第53話 予選の結果


 予選期間中、私とエリノル、それからティティアナの女子組3人は毎日ダンジョンに集まってタイムアタックに挑戦したり、クリアタイムを縮める方法を模索する作戦会議を繰り返し行っていた。


 イベント本番には参加できなくなったティティアナだったが、番組内でプレイヤーがタイムアタックに挑戦している様子をしっかりと解説できるように、知識と理解を深めるためにという理由で、作戦会議にも快く参加してくれていた。


 3人でダンジョン内を進むタイムスケジュールを組む。1層から9層を進むのに、12分。10層のボス戦では8分。11層から19層は20分で、20層のボス戦を10分で倒すことが出来れば、クリアタイムは50分という予定を立てる。


「ここは、こうやって短縮できないかな?」

「そうすると、コッチがタイムロスになるかも」


「こういうのはどう?」

「なるほど、それはナイスアイデアだね」


「あとはこうして、こう!」

「うん、良い感じだ!」


 あーでもない、こーでもないと夜遅くまで一緒に議論をしてタイムアタックの動きに反映していく。時々、意見を衝突させて空気が悪くなる、なんて事もあった。それ程までに真剣になって、皆が一生懸命に取り組んでいく。


 ランキングは毎日のように更新されていって、熾烈な争いを繰り広げていた。ランキング争いに参加しているプレイヤーはもちろん、見学しているプレイヤー達も誰が上位にランクインしてくるのか、という予想で盛り上がっていた。



***



 ダンジョンタイムアタックのクリアタイムを更新しているうちに、あっという間に2週間が経過していた。予選が終わって時点での最終ランキングも決まった。仲間の記録、そして私の記録は次のような感じだった。


 3位 48分12秒 レッド


12位 50分26秒 ヴェル


25位 52分31秒 フォルトゥナ


27位 52分55秒 エリノル



「凄いな、レッド! 三位じゃないか」

「ありがとう、ブルー。本番も生放送で映してもらえるように活躍して頑張るよ」


 レッドが仲間の中でも1人だけ飛び抜けていて、3位にランクインしていた。予選期間中に1位まで上り詰めた時もあったので、もしかしたら本番ではトップを狙えるんじゃないかと私達は期待していた期待していた。


「ヴェル、フォルトゥナ、エリノルの順番にランクインできたみたいだね。仲間の皆が、ちゃんとランクイン出来てよかった。本番の生放送では、ちゃんと解説してあげるね。頑張って」


 そう言って、ティティアナは応援してくれていた。レッドの次にヴェルが12位にランクイン。本番では50分を切れるかどうか、というのが勝負の決め手になりそうだった。彼に続いて、私とエリノルが20位台にランクインする事が出来ていた。私もヴェルと同じように50分という壁を超えられるかどうか。本番に挑む時の目標となりそうだ。


「見てみて、フォルトゥナ。彼女もランクインしてみたいよ」

「ホントだ」


 エリノルが指差して教えてくれた。なんと彼女もランクインしていた。


98位 58分12秒 ソフィア


 上位100名以内に入っているのて、イベント本番への挑戦権を彼女もしっかりと獲得していた。本番で私とソフィアのどちらが上位入賞できるのか、勝負が行われる事になった。


 正直に言うと、ソフィアが100位以内にランクインするのは難しいだろうと思っていた。まだリフゼロを初めてから1ヶ月も経っていない初心者だったし、そもそもVRゲームも初めてだと言っていたから。


 それなのに100位以内にまで上り詰めてくるなんて。凄い成長力があったみたいだ、ゲームセンスもずば抜けているのかもしれない。短期間で、これだけプレイヤースキルをアップさせたんだから、イベント本番までには更に成長してタイムを縮めてくる可能性もありそうだ。


 レオナルドから教えてもらった情報によると、彼女は予選期間の間ずっと必死に努力してので上位100位にランクイン出来たようだ。今度はイベント本番に挑もうとしている現在、しっかりと準備をしていると聞いていた。油断できない、本当の勝負相手となったようだった。


「彼女にダンジョン攻略方法を教えてあげたんだよね」

「ちょっとだけ、だけどね」


 エリノルには以前、ソフィアとレオナルドの二人にダンジョンの攻略方法を教えた時の事について話していた。


「これは、先生として負けられないね。負けたら私達のパーティーに加えるって約束もあるから」

「そうですフォルトゥナ! 絶対に勝ってね。私は応援してるから」

「うん。頑張るよ」


 ティティアナに強く激励される。そして私達は本番に向けて、更にタイムを縮めていく。イベントの開催日が徐々に近づいてきていた。

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