第54話 リフゼロ、初イベント開催

 イベント開催日になった。参加者の私達は、ダンジョンの前で待機している最中。ウィンドウを開いて、公式番組の二回目が始まるのを今か今かと待っていた。


【何度見ても最高のオープニング】

【始まったよ!】

【待ってた】

【初イベント期待して待ってましたよ】

【興奮中】


 世間でも評判になっているらしいリフゼロの公式番組オープニングが流れてから、画面が切り替わりメッセージが流れていって視聴者が盛り上がりを見せていた。2人のキャラクターが登場する。


「さぁ、始まりました。リフゼロ公式番組、第二回!」


 頭にサークレットという王冠のような装備を付けて銀縁の眼鏡を掛けている知的な女性と、羽のついたベレー帽のような頭装備を身に付けた男性が画面に表示される。


「番組のMCを務めるティティアナと」

「ブルーだ。よろしくたのむ」


 ティティアナの言葉でスタートした番組を見ながら、お、始まった! と喜ぶ私。リフゼロのゲーム内、私が以前に出演した時と同じように2人がリアルタイムで配信している公式番組を見ていた。これから、ダンジョンRTAのイベントが始まるのでRTA攻略している様子を番組内で放映される。


 イベント本戦が始まったら参加者の私は番組を見れなくなるので、待機している今のうちにティティアナ達が公式番組で活躍している様子をじっくり見ておこう。


 画面に映っているティティアナの表情を見てみると普段と違って、少し緊張気味のようだった。ブルーも珍しく肩に力が入っているように見える。私もエリノルと2人で第一回目の放送をした時に凄く緊張をしていた。その時の事を思い出す。なんとか乗り越えて無事に終わったから、今日の2人も大丈夫だろうと思う。


 それにしても、第一回目の時の私達も皆からはこんな風に見えていたのかなと考えると、少し恥ずかしくて感慨深い。


「改めて、視聴者の皆様に自己紹介を。私はティティアナと申します。普段は各地の街の中にある図書館等で司書をしていて、レッドさんのパーティーに誘われて趣味でダンジョン攻略等をしております」


【司書だったのか】

【初めて知った設定】

【図書館よりも、ダンジョン内でエンカウントする人】

【今日は司書の仕事、どうした?】


 ロールプレイで、普段は図書館に居ることが多いとアピールをするティティアナ。ちゃんとキャラクターとしての設定も作り込んであるけど、あんまり活用されていなかったような情報だけど改めて彼女は公式番組という場で、しっかり自己紹介をして積極的に設定を周知していく。ちゃんとしているな。


「私の名はブルー。パーティー仲間のレッドとは幼馴染で、彼と同じく新米の冒険者に授業を行う教師をしている。よろしく頼む」


【ブルーうぅぅ】

【いきがってるなブルー】

【ブルーさんキタァァァ!】

【いえーい】


 ブルーもロールプレイで自己紹介を済まていく。メッセージ欄がハイテンションで盛大に沸いていた。ちなみに、キャラクターの設定と同じくリアル世界でも幼馴染だというレッドとブルー。


「それでは早速、イベントをスタートする前にリフゼロの最新情報についてお知らせしていきますね。皆さん、しっかりと聞いてください」


【はーい!】

【どんな告知だろうか】


 ブルーよりも、どちらかというとティティアナの方が見た目が教師っぽい。眼鏡も掛けているし話し方も丁寧だから。そんな彼女は、リフゼロのアップデートについて今後の予定が告知していく。今回は大きな変更等も無く、バグ修正が中心という事でサラッと簡単にお知らせだけをして終わった。


【あー、バグ修正の為のアップデートか】

【サプライズを少し期待してたけど無いようだね】

【流石に今回はバグ修正だけかな】

【ティティアナの声が、めちゃくちゃ聞き取りやすい】


 公式番組の目的は、リミットファンタジーゼロについての最新情報をプレイヤーにお知らせする事だった。だけど今回は初の公式イベントが開催されるということで、イベントの様子をメインにした番組内容で放送する事になっていた。視聴者の皆も、今回はイベントの方に注目しているだろう。


「では皆さんお待ちかね、リフゼロ初イベントのダンジョンRTA大会開催ッ!」


【うぉぉぉ!】

【待ってました】

【俺も本戦に参加したかった】

【100名の熱い戦い、期待してます】

【どうなるかな】

【一位はレッド!】

【緊張してきたよ】


 画面にバババッと大量のコメントが流れていく。視聴者の期待と盛り上がり具合が伝わっていくる。


「予選は既に終わっていて、結果はこの様になっているぞ」


 ブルーの言葉に合わせて、画面上に予選結果が表示された。100人のプレイヤーキャラクター名と、ダンジョンをクリアした最速タイムが1位から順番に映されていく。


【上位プレイヤーのクリアタイムが化け物過ぎる】

【ランクインを狙ってみたけど一度もダメだったな】


「ランキングに表示されているのは、予選を100位以内で突破したプレイヤーだ。この100位にランクイン出来たプレイヤーのみが、これから行われるダンジョンのRTA本戦大会に参加することが出来るぞ」

「ダンジョンRTA本戦はリアルタイムで行われて、私達2人で解説等を入れていく予定です」


 100名のプレイヤーが同時にスタートしてダンジョンに入り、その様子を番組内で配信する。そして、解説をティティアナとブルーの2人がするという訳だ。


「イベント本戦に参加しているプレイヤーの皆さんは、上位入賞を目指して頑張って下さい!」


 ティティアナが、画面越しでイベントに参加するプレイヤー達に向かってエールを送っていた。


【ドキドキしてきた】

【楽しんでいきましょう!】

【盛り上がっていこうぜッ!】

【見てるこっちも緊張してきた】

【わくわく】

【初イベント、期待】


「頑張ってね、エリノル、フォルトゥナ!」

「レッドと、ヴェルもな」


 そして番組の最中なのに2人は個人的に、仲間である私達に向けても声援を送ってくれた。これは、しっかりと頑張らないと。


【公認プレイヤーの実力を是非見せてくれ】

【1位、見せてくれ】

【うんうん】

【がんばれフォルトゥナちゃん!】


 視聴者からのメッセージも画面いっぱいに表示されて、沢山の人に応援されていると実感する。やる気が漲ってきた。 

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