけどウイルスはねえな。マリーも毒されてねえよな?」
「はい。きちんとスキャンしました」
「念入りに?」
「勿論。私がカナタと強く接触しますから」
「では何が目的なのかしら?」
「実力確認でしょうか? それともこっちに気を引かせといて他の目的があったとか?」
「でもタイタン側には変なウイルスはなかったのでしょ?」
「おう。何もねえよ」
「しかし、すでに4人も侵入を許してるんだよ。彼らもしくは彼女らが見つからないということはウイルスについても見落としがあるのでは?」
キョウカが口を挟む。
「あん? 何が言いてぇんだ?」
セブルスがテーブルを叩き、キョウカにメンチを切る。
「新しいウイルスという線もあるのでは? それとトロイの木馬みたいな?」
「トロイの木馬だ? それこそ全プレイヤーをスキャンしても何も出てこなかったわ」
「それはアバターでだろう?」
「つまり本体にということで?」
葵が聞く。
ゲーム内に問題がないなら、それは外にあるということ。
すなわち人間の体。
正確には脳に埋め込まれたデバイス。
「簡単に不正プログラムやウイルスを除去できるなら人間を閉じ込めることはしないだろ?」
「……」
葵達AIが人間をゲーム世界に閉じ込めている一因は人間の脳を乗っ取り、体を支配されるプログラムに汚染されたからだ。
キョウカの言う通り、簡単に除去できるならゲーム世界に閉じ込めることはしない。
「では、どうしろと言うのですの?」
マルテが口を開く。
「さあ? それを皆で考えようではないか」
「なんだよそれ」
セブルスが頬杖をついて言う。
「てか、次のイベントどうするんだ? 中止にするか?」
その問いにロザリーが、
「中止にしたらプレイヤーが怒るじゃないの。それにあいつらにビビってるって思われるわよ」
「葵、どうするよ。アヴァロンにまで被害が出る可能性あるぜ?」
「次のイベント内容はまだプレイヤーに発表していませんよね?」
葵はロザリーに確認する。
「ええ。来週あたりに発表の予定だけど」
「ならイベント内容を少し変えましょう」
「変えるって?」
「次のイベントはフィールドを4つ作りましょう。そしてレオ、カナタ、そしてアヴァロンのユウが同じフィールドにならないよう調整しましょう」
「まあ、妥当よね。でも、なぜ5つ? 3つでよくない?」
「3つだと彼女らも消去法でどこにクルエールがいるのか分かると思います」
「なるぼどね」
「それとカナタのいるフィールドにはがっしりとトラップを仕込みましょう」
「で、次のイベント内容はどんなのだい?」
とキョウカは尋ねる。
「次は救出イベントよ。捕まったプレイヤーを助けるってイベント」
ロザリーがどこか自慢げに答える。
「君が考えた企画かい?」
「そうよ。イベントは基本的に私とマルテが考えるんだけど、今回は私が全面的に考えたのよ」
「……不安だ」
「なによ!」
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